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アリシア


「改めまして僕はユウヤ・ナグモと言います。答えたくなければ別に良いんだけど、どうしてこんな所でモンスター襲われてたのかな?」




 色々と尋ねたいことはあるのだけども、取り敢えず貴族のお嬢様のような雰囲気がある彼女が何故こんな場所にいて、どうしてモンスターにやられそうになっているのか?




 まずはそこについて彼女に聞いてみた。とは言え無理して聞き出すことでも無いので、答えたくないのならそれはそれで別に構わない。




「そうですね、余り話したい話題でも無いのですが…」



 おっと、やっぱりこの話題は彼女にとっては地雷だったかな?



「ごめん、嫌なら無理をして話さなくても別に良いんだ」



「いえ、貴方には先程モンスターに襲われていた所を助けて頂きましたし。かいつまんで説明させて貰います」




少女説明中





「という訳です」



「なるほど、話して頂いてありがとうございます」




 ふむ、どうやら彼女は何らかの理由で家から勘当されたらしい。彼女にとっては不幸な事かも知れないが、俺にとっては彼女に巡り合わせてくれてありがとうございますって言う感じだ。まぁ、不当に彼女を追い込んでいたのなら赦さないが。





 持ち物を持つ事も出来ずに追い出された彼女だが、今まで貯めてきた貯金と家からお金に成りそうな物を奪って出てきたらしい。なかなかに逞しい。




 うん、話を聞くに余り家での待遇は良くなかったようだ。じゃなければ、何の罪悪感も感じずに金品を取ったりしないだろう。この事を話している彼女は心なしか生き生きしていた気もする。





 家を追い出された彼女は遠く離れた場所に行こうと旅立った。しかし、別の町に行くために乗った馬車の中に盗賊の仲間が居たらしく、乗客は薬盛られて身動きが取れず彼女以外の人間は殺されたらしい。





 次に彼女が起きた時には場所の中で寝かされてたらしい。だが、そんな事ではめげない彼女は腕や足を縛られていたが魔法で縄を切り盗賊達を殺して逃げ出したそうだ。




 その途中で追っての盗賊達やモンスターを倒しながら1日ほど逃走したが、魔力が尽きてモンスターにやられそうになっていたのがさっきの光景らしい。




 ちなみに金品などの所持品は盗賊達に盗られてしまったらしい。今は多分だけど、盗賊達のアジトにあるんだろう。俺が最初に捕まえたヒャハッー盗賊と関係があるんだろうか?あいつら今ごろ元気にヒャハッーしてるかな?



 うん?というか事はつまり


「つまり君は今無一文ってことかい?」



「まぁ、そうなりますね」



「何か頼れる人だったり当てはあるの?」 



「取り敢えず、冒険者になって稼ごうかと。魔法の腕には少しばかり自信がありますし」



「それなら俺とパーティーを組んでくれないかな?」



「貴方とパーティーですか?…」



「つい先日冒険者になったばっかりの駆け出しだけど」



 まぁ、それは考えるよな〜?いくら命の恩人とはいえ素性の分からない相手、しかも提案をしてきた相手は異性。普通に考えたら警戒するのも無理はないし、逆に怪しまない方が迂闊すぎてちょっと心配になる。




 それから5分ほど考えていた彼女は決断を下したのか頭を上げてこちらに目線を向けた。




「少しお聞きしたいのですが、何故私をパーティーに勧誘したのでしょうか?」



「何故とは?」



「自分からこういう事を言うのも癪ですが、私って明らかに訳ありじゃないですか」



 まぁ、何でこのタイミングでパーティーに勧誘したのかは気になるよね。




 正直なところを言えば、他に頼れる人が無く無一文な彼女が1番困っているこのタイミングで手を差し伸べれば良い返事が貰えるのではないかという打算はある。



 後は先手必勝で仕掛けて、もし駄目でもまたタイミングを見極めてアタックすれば良いやとも思っている。



 そしてこの行動の根本にある気持ちは



「君が好きだから」



「え?」



 うん、呆けている彼女の表情もやっぱり最高に可愛い。写真を撮って家に飾りたいぐらいだ。



「一目惚れなんて言うとアレかも知れないが君を愛してる!!だから先ずは君との縁を繋ぎ止めて起きたくて」



「え、と…そうな風に好意を正面からぶつけられた事が今まで無くて困惑してるのだけど」



「君は俺を利用すれば良い。俺は君と一緒に入れれば嬉しいし君に尽くすよ。どうかな?」



「そうね、驚きもしだけど貴方の真っ直ぐな好意は素直に嬉しい。嘘を付いている感じもしないし」



「それはもちろん本心だからね」



「それに一回その告白を置いておいても今の私には頼れる人も居ない」



「だから、こちらからお願いするわ。私とパーティーを組んでくれないかしら?」



「え、本当の本当に良いの?嘘だったりしない?」



「フフッ、貴方が私にパーティーを組まないかって言ったんじゃない」



「それはそうだけど…」



「そう言うばまだ名前を言ってなかったわね。私の名前はアリシアって言うの」

 


「アリシア」



「そうアリシア。改めてこれから宜しくねユウヤ!」




 そう言って彼女は不敵に笑った。こうしてついに異世界初のパーティーメンバーが誕生した。



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