お母さん!?忘れ物ですよ~
熱い、今日は今夏一番の暑さだ、会社は休日なので、家でエアコンにあたりながらのんびり過ごす予定でいたのだが、昼飯時になり冷蔵庫を開けると、食材が無い事に気づいた・・・。
『なんてことだ!!!』
今年一番暑い日の、しかも一番気温の高い時間帯に出かけるなんて、自殺行為だ!
ニュースで盛んに(最高気温更新)を朝から聞いてるので、どんなものかと、玄関の扉を開けて外の様子を伺うと。外ではセミの大合唱が大音量で聞こえており、涼しい室内にいたから、外気との温度差が激しく、凄まじい熱気が纏わりついて来た。
僕は、何もなかったかのように扉を閉め、すたすたと涼しい室内に戻り、テレビの前に座った。
やっぱり、こんな日は外に出ないに限る。
テレビをぼんやり見ていると、お腹が鳴る・・・
人間、決まった時間になるとお腹が減るようになっているんだろうか? 空腹感がだんだん強くなってくる。
時計を見るとPM1:25分、涼しくなるまで外に出るのは我慢しよう・・・
テレビでは、本日の昼飯コーナーで、家庭の絶品グルメを紹介している。滴る肉汁のギョーザを紹介していた。
僕は、画面を見つめながら喉を鳴らした。
もう限界だ!
素早く部屋着から着替え、Tシャツ、短パン姿にサンダルで近くのコンビニへ向かった。
近いと言っても、徒歩5分は掛かる。到着した頃にはすでに大粒の汗が噴き出していた。
コンビニの中に入ると、エアコンが効いていてとても快適だった。店内を物色しているとそうめんが目に入った、昼飯は涼やかなこれにしよう!
ついでに、棒アイスも買った。
コンビニを出て自宅を目指し歩いていると、食べていたアイスが猛暑のせいで溶けて、棒から落ちそうな状態になっていた。足を止め、横からアイスを咥えていると、5メートル先位にトラックが止まっていた。
良く目にする黒い猫を咥えた運送会社のものだ。
止まっている僕の後ろから、配達員だろうか? 駆け足で僕を追い抜き、トラックに乗り込み、素早く車を走らせる。
この暑い中ご苦労様である、休みの自分の状況に感謝しつつ、トラックの止まっていた場所に目をやると、黒い一匹の猫が丸まってお昼寝をしていた。
子猫と言うほど小さく無いし、大人にしては小さいその黒猫は、突然明るくなり、直射日光にさらされて目覚めたか。
【二本の前足を大きく伸ばし、精いっぱいあくびをした】
黒猫は前足を舐めては目をこすっている。
ぼくは、偶然だが、さっきまで止まっていた『黒い猫を咥えた運送会社のトラック』の下で昼寝をしていた黒猫が、親猫に忘れられたように思えて、笑いが込み上げてきた。一番下の子猫を咥えて、上の子を忘れたまま行ってしまった。
忘れられた子は呑気に毛づくろいしている。
お母さん!? 戻って来てあげて~・・・。