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シーナリーエッセイ集  作者: 由木 ひろ
15/23

風邪ひくなよ~

降り続く雨。


憂鬱な日々が続く梅雨のシーズン。趣味のサイクリングに行けない不満が日に日に積もって行く。

そんなある日の朝、目が覚めるとカーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。

カーテンを開けると、曇天の隙間から朝日が顔を覗かせていた。雨は降ってはいない・・・

時計に目をやるとAM5:35だった。


寝巻から素早くTシャツとブルージーンズに着替え外に出る。

周囲を見渡すとどこも濡れていない。行ける・・・

自転車に飛び乗りいつものサイクリングコースに向かう。

このコースは片道30分の川沿いの土手を往復するお気に入りのコースだ。


順調に折り返し地点の橋を目指しペダルを漕いで行くと、ジョギングしている人や散歩している人達とすれ違う。

川に目をやると、水鳥の群れが旅立ちの準備なのか、川面を埋めて行き来している。

その光景を眺めながらゆっくりペダルを漕いでいると、上流側の数羽の水鳥が上流に向かい羽ばたいた。

翼をはためかせながら水面を走る水鳥。水面にはその鳥たちが立てた波紋が広がって行く。

数羽の水鳥達の行動が切欠となって、残りの数十羽の鳥たちもその後を追って飛び立った。

長い列を作り水鳥達はみるみる高度を上げて行く。

上空に達して水平飛行を開始した鳥たちは統率の取れたV字の編隊を形成してどこかに消えて行った。


目的地の折り返し地点に辿り付いてしばらく走っていた時の事、


(ゴロゴロゴロ)


進行方向に有る黒く厚い雲から雷が鳴った。

家まで30分、何とかもってもらいたいが・・・


暫く走っていると、とうとう雨が降り出した。始めは小降りだったのだが、だんだん本降りに変わり、しまいには目を開けていられない位の強烈な雨が降り出した。

濡れない内に家にたどり着こうと、かなりのスピードを出していたのだが、ここに至っては諦めた。


強烈にたたきつけて来る雨にどうしようも無く、ゆっくり道を確認しながら走っていると。

前方から散歩の途中にこの雨に遭遇して途方に暮れる若い女性と小さな柴犬がとぼとぼと歩いて来た。


小さな柴犬は、初めて経験する強烈なスコールに戸惑いながら、数歩歩いては纏わりつく雨を嫌って大きく体をゆすっては数歩歩く事を繰り返していた。

女性は強烈な雨のせいで前が見えないのか、掌を額に当てながらゆっくり歩いていた。


面白い動作を繰り返す小さい柴犬を観察していると・・・


【立ち止まって大きく体をゆすったと思ったら、『クシュン』と小さくくしゃみをした】


風邪引くなよ。と、思いながらすれ違った。


暫く走ると雨は小降りに変わって行き、家に着く頃には上がっていた。

家に付いて自転車を降りると、川から上がったみたいにずぶ濡れで、ズボンからは水が滴っていた。

部屋に戻り玄関でずぶ濡れの衣類を脱ぎ捨てて温かいシャワーを浴びようとした時。


『ハックション』


大きなくしゃみが出た。

体は冷え切って鳥肌が立っていた。


温かいシャワーを浴びつつ、バスタブにお湯を貯め心から温まった。


子犬の心配も良いが、自分が風邪を引いてはシャレにならないと思ったとある日の出来事だった・・・




えらい目にあった日でした・・・

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