『兄妹の結婚が認められました』という嘘のニュース映像を妹に見せたら俺を嫌っていたはずの妹の様子がおかしくなりました。
すごく短い短編を投下します。
「祐太にいのスケベ!」
俺が妹のゆかりの部屋の前を通るとドアが風で開いてゆかりの下着姿が見えてしまった。
学校一の美少女と言われているゆかりは中3にも関わらず胸は大きく、ブラからこぼれそうだった。
「また大きくなったのか」
「うん…っていつまで見てるの!閉めて!」
「ごめん」
「『責任取れるなら見てもいいけど、取れないでしょう?』」
「うっ」
ぴしゃっ!
思いっきり扉を閉められた。
俺はこういうゆかりに対する『ラッキースケベ』が多いんだが、その度に『責任取れないならやめて』と言われている。
それって『責任取れるならいい』ってことかと言いたくなるのだが、実の兄妹で結婚とかできないから実際に責任は取れないんだよな。
なんて思っていたけど今日は面白いものを持っているんだぜ!
『エイプリルフール映像集』のブルーレイだ。
これには『あたかも本物のようなニュース』がたくさん入っており、テレビで再生して本当のように見せかけることができるのだ。
エイプリルフールなんてとっくに終わっているけど、友達の家でこれを見つけたからさっそく借りてきてしまった。
これでゆかりをびっくりさせられるぞ。
両親は日曜日で出掛けているから俺たち二人だけ。
そしてゆかりはリビングでひとりで昼ごはんを食べている。
「俺も食べようかな」
「勝手にすれば?」
「そうする」
俺はテレビを付けつつ、ゆかりの向かい側に座った。
付け合わせのミニトマトを突き刺そうとすると、すべってミニトマトが飛んでいき…
すぽん
たまたま横に動いたゆかりの胸の谷間に潜り込んだ。
相変わらずのラッキースケベっぷりだな。
「きゃあっ!」
「ごめん」
俺がトマトを取ろうと手を伸ばすと、
「まさか触る気?責任取れるならトマト取ってもいいわよ」
今だ!
俺は机の下のリモコンで操作してブルーレイを再生する。
『続いてのニュースです』
俺がテレビ画面を見ると釣られてゆかりも画面を見る。
『兄妹でも結婚できる法律が施行されることになりました。これにより…』
「ええええっ?!」
目を丸くして驚くゆかり。
どうやら信じたみたいだな。
よし、嘘のニュースが終わる前に畳み掛けるぞ!
「ゆかり。責任取れるならトマト取ってもいいんだよな?」
「え?あ、えっと、ま、待って」
「責任とるからな」
「い、いやあああああっ!」
ゆかりはトマトを胸に挟んだままリビングを飛び出していってしまった。
やり過ぎたかな?
あとで顔を合わせたら謝っておこう。
とりあえず部屋に戻るか。
ぴろん
あれ?お母さんからの家族CHAIN?
『明日は祝日だから今夜は泊まっていくわね。留守番頼むわよ』
またか。
うちの両親ラブラブだからって泊まり掛け多すぎ。
夜ご飯何にしようかな?
とかベッドで考えていたらいつの間にか寝ていた。
もう夜か。
コンコンコン
「祐太にい」
ゆかりが俺の部屋のドアを叩くとか珍しいな。
「何?」
「夜ご飯作ったから来て」
作った?
温めたとかじゃなくて?
リビングに行くとミートスパゲッティがあった。
俺の好物だ。
「お母さんが作っておいてくれたのか」
「違う、私が作ったの!」
え?
料理ってお母さんの手伝いくらいで、今まで二人で留守番していても作ってくれたことなんてないのに。
「早く食べて」
「わかった」
ちゅる
「どう?」
「うん、美味しいよ」
「よかった!」
満面の笑みを浮かべるゆかり。
なんでそんなに嬉しそうなの?
それにすごく可愛くてドキドキするんだけど。
「祐太にい」
「ん?」
「はい、あーん」
スパゲッティを巻いたフォークを差し出してくるゆかり。
「あ、うん」
ぱく
「えへへ」
いちいち反応が可愛らしすぎる。
「なあ、急にどうしたんだ?」
「べ、別になんでもないの」
それならいいけどさ。
食事が済んで俺がお風呂に入っていると、いきなりドアが開いた。
「きゃああっ!」
悲鳴をあげたのはドアを開けたゆかりのほう。
「どうして入ってるの?!」
「電気ついてるだろ!」
「責任は取れるのよね。それなら仕方ないよね」
ドアを閉めて湯船に足を掛けるゆかり。
胸とかを手で隠しているけど大きすぎて隠れてないので俺は慌てて顔を背ける。
「何で入ってくるんだよ!」
「寒いから」
狭い湯船で密着してくるゆかり。
いかん、これ以上はまずい!
俺は慌ててお風呂を飛び出した。
どうなってるんだ?
まさかあの嘘ニュースのせいか?
それで俺が責任取れるからって…それはつまりゆかりが俺のことを好き…。
ぴろん
え?
ゆかりからのCHAIN?
『リビングでゲームしよ』
ゲームなんてゆかりが中学になってから誘われたこといから久しぶりだな。
リビングに行くとゲームが立ち上げてあり、『配管工のレースゲーム』がセットしてあった。
「これで勝負して、負けたら罰ゲームね」
「何の罰ゲームするんだよ」
「相手の言うことを聞くの」
何だそれ?
でも雰囲気に流されて始めてしまう。
俺の隣にゆかりが座っているけど、カーブのたびに体を傾けてきて俺に何度も当たる。
いい匂いだな。
それに湯上がりでなんだか色っぽいし。
なんて考えていたら負けていた。
「やったあ!」
「くっ!それで何を頼む気だよ?」
「祐太にいのスマホの中身見せて」
うっ!
それは絶対に駄目だ。
「いいよね?」
「駄目だ!」
「約束破るの?」
「駄目だ!あっ!持っていくな!」
「これは顔認証だから、えい!」
俺にスマホを向けられて、あっさりロックを解除される。
「返せ!」
「あっ!」
ばたん
俺はゆかりを押し倒したような体勢になっていた。
「す、すまん」
「責任取ってくれるならいいよ」
「え?」
「このまま、シテもいいよ」
ドクンッ!
「ば、馬鹿言うな!だいたいお前はまだ中学生…」
ぴっ
ゆかりが手に持っていたリモコンを操作する。
『次のニュースです。中学生から結婚が可能になる法案が可決されました。それに伴い性行為も…』
そ、それは例の…
「中学生でもシテいいんだって」
「こ、これはエイプリルフールで」
「7月にエイプリルフールなんて無いよ」
「そもそもゆかりのことなんか好きじゃないからさ。妹だし」
俺はゆかりから顔を背けつつそう言う。
「ふうん。この『ゆかりフォルダ』って私の写真で一杯なんだけど?」
「え?ああっ!」
いつの間にか俺のスマホの中を見られていた。
そこには『愛する妹』の秘蔵写真が満載だった。
「ふうん、盗撮はしてないんだ」
「当たり前だ!」
「じゃあ、コレクション増やしてあげるね」
パシャ
俺のスマホで胸元をアップにした写真を自撮りするゆかり。
「祐太にい、ボタン外して」
「やめろよ。それ以上はさすがにまずいから!」
「いつも私の下着を見たり胸とか触ってるのに?」
「あれは事故で」
「事故であんなになると思う?」
ニヤリとするゆかり。
まさか
「いつもそうなるように私が誘導していたのよ。今だってそう。わざと押し倒されたの」
何だよそれ!
「祐太にい、ここで臨時ニュースです」
「え?」
「『お兄ちゃんのことが大好きな妹に兄がキスしないと逮捕される法律が施行されました』」
「なっ?!」
「祐太にい、だ・い・す・き」
そう言って目を閉じるゆかり。
その唇はあまりに愛らしくて…。
「『…をしないといけない法律が…』」
「もう、祐太にいのエッチ。そんなことしてほしいんだ。じゃあ『兄が妹の…を…する法律が…』」
「このスケベ妹が」
「似た者同士だもーん」
俺たちはかろうじて一線を越えないレベルでじゃれあった。
「ゆかり」
「祐太にい」
俺たちは手を繋いでこう思った。
法律が本当に変わればいいのに。
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