「繰り返しって面倒臭いですよね?」
「拙者、下忍と申す」
「あら、カリンおばあさまの言った通り黒い服を着た人が来たわ、成功よ」
「・・・魔王の復活で魔物の暴走ですか?」
「よくご存じで、やっぱり百年前の勇者様なのですね、実は百年前の記録とか残ってなくて難儀したのですよ、今回は魔王フェニックスが軍を率いて攻めてきているもので勇者様に御すがりするしかないと・・・」
「またフェニックスかよぉぉぉぉぉぉぉぉ!あときちんと残しとけっていったろうハゲえええええええ」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「まぁひいおじいさまって髪が残念でしたの?肖像画は溢れんばかりの長髪で描かれていましたが」
とお姫様が指さした先には盛ったハゲの肖像画が掛けられていたがフサフサに改悪されていた。
これはさすがに許されんな、『倉庫』から絵の具を取り出し、王冠を消し、正しい姿に上塗りしていく・・・うん!良い出来た、頭頂部の光加減がいい塩梅だ。
「さてお姫様、一応聞いてみるが魔物の方は対応できているのか?」
「フフフ、私もおばあさまの名前を頂いてカリンって言いますの、よろしくね勇者さん」
「勇者ではない、忍者だ」
「分かりました、忍者さんですね、魔物の件はお父様が仰るには10年前より精強な兵を育てるよう言い含められていたらしいので大丈夫なのですけど・・・魔王フェニックスと魔王軍が村や町を襲っていると報告があったのです、それでおばあさまから伝えられていた召喚の儀を行いましたの・・・」
「わかった、じゃあ『狂戦士』の刑は勘弁してやる、んじゃフェニックスを止めてくる」
そう言い残し忍者は消えていった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「よぉ、魔王様出世したなぁ百年ぶり?」
「貴様は!あの時俺を殺した黒装束の男か!ここであったが百年目!骨も残さぬよう灰にしてくれるわ!」
「灰になって甦るのはお前さんだろう?忍者も灰から復活するかもしれんぞ?」
忍者は片手で手刀を、もう片手に盾を構える、ブツブツと何か言っているが呪文でも唱えているのであろうか・・・
「先手必勝ぅぅぅ!」
とフェニックスが叫び火炎をまき散らす。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
フェニックスは周り中に火を放ち、あたりを照らすが忍者の姿は無い・・・
目の前に灰の塊が落ちている・・・やったのか?
「フハハハハハハ魔王であるこのフェニックス様を侮るからだ!」
ガシャン!音がした方、後方に振り返ると奴がいた、さっきの盾に刃が生えている・・・
『カエンスリケン!』そう奴が唱えると盾の刃に火が灯る。
掛け声とともに奴がソレを投擲する!
『影分身』そう唱えるとソレが三つに分かれる、フェニックスは混乱した、何故奴は生きている?本当に復活したのか?それにカエンスリケン?そんなスキル聞いた事も見た事も無い、何だあれは・・・
ソレが通り過ぎた後、フェニックスは今回の死を迎えたことを知った・・・
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
(うん!やっぱり『ファイアウエポン』でカエンスリケンモドキが出来たな、これからもいろいろ試していこう)
忍者はいそいそと巨大手裏剣を回収し、燃え残った天幕に『勇者参上!』と書いておいた。
そして魔王を失った軍は統率を失い四散していった・・・軍事物資ごっちゃんです。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『文字抽出』『再構成』『貼付』『経年劣化』
「ほらよ、古文書風に作っておいた、これで色々備えると良い」
「忍者様、微に入り細に入り気を掛けていただき感謝いたします、ところで・・・フェニックスは三年で復活すると聞いたのですが大丈夫なのでしょうか?」
「こっちで調べてみたらね、フェニックスは灰の中から雛が生まれるらしいんだ、その灰が時間停止の付与のしてあるものに入れて有ったらどうなるかな?」
「時間が経たないなら復活しませんわね!流石ですわ忍者様」
「と言う訳でこの布袋がフェニックスの灰ね、付与はしてあるが万が一袋が破れたりしたらこの予備渡しとくから入れなおすようにしてね、そんじゃもう会う事も無いだろうが元気でな」
そう言い残し忍者は消えていった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「さて・・・軍を四散させた尻拭いに行くかな・・・面倒臭ぇ・・・テンションあげてやりきるか・・・」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「魔人様じゃ!魔人様が村を救ってくださった」
「あっという間に魔物を狩っていったんだ」
「イヤアアアアアとか掛け声がかっこよかったよね」
「必殺の呪文もカッコよかったわよスッゾコラーだったっけ?」
どうやら大量の黒歴史を作ったようである・・・俺は見てない聞いてない・・・
召喚されそうなのでとっとと逃げることにしよう・・・
「拙者、下忍と申す!」
とぅーびぃーこんてにゅー