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悪魔のような姪っ子……
カレーライスの嫌いな子供ってあんまり聞きませんよね、そういえば。
「しっかりしてよね! そんなことでどうすんの、このザコ!」
隣に座った姪っ子が、派手なTシャツから伸びた左肘で僕の脇腹をつつく。食欲旺盛で、口も悪いこの幼女がひどく憎たらしい。
「今日はあと二軒……一日でやるなんて、ジュリーさんなかなか鬼畜だねえ」
二十年近く生きてきて、今日ほどカレーライスを見たくないと思った日はなかった。つい二時間前にも、同じようにカレーショップのカウンター席で大盛りを食べたばっかりだというのに、何の因果か、またこうして目の前に大きな皿が控えている――はっきり言って、地獄だった。
「それともあたしが食べてあげようかあ? 小学生に助けられるなんて、だらしなーい……」
憎たらしい、という感情が危うく殺意に切り替わりそうになったのを必死にこらえると、僕は泣きたいのを我慢して、カレーへスプーンをおろした。とにかく、辛かった――。