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第十二話 勇者(2)

 なんだ。


 オレが何かしたか。


 いや何もしていない。


 なんでこんな、こんな、こんな事になってる?


「えええええええ!?死んでるぅ!?」


 ランが思わず叫んだ。


「あっ、や、やめろ!!叫ぶな!!」


「あああああアンタも叫んでるじゃないの!!」


 つまりもう手遅れという事である。


 声を聞きつけて観客達が集まってきた。


「なんだなんだ。」


「また死体か。」


「どうしたんだね君たち。」


 ああもういい、余計な野次馬よ去れ!!来るな!!話が大きくなりかねん!!


 オレの祈りは神には届かなかった。わらわらと集まる人々。その騒ぎを嗅ぎつけてやってくる追加人員。そして、


「どうしました。」


 兵士達が血相変えてやってきた。


「また死体ですか?」


 また、って凄いよな。全く。いやそこに感心してどうするんだ。


「いいいいいいいいや、その、オレは違う。違うんだ。オレは何もしてない、ただーーー」


 と手を振って慌てて取りなそうとした時。


「あれ……!?」


 ランが驚愕の声を上げた。どうしたどうした今度はどうした。


「う……ん……?あれ?皆さん……。どうしました……?」


 死体が、起き上がった。


「? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ?」


 オレは何が起きているのか全く分からずただただ呆然とその男の顔を見つめる事しかできなかった。口があんぐりと空いていた。


「なんだ見間違いですか?人騒がせな。」


 そんな事を言って人々がバタバタと去っていく。お前らは何だ。騒ぎたいだけなのか。そんな悪態を心の中で吐きながら、オレはその元死体に向き直り、ステータス画面を開いた。



 LIFE : 1



 もう少し前に見たかった数値が見られた。オレはホッと息を吐き、安堵した。


「ああ、良かった。」


 だが男は、先程よりはまだ生気に満ちているものの、それでもどうにも気力に欠ける顔のままポツリと言った。


「ああ、また生き返った。」


「……()()?」


 オレの疑問系の呟きに、彼はオレの方を向いて言った。


「あ、どうやらご迷惑をおかけしたようで……すみません。本当に。こうするしかないのですが、どうにもならなくて。」


 全く話が飲み込めない。


「ちょっと、なんで死んでたのよ。なんで生き返ったのよ。なんで生きてるのよ。アンタさっきライフが0だったじゃないの。」


 ストレアがオレも疑問に思っている事を言うと、彼は頭をポリポリと掻きながら言った。


「いやあ、その、何とご説明すれば良いのか。……信じてくださいます?」


「内容次第、ですよねぇ?」


 ランの言葉にオレは肯いた。


「とりあえず、いきなり倒れてきたのは何でなんだ。ぶつかったせいじゃあないよな?」


「あはは、その、それについては大丈夫です。ちょっと毒を飲んだせいで、ふらついて死んでしまったみたいです。あ、大丈夫ですよ。自分でですので。僕が自分で毒を飲んだので、別に誰かに殺されたとかではありませんので、そこはご心配なく。」


 ……こいつが何を言っているのか全く分からないのはオレだけだろうか。


「で、ですね、生き返った件については、多分なんですけれど、僕の命を誰かが生き返らせてるんです。多分なんですけど、魔王の部下が、だと思います。」


 さっぱり意味が分からない、という顔でオレはコイツを見つめた。だが嘘を言っているわけではないようで、コイツは本気でそう思っているようであった。


「……どういう事だ?」


「僕のライフは、魔王と共有されているみたいなんです。」


「きょう、ゆう?」


「はい。えっと……何処から説明したものか……。あ、まずここまでの説明、信じて頂けますか?」


 信じるも何も。意味が分からないので何も言えない。


 どうしようかとオレはストレアの方を見た。


 ストレアの顔には滝のような汗が流れ落ちていた。


「……お前……?」


「あああ、ああああああ、ええっと、続けて。」


「はい。僕は昔から世を儚んで自殺する事があったのですが。」


「初っ端から飛ばすなぁ。」


「すみません。それで、自殺する度に生き返っていたんです。それで色々調べてみました。そういう事が起こり得るのかどうか。すると、僕が死んだ前後で、魔界の方で何かしらの騒ぎが起きているという噂が、毎回流れているんです。」


「そそそそそ、それだけで魔王とライフが共有とか、まだ決まらないでしょ。」


「そうなんですが。ただもう一つ。」


 そう言って彼は背負っていた剣を下ろして言った。


「僕が死ぬとこの剣が眠りについて、生き返ると眠りから覚めるみたいなんです。今はちょうど眠りから目覚めるところです。」


 その言葉に呼応するかのように、剣の(つば)の部分に埋め込まれた宝玉が輝き始めた。


「……こ、ここここここれ、この剣は!?」


 ストレアが諤々と震えながら言った。


「僕の地元にあった剣です。所謂ーーー」


「ーーー勇者の剣!!」


 ストレアが叫んだ。


「勇者と魔王のシステムを組んだ時に作った剣!!ここここここ、これを持ってるって事はまさか!?」


 男は照れ臭そうに頭をポリポリと掻きながら言った。


「はい。僕はブレイド・ヴィルド。勇者として生まれてきた者です。」

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