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シーナリーエッセイ集  作者: 由木 ひろ
11/23

お母さん!?忘れ物ですよ~

 熱い、今日は今夏一番の暑さだ、会社は休日なので、家でエアコンにあたりながらのんびり過ごす予定でいたのだが、昼飯時になり冷蔵庫を開けると、食材が無い事に気づいた・・・。


『なんてことだ!!!』


 今年一番暑い日の、しかも一番気温の高い時間帯に出かけるなんて、自殺行為だ!


 ニュースで盛んに(最高気温更新)を朝から聞いてるので、どんなものかと、玄関の扉を開けて外の様子を伺うと。外ではセミの大合唱が大音量で聞こえており、涼しい室内にいたから、外気との温度差が激しく、凄まじい熱気が纏わりついて来た。


 僕は、何もなかったかのように扉を閉め、すたすたと涼しい室内に戻り、テレビの前に座った。

 やっぱり、こんな日は外に出ないに限る。


 テレビをぼんやり見ていると、お腹が鳴る・・・

 人間、決まった時間になるとお腹が減るようになっているんだろうか? 空腹感がだんだん強くなってくる。

 時計を見るとPM1:25分、涼しくなるまで外に出るのは我慢しよう・・・


 テレビでは、本日の昼飯コーナーで、家庭の絶品グルメを紹介している。滴る肉汁のギョーザを紹介していた。

 僕は、画面を見つめながら喉を鳴らした。

 もう限界だ!

 素早く部屋着から着替え、Tシャツ、短パン姿にサンダルで近くのコンビニへ向かった。


 近いと言っても、徒歩5分は掛かる。到着した頃にはすでに大粒の汗が噴き出していた。

 コンビニの中に入ると、エアコンが効いていてとても快適だった。店内を物色しているとそうめんが目に入った、昼飯は涼やかなこれにしよう!

 ついでに、棒アイスも買った。


 コンビニを出て自宅を目指し歩いていると、食べていたアイスが猛暑のせいで溶けて、棒から落ちそうな状態になっていた。足を止め、横からアイスを咥えていると、5メートル先位にトラックが止まっていた。

 良く目にする黒い猫を咥えた運送会社のものだ。


 止まっている僕の後ろから、配達員だろうか? 駆け足で僕を追い抜き、トラックに乗り込み、素早く車を走らせる。


 この暑い中ご苦労様である、休みの自分の状況に感謝しつつ、トラックの止まっていた場所に目をやると、黒い一匹の猫が丸まってお昼寝をしていた。

 子猫と言うほど小さく無いし、大人にしては小さいその黒猫は、突然明るくなり、直射日光にさらされて目覚めたか。


【二本の前足を大きく伸ばし、精いっぱいあくびをした】


 黒猫は前足を舐めては目をこすっている。


 ぼくは、偶然だが、さっきまで止まっていた『黒い猫を咥えた運送会社のトラック』の下で昼寝をしていた黒猫が、親猫に忘れられたように思えて、笑いが込み上げてきた。一番下の子猫を咥えて、上の子を忘れたまま行ってしまった。

 忘れられた子は呑気に毛づくろいしている。



 お母さん!? 戻って来てあげて~・・・。





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