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シーナリーエッセイ集  作者: 由木 ひろ
19/23

前通りま~す

 秋の深まるある休みの日、僕は趣味のツーリングで久留孫山に登った。


 幾重にも続くカーブを楽しみながら山頂に近づいて行くと、少しづつ霧が視界を狭めて行く。

 スピードを緩め慎重にバイクを走らせる。ライトをハイに切り替えても近くの霧に遮られるだけだった。

 霧の為にヘルメットのバイザーも曇ってより視界が悪くなり、バイザーを上げて目を凝らす。

 更に進むと、霧は次第に薄くなり、ついに霧を抜け出たのである。


【霧の壁の先にはどこまでも澄み渡る青い空と山の頂が待っていた】


 後ろを振り返ると依然霧の壁は存在しており山肌を流れる様に移動していた。現実と幻の世界の狭間に居るような気がして暫くその景色を楽しんでいた。


 山頂にたどり着きバイクを降りて下を見ると、山の麓の家々が小さく見える。空には一羽の鷹が大きな円を描くように悠々と飛んでいた。

 ひんやりした澄んだ空気を大きく吸い込み深呼吸する。

 山頂の景色を楽しんだ僕は、バイクにまたがり来た道を戻る事にする。


 暫く走ると先ほどの霧の壁が現れる。視界も悪く危険な道だ。

 五感を使って危機回避を試みる。

 ヘルメットを外しバイクのエンジンを切り霧の壁に突入する。

 耳を澄まし対向車のエンジン音を探る。

 もしエンジン音が近づいて来たならクラクションでこちらの存在を知らせる予定だ。


 坂道を重力に任せてゆっくり慎重にバイクを操る、

(シャー)

 エンジンを切ったバイクからはチェーンの擦れる音だけが聞こえる。


 慎重に走りようやく霧をぬける事に成功した。緊張から解放され思う存分下り坂を満喫しようとバイクのエンジンを始動しようとしたが現状で走る事にした。


 静寂な山道でバイクの爆音を轟かせるよりも、無音で風を感じつつ自然を堪能しようと思ったのだ。

 重力に任せつつバイクはスピードを上げて行く、右へ、左へ、とバイクを操り山道を下って行く、耳を澄ませば鳥の囀りが聞こえて来る、とても心地良い。


 下り道終盤の長い直線の坂道にさしかかった。動力無に何処までスピードが出るか興味が出てノンブレーキでしっかりハンドルを握る。


 スピードメーターはゆっくり加速していくのを指し示す。

 かなりスピードがのってきた時、突如前方に黒い物体が動いているのを発見してブレーキをかける。

 バイクはその物体の数メートル手前で完全に停止する。


 目の前の道路を横切っていたのはイノシシの親子だった。親の後を三匹の子供達が綺麗に一列になってついて行っている。

 こちらには全く関心を示さずに・・・


 横断歩道を渡る学童を信号待ちしてる気分だった。


 親御さん子供たちはしっかりついてきていますよ(笑い)

 イノシシの親子を見送りバイクに火を入れる。


 さて、次は何処にいこうかな・・・・・・。






季節ごとにいろんな顔を見せてくれるので同じ場所でも何度でも行きたくなりますね!

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