第八章 見えざるものの影 3.罠と軍拡競争、そして発見
このところ、ユーリは罠の作成に熱中している。理由は言わずもがな、自作の罠を仕掛けてそれを発見する事で、罠発見のスキルが生えてくるのを期待しているのだ。まぁ、どうせ練習なんだから、馬鹿正直に村の外に仕掛ける事もなかろうと、村の中に設置しているのだが。何しろユーリ以外の村人はいないのだから、誰に迷惑がかかるでもなし。その点は気楽なものである。
とは言え、道の真ん中に置いただけの罠を見て看破した事になるわけもなく、それなりに注意して設置する必要があるのは無論である。要するに、自分の【鑑定】を罠仕様に鍛えるためのデータを収集している状態なわけだが、根が真面目で凝り性のところがあるユーリの事だけに、段々と罠の構造もその設置法も凝ったものになっていた。
要は罠師としての技術だけが――戦果は全く無いにも拘わらず――上達していったのである。それに呼応するかのように、罠発見の技倆も上がってゆき……
《新たに【罠師】のスキルを得ました。ステータス画面を確認して下さい》
新スキル獲得のお報せに、よしっとガッツポーズを決めたユーリであったが、続いてのお報せに戸惑う事になる。
《新スキル【罠師】が【田舎暮らし指南】に統合されました。ステータス画面を確認して下さい》
「……へ?」
・・・・・・・・
しばらくの硬直の後、再起動したユーリが【田舎暮らし指南】を確認してみると……
「……これって、プルダウンメニューになってるの? ……判るわけないだろ、こんなもん……」
どうやら……いや、考えてみればそれを示唆するあれこれはあったのだが、【田舎暮らし指南】というのは一種の統合スキルであるらしい。その傘下に様々なお役立ちスキルが包含されていた……気付いてみれば。
さっき報された【罠師】も確かにその中にあるが、ユーリの目は違う箇所に釘付けになっている。
そこには【調薬(初歩)】【錬金術(初歩)】【鍛冶(初歩)】という文字が並んでいた。ただし……
「【調薬(初歩)】はともかく、【錬金術(初歩)】と【鍛冶(初歩)】はグレー表示になってるんだけど……これって?」
説明を探して読んでみると、グレー表示なのは解放されていないスキルらしい。ここに至って初めてユーリは思い当たる。
「そういえば……今までにも、手作業で一通り工程を済ませたら、次からは妙にスムーズに作業が進んだりしてたけど……あれって……」
察するに、あれが「スキルが解放された」という事なのだろう。一旦そうなった工程は、手作業だけでなく魔法で代行する事もできるようだ。
「【調薬(初歩)】が解放された事になってるのは……やっぱり、この間のポーション作成が原因なんだろうな」
思い返してみれば、あの時も途中から妙に作業がスムーズになった。お蔭で大量のポーションを作成してしまったわけだが。
他にどういうスキルがあるのかとつらつら眺めていたユーリの目が、一つのスキルのところで停まる。
「【対魔獣戦術】? なんだこれ?」
判らないものは調べるだけだ。説明書きを読んでみると、これもまた統合スキルであるようだ。様々な魔獣ごとに、その対処法を纏めてあるらしい。魔獣の種類が多い上に、対処法にしても一つとは限らないために、必然的に統合スキル扱いになったらしい。
プルダウンメニューになっているのを幾つか開いてみると、ユーリが狩った憶えのある方法は解放済みの扱いになっている。それはまだ解るのだが、問題は……
「……方法というか、知識だけは事前に読む事ができたんじゃないか……それを知っていれば……何もあんなに……迷ったり悩んだりする必要は……」
がっくりと頽れるユーリであった。
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名前:ユーリ・サライ [去来笑 有理]
種族:人間(異世界人)
性別:男
年齢:七
魔 力:170
生命力: 91
筋力値: 33
防御値: 22
敏捷値: 20
器用値: 22
知力値: 45
スキル:【生活魔法】【言語 (究)】【鑑定 (Lv6)】【収納 (Lv3)】【察知 (Lv6)】【隠身 (Lv6)】【水魔法 (Lv4)】【土魔法 (Lv4)】【光魔法 (Lv3)】【闇魔法 (Lv3)】【火魔法 (Lv2)】【風魔法 (Lv2)】【木魔法 (Lv2)】【探査 (Lv1)】【罠師 (Lv1)】→【田舎暮らし指南】に統合
固有スキル:【ステータスボード】【田舎暮らし指南】
加護:神々の期待




