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アリシアとオーク


 アリシアと何とかパーティーを組めたわけだけど、今の彼女は追い剥ぎにあったため一文無し。着ている服もだいぶ汚れてしまっているしお腹も空いているだろう。




 取り敢えず街に着いたら洋服を買ったり食事を取ることにしよう。冒険者ギルドへの登録はまた明日でも問題はないし。後は今日彼女の泊まる宿をどうするかだ。




「ねぇ、アリシア」


「何かしら?」

 

「今夜泊まる場所に当てはあるの?」


「ハァー、良く考えたら当てどころかお金する無いわ」



 彼女は疲れたような顔でそう言った。アリシアは家を追放されて盗賊に襲われて命からがら逃げて来たんだ。もしかしたら逃げる事に必死でこれからの事を考える余裕なんて無かったのかも知れない。




「俺が泊まっているホテルに来る?一緒の部屋が嫌なら俺が別の宿に移動しても良いし」



 流石に知り合ったばっかりの異性と同じ空間で過ごすのは彼女は嫌かも知れない。本当は今から宿を探すのとか面倒くさいけど、先ずはアリシアからの信頼を勝ち取りたい。だからこれぐらいの事は譲歩して行こう。



「いえ、一緒の部屋で大丈夫ですよ。流石にそこまで図々しいことは言えませんよ」


「そっか、分かったよ」


「でも襲わないで下さいよ」



 笑顔で冗談のように言ってきたが、彼女の立場なら心配するのは当たり前だろう。



「もちろん、そんな事をしてアリシアからの信頼を失いたく無いからね」




 うん?何か複数の気配がこちらに向かって来ている。こちらに向かって来ているモンスターは気配を隠す気がないのか堂々とこちらに近づいて来ている。足音も聞こえるようになってアリシアもその存在に気付いたようだ。



「ユウヤ、何にこちらに向かって来ているわ」


「うん、そうだね。大丈夫、ちょっと前から気付いてる」


「そう」


「今は魔力も無いだろうし、アリシアは後ろで見ていて」


「分かりました。それではお願いします」




 そして俺たちの前に現れたのは緑色の肌をした人間よりも大きいモンスターだった。全体的に筋肉質で頭からは角が生えてる。武器は斧のような物を持っている。 



「オークが4匹もいるわ。本当に大丈夫なのユウヤ?」



 やっぱりオークなんだ。最初に戦闘したゴブリンもそうだけど異世界系では定番のモンスター達だね。




 それよりもアリシアが不安になっている。まぁ、本来の彼女の力がどれ程の物かは分からないが魔法を万全に使えない状態であの巨体のモンスターと対峙するのは怖いだろう。ここは一つ良い所を見せないとね。



「任せて!レーザービーム!!」



 先ずはレーザービームで先制攻撃。この攻撃が1匹のオークの首を貫通する。それを見た別のオークが斧を投げ飛ばしてくるが地面に叩き落す。




 突っ込んで来る残りの2匹のオークが斧を振りかざしてくるが、ジャンプで回避して先程貰った斧で首を切り落とす。しかし、もう1匹が俺をスルーしてアリシアの方に行こうとする。そのこちらに背を向けているオークの顔面にレーザービームをぶつけて倒す。



「ユウヤ後ろ!危ない!!」



 しかし、さっき斧を投げてきたオークが後ろを向いて隙を晒した俺を思いっきりぶん殴る。そのまま殴られた勢いで地面にバウンドしながら飛んでいく。



「うお!!」


「ユウヤ!!!」



 オークの攻撃によってアリシアのいる方まで飛ばされた。やっぱりオークって凄い腕力してるんだろうな。あの見た目だしそれはパワーあるよね、結構な飛距離を飛ばされたわ。こんなに飛んだのは人生初の体験だ。




「ちょっと、起きてユウヤ!起きてちょうだい!戦う前は随分と余裕そうだったじゃない」




 そう言って今だに起き上がらない俺に声を掛けてくれるアリシア。



「アリシア、君と出会う事が出来て良かったよ。君と過ごすかけがえの無い毎日はとても楽しかったよ」


「まだ半日も一緒に過ごしてないわよ!起きなさい!2人で逃げるわよ」


「僕の事はもういい。君だけでも逃げるんだ!」



「貴方を見捨てて逃げるなんで私には出来ないわ」



 覚悟を決めた顔するアリシアと心なしかニヤニヤしている様にも見えるオーク。そして地面に倒れ伏している俺。



 もう勝ちを確信しているのかゆっくりとこちらに近づいてくるオーク。至近距離まで近づいて来てこちらに手を伸ばしてくる。



「そーい」



 そのタイミングで一気に起き上がった俺はジャンプしてオークの前まで近づいて顔面に蹴りを食らわす。頭部を蹴られたオークの頭は胴体とお別れして森に飛んでいく。




「え??ユウヤ?」


 混乱するアリシアに一言告げる



「テッテレー!ドッキリ大成功!」


「そう……」


「俺は大丈夫。アレぐらいの攻撃だったらたいしたダメージにはならないし。心配してくれてありがとう」



 まぁ、オークの攻撃を食らったのはわざとじゃないんだけど。どうせならピンチになったフリをしたいなーって。



「ユウヤ」


「うん?どうしたの?」



 そう言えばさっきから静かだなアリシア。考え事でもしてるのかな?



「歯を食いしばれ!!」


「へ?痛っ!!」




 凄い攻撃だ!アリシアの握力って実はオークよりも強いんじゃ無いだろうか。という事はアリシアはオークと人間のハーフなのか!



「何ですって!」



 あ、やばい。つい心の声が漏れちゃった。









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