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プロマネさんのいるBAR  作者: かう
2/8

002、ジントニックその1

カランッ、小さな音を立てて店のドアが開いた。

「すみません、こちら初めてなんですけど、いいですか?」

「いらっしゃいませ。もちろんです。カウンターにどうぞ」

入ってきたのは20代半ばの青年だった。カウンターに座った青年は落ち着いている振りをしながらあたりを見回し、おしぼりを受け取った。

「お久しぶり・・・ですね」

おしぼりを渡しながら、突然ジジさんが青年に声をかけた。

「おぉーすごい。さすがですね。嬉しいです。5~6年ぶりですかね。山内です。ご無沙汰しています。」

「もうそんなになりますかね。お名前までは思い出せませんでしたけど」

「いやいや、それでもすごいですよ。何回かしか会ってないのに。独立されてお店出したって聞いたから来てみました。」

「わざわざありがとうございます。」

青年の名前は山内。ジジさんが独立してこの店を出す前に働いていたお店を何度か訪れたことがあるとのこと。

「何を飲まれますか?」

「ちょっと歩いて汗ばんだし、ジントニックいただいてもいいですか?」

「ジンは何にしましょうか、ちょうどこの前京都に行ってきたので、京都の美味しいジン入ってますよ。それか、はっさくのリキュールを入れて作るジントニックも美味しいです」

「じゃあ、そのはっさくのジントニックを下さい。柑橘系好きなので」

「かしこまりました。」

広島生まれのはっさくリキュール、これがホント美味しいんですよ。カクテルが苦手。という人は是非一度BARでカクテルを飲んでみて欲しい。居酒屋とは材料から別物ですし、種類も豊富ですからね。かっこつけてマティーニ頼んだりしないで、まずはジントニックから始めましょう。ジンの種類もたくさんありますし、トニックウォーターでも味が変わりますからね。

「ジジさん、僕にも同じジントニックちょうだい」

一番奥に座っていたプロマネさんが声をかけた。

「プロマネさんがジントニック飲むなんて珍しいですね。いつもウイスキーかラムなのに」

「たまにはね。あーはじめまして。私プロマネといいます。偽名ですけどね。」

突然声をかけられた青年は少し驚いたような顔をして、奥の席へ目を向けた。そこにはスーツ姿で仕事が出来そうには見えない、少しだらしない感じのサラリーマンが座っていた。

「はじめまして、山内といいます。」

「ジジさんが前にいた店に行ったことあるの?」

「はい、そのときはジジさんと篠崎さんって方が働かれてました。」

「あー、はいはい。ザッキーね。懐かしい。ザッキー今どうしてるの?ジジさん知ってる?」

「いえ最近は会ってないですね。」

思い出話に花を咲かせ、美味しいお酒を飲む。そんな幸せな時間が今日も流れていた。

「山内さん、最近はどうなんです?何か困ってることあったら、そこのプロマネさんに言ってみるといいですよ。人の悩みを聞くのが趣味みたいな人だから」

「そうなんですか?実は・・・」

日常パートが終わり、シリアスな空気が流れ始める。これもまた『BAR Q』のいつもの光景である。


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