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シーナリーエッセイ集  作者: 由木 ひろ
17/23

コウモリさんでしたっけ?

 ある晴れた日の午後、いつもと違う散歩コースを歩きたくなってリュックに水筒をいれて家を出た。

 何時もの川沿いのコースと反対の山を目指す。山と言っても、自宅から10分位歩いたら麓に付く、小高い丘と言った方が適切だろう・・・


 何時も目に入っていたが、登るのは初めてである。

 長い事住んでいるのに見た事ない景色に新鮮さを感じながら坂道を登って行くと、かなり年期の入った神社を発見した。


 興味をそそられ神社の石段を登って拝殿の前にやって来た、垂れ下がった太い藁紐らしき物を揺らし、大きな鈴を鳴らす。心の中で挨拶を済ませ拝殿に背を向けると、なにやら鳥の声が騒がしい・・・

 声のする方に向かい歩いて行くと、カラスの群れがなにやら襲っている様だ。


 さらに近づいて行くと、カラスの群れは木の上に止まり、こちらを威嚇するように大きな声で鳴いている。

 襲われている何かを確かめようと草むらの中を覗き込むと、カラスと同じかそれより大きいフクロウが弱った状態で草むらの中で弱弱しく羽ばたこうとしていた。


 さては子育て中のカラスの縄張りに入って集団で反撃を受けたな!?


 両手を伸ばしフクロウを掴もうとしても逃げる気力も無い様で、草むらの上をちょこちょこ歩くのみで容易に捕まえる事が出来た。

 体のあちこちからはカラスの攻撃によって出来たであろう傷から、薄っすらと出血していた。

 このままでは完全に死んでしまうだろう・・・

 仕方ないので家で手当てする事にした。フクロウをリュックに入れて家まで帰って来た。


 部屋の中でフクロウをリュックから取り出すと、翼を広げ威嚇してきた。翼をバタつかせるものの、やはり飛ぶ事が出来ないようなのでこちらが怪我をしない様にタオルで包んで捕まえて、家に有った傷薬を薄めて傷口に付けてあげた。慣れて来たのかタオルの中で大人しくしていた。


 さてどうしたものか、このまま部屋に放しておくわけには行かない。

 物置から小さな段ボールを持ってきて、片側を切り抜きひっくり返してベランダの隅に置いた。

 弱った体で飛び立たない様に足には細い紐をくくり付けてベランダに出してみた。

 飛び立つ素振りも見せず段ボールの中に入って行った。気にいってくれた様だ。


 次の日、仕事帰りにペットショップでフクロウの餌を買い物して家に戻ると、二階のベランダから何かが釣り下がっていた。

 近づいて行くと・・・


【フクロウが中吊り状態でぷら~ん、ぷら~んと風に吹かれて揺れていた。そんなフクロウと目が合った】


 コウモリみたいだな・・・


 慌てて部屋に戻りフクロウを引っ張り上げる。フクロウはキョトンとしていた。

 悪い事をしてしまった、紐が長すぎたんだ。今度はベランダの手すりまでの長さに調節した。


 ベランダで買って来た餌を与えて見た、なかなか食べようとしない。目を見つめると必ず目をそらし首を傾げる。


 そういえば名前を付けて無いので呼び方に困った。


 やたら首を傾げるので安直に『カタコリー』と名付けた。我ながら最悪のネーミングセンスである。


 辛抱強く餌を与え続ける事一週間、カタコリーは元気を取り戻し頻繁に翼を動かしていた。

 そんなある日、足の紐を外してみた。しばらくの間気づいて無いのか、手すりの上で大人しくしていたのだが。突如、空に向かい飛び立っていった。振り返りもせずに。


 飛び去るフクロウを見送りながら、お礼位しろよな!(笑)


 カタコリーとの短い生活が終わったのであった・・・・・・












フクロウを飼う時は革手などを使いましょう・・・

知らないで餌やりなどしたらそこそこな怪我をします(笑)


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