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出生


生まれは徳島県。

県魅力度ランキング堂々の42位にして(※去年は46位)、日本で唯一電車が存在しない、文明社会から追放された未開のジャングル。


駅前の商店街はハリボテかと思うくらいシャッターが閉まりきっており、開いている店があると思えば大抵アニメショップか麻薬の密売所である。


企業から貰える賃金は安いのに物価が高いため、県民は慢性的な貧困に喘いでおり、ひとたび県外から金持ちが越境してくるのを見るや否や、槍と弓矢を携えて奇声を上げながら襲いかかって来る。


それが徳島県。


もしもまだ行ったことないよという方がいれば、ぜひともアサルトライフルを携行し、戦車での来訪を推奨したい。


国ガチャに当たって県ガチャに外れたぼくは、そんな日本のスラム街のような場所に生まれた。




父親はお菓子屋さんを経営していて、貧乏でも金持ちでもなかった。

妹も二人生まれ、どちらかというと幸せで順風満帆な生活と言えただろう。


そう、店が潰れるまでは。


ぼくが小学校に上がる頃、店は赤字が続いて経営破綻し、父は経営者から派遣社員へと転職を余儀なくされた。


もちろん収入は激減し、生活は逼迫(ひっぱく)

それに加え、父の金遣いの荒さだけは経営者だった頃と変わらなかったせいで、家族は瞬く間に貧困家庭へと成り下がったのである。


かつては店のお菓子をいくらでもつまみ食いできたというのに、それからはお菓子はもちろんジュースを買う余裕もなく、おやつを食べさせてくれる富裕層の同級生を選別して遊んでいた小学生時代。


水道代節約のために「家族の誰かがうんちをするまでトイレの水を流したらダメ!」などと母親から教育された子供が一体この日本で他にいるだろうか。


慢性的な便秘を抱えていた次女が一週間溜め込んだうんこを排泄する度に、詰まったトイレから家族全員分の尿と特大の糞が混じった汚汁が逆流する様は、魔王(サタン)が地獄の底から咆哮を上げるかの如きおぞましさであった。




…さて、汚い話はこの辺にして、そんな貧困家庭で育ちながらもぼくには夢があった。

昔から絵を描くことが好きで、いわゆるアニメ系のイラストレーターを目指していたのだ。


画材が手に入らない日は古代エジプト人を見習い、近所の塀にガリガリと石でアニメキャラを刻んだものである。


しかしそんな環境下で画力の向上はおろか、ましてや美大への進学費用など確保できるはずもなく…。


「妹達のために高校卒業したら働いてちょうだい」


母からの一声で、ぼくはそれから8年間、近場のほっともっとでアルバイトをすることとなる。


「お電話ありがとうございます!ほっともっと◯◯店でございます!」


辞めて数年経った今でも、誰かからの電話に出るたびに反射的にそう声かけしそうになる呪いに精神を蝕まれ続けている話は、また別の機会に。


こうしてぼくは一旦絵を描く筆を折り、まったく関係ない職種を経験することとなった。


もちろんそんな動機で始めた仕事にやりがいや誇りを持てるはずもなく、


(何故ぼくは見ず知らずのおっさんやBBAのために毎日お弁当を作っているのだろうか…)


と疑問に思いながら仕方なく手を動かしているだけであった。


やる気が出る時といえば、美女が来店した時くらいなものである。

当時の自分はこっそり連絡先を渡せるほど陽キャではなかったため、代わりにクーポン券を入れまくったが、二度と美女が来店することはなかった。


とはいえ、そんな無礼な思考で仕事をしていてもお給料はキッチリ振り込まれる。


月収10万円程度のたかがフリーターではあったものの、実家から通うこどおじ(※子供部屋おじさん)の恩恵を遺憾なく発揮した結果、家にお金を入れながら2年で100万円貯めることに成功したぼくは、これで将来への道が開けると歓喜したものだ。


直後、両親の離婚を引き金にその貯金が全て吹き飛ぶことになるとは露知らず…。



自分自身の半生を大げさに書き綴っただけのくだらない内容ですが、読んでくださってありがとうございます。

息抜きに書いているだけなので、わりと短く完結させる予定です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 拝読しました。 徳島県に行ったことはないんですが、こんなに怖かったとは(笑) 自伝的小説となるのでしょうか。 苦難が予想される引きですが、最後まで読ませて頂きたいと思います。
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