それいけ!勉君
勉は明日から小学1年生。
夕食を終えると、おばあちゃんに買ってもらったピカピカのランドセルを背負い、鏡の前で何度も何度も自分の姿を確認していた。
そこにおばあちゃんがやって来た。
「勉、小学校に上がったら、友達いっぱい作るんだよ」
さっきまで誇らしげに鏡の前でポーズを決めていた勉は、急に、元気が無くなった。
勉は気が弱く、幼稚園ではあまり友達が出来ず、教室の隅で1人で過ごす時間が多かったからだ・・・。
朝が来た、朝食のパンと目玉焼きを食べ終わるとお母さんが言った。
「勉、準備は出来てる?ハンカチ持った?」
勉は朝から気合を入れて準備万端だった。
お母さんと手を繋ぎ家を出た。
入学式の為、公園を横切り、小学校へ向かう途中、勉は急に不安に襲われた・・・。
足がすくむ、突然立ち止まり、うずくまった。
「どうしたの?お腹でも痛くなった?」
お母さんが心配そうに覗き込む。
勉は昨日おばあちゃんが言った(友達一杯作るんだよ)の言葉を思い出して、いままで出来なかった事がどうやって出来るか方法が見当たらず不安になったのだった。
うずくまって動かない勉はふと地面を見た、そこには綺麗に列を作り行進するアリの姿があった。
しばらく見ていると、どこからか1匹のアリが列に向かってやってきた。
他所からやってきたアリは列にぶつかった。
すると列の中から1匹のアリが飛び出して来た。
そのアリは警戒してるのか、よそ者のアリと触覚を使いなにやらやり取りを行った。
しばらくすると、2匹のアリは何事もなかった様に列に加わり行進を始めた。
それを黙って見つめていた勉は、しばらく間を置いて、立ち上がった。
【繋いでいたお母さんの手をより強く握り、さっきまでより大きな歩幅で歩きだしていた・・・】
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