オーク対アリシア
おっさんとの決闘に勝利した俺は予定通りアリシアとオークの討伐依頼を受けた。ちなみに決闘での戦利品は白金貨2枚と金貨が6枚だった。日本円で言うと26万円だ。
まぁ、悪くわ無い臨時収入になっただろう。あのおっさんはそこそこ稼いでいたようだ。じゃなければあんな偉そうにはしないだろう。一人称が俺様だからね。
今回受けたクエストはオーク3匹の討伐依頼だ。このクエストを選んだのは俺ではなくアリシアで、どうも前回オークと戦った時に何も出来なかった事を気にしているようだ。
まぁ、気にしてると言うよりも自分だって万全な状態ならオークぐらい倒せると息巻いていると言うのが正しい気がする。そんな訳で、今日のアリシアは気合いが入っているのだ。
実際に魔力さえ枯渇して無ければ1人でオークぐらい倒せるんだと思う。だからこそ、前回何も出来なかったのが彼女のプライドに触ったんだろう。
森に入って10分程歩いた所で全体的に筋肉質で体が大きい緑色のモンスターが現れた。そう、今回の討伐対象であるオークだ。
ちょうどきりが良いことに3匹のオークを発見した。普段ならもっと奥の方に生息していてこんなに街から近い場所には出ないらしい。ただ、ここのところ頻繁にオークが出没していて、冒険者ギルドとしては森に何か異変があったのでは無いかと考えているようだ。
俺とアリシアが出会った場所も本来ならオークが出るような場所では無いらしい。どうやらオークの実力はcランク冒険者1人と同じくらいらしく、新人冒険者や低ランクの冒険者が相手出来るモンスターではないようだ。
dランクやeランクの冒険者が束になって相手したりもするらしい。そして、そんなオークが街に近い場所にいる事で新人冒険者が何人かやられたようだ。
「ついにリベンジの時ね!ユウヤは危ないと感じるまでは手出ししないでね」
「うん、分かった!」
アリシアもリベンジに燃えてるし、俺はなるべく手出ししない様にしよう。
「アクアランス!」
アリシアがシンプルな詠唱を唱えると槍の形をした大きい水の塊が彼女の両脇に現れる。その槍はまだこちらに気付いていないオーク達に向かっていく。
途中でこちらに気付いたオーク達だがアリシアの放った魔法を避けることが出来ずに2匹が倒された。
最後に残った1匹のオークもアリシアに向かって突撃しようとするが、アリシアが同じ魔法をもう一度オークに向かって放つ。それが直撃しオークはノックアウトした。
取り敢えずアリシアに取ってオークは大した脅威では無いらしい。という事は少なくとも彼女は冒険者で言うならcランク程の実力が最低でもあると言うことか。
まぁ、そんな事よりも……
「ふふっ、見たユウヤ!貴方の助けが無くともちゃんとオークを倒したわよ!」
「うん、一瞬だったね!ビックリしたよ」
「でしょ!」
ドヤ顔して喜んでるアリシアの笑顔が凄く可愛い。これを見れただけでも異世界に来て良かったと思える。