決闘
「決闘?」
何言ってんのコイツ?こういうのって向こうが逆上して殴ってきたのをボコボコにするだけのイベントじゃないの?
普通に時間も取られそうだし、野次馬が来そうで嫌なんだけど。
「そうだ!俺様が勝ったらそこのねーちゃんは俺のもんだ!!」
「いや、やっても俺にメリット無いし。というか、本人の許可無しにかけの対象にするなよ」
「別に私はそれで構わないわ」
「ねーちゃんはそう言ってるぜガキ!逃げんのか?」
「まぁ、アリシアがそう言うなら。じゃあ、俺が勝ったら有り金を全部よこせよ」
「良いぜ!俺様がお前みたいなガキに負けるわけ無いけどな!!」
そうして俺とおっさんとでやる事になった決闘。立会人は茶髪をストレートにした愛嬌のある可愛い系な顔立ちをした冒険者ギルドの受付嬢がやってくれる事になった。
それぞれの報酬はおっさんが勝てばアリシアをパーティーに加える事が出来る。俺が勝てばおっさんの有り金を貰うと。まぁ、金はいくらあっても困らないからね。コイツの持ってる金の出所が健全な事を祈るがね。
というかこの決闘って俺自身には負けたからって何かある訳じゃ無いから、美味しいポジション何じゃなのか?
ま、アリシアがこんなおっさんに取られるなんてデメリットでしかないから勝つけど。そもそもアリシアは俺を信頼して自分自身が担保の決闘を承諾してくれたんだから男としては絶対に負けられない。
ちなみにアリシアは決闘が始まる前に頑張ってと耳打ちをしてくれた。ちょっと恥ずかしそうだったのが可愛い。この一撃でさらに俺のモチベーションが上がってしまった。
「決闘では相手を殺害をする事は禁止です。勝敗は相手が戦闘不能になるか、降参するまで行います。降参した相手への追撃は禁止されています。それでは両者共に準備は宜しいですか」
「おう!」
「はい」
「それでは、始め!」
「へへっ、温厚な俺様は今謝るなら許しやらないことも無いんだぜガキ」
「ビビったのかおっさん。今なら靴を舐めて謝るだけで許しやるぞ」
まぁ、汚いし靴なんて土下座されても舐められたく無いけど。
「テメェ!舐めやがってガキが!俺様に楯突いた事を後悔させてやる」
キレたおっさんが猪のように突進しながら斧を振り回してくる。左上から斧を振り下ろした後は右下から振り上げる。そういう風な力任せの攻撃を避けながらバックステップで一度距離を置く。
現代日本人からしたら凄い速度で斧を振り回しているが。果たして異世界ではどれぐらい凄い事なのか?正直まだこの地に来て間もない俺にはおっさんの強さが世間的にはどれぐらいなのか分からない。
とはいえ一つ言えるとしたら、それはこのレベルの相手ならどうにでもなるという事だ。
「おい、どうした!避けてばっかじゃ勝てないぜ!ビビったのか!」
「いやー、この感じ何かに似てるな〜って思って」
「あ?」
「斧を振り回すデブ……あ!そうかオークに似てるんだ!」
「何だと!!誰がオークに似てるって!!」
「あぁ、でもそれだとオークに失礼か。こんなおっさんに似てるなんて」
「マジでぶっ殺す!」
少しニヤニヤしながらバカしたらキレてこちらに突進してきた。
「オラァ!死ねやガキ!!」
そう言って振り下ろされた斧を横に移動して避けた俺は、そのままおっさんの後ろに回って背中を蹴る。
「グハッ!」
俺に蹴られたおっさんはそのまま地面を3バウンドぐらいしてから動かなくなった。身体強化(極)を持つ俺の攻撃には反応出来なかったようだ。というか、多分避けずに攻撃を受けてもほとんどダメージは無かったと思う。
「オーグさん戦闘不能!勝者ユウヤ・ナグモ!」
いや、マジで名前もちょっとオークっぽいじゃん。