「勇者たちの裏側」
「拙者、下忍ともう・・・」
「なにやってるんですかぁ?相良香さん」
「ごふぉぉ!佐賀根ェっさらっとフルネームでくぁwせdrftgyふじこ」
「はっはっはさっきのお返しですよ」
召喚の間では唖然としている神官たちが口を挟めないまま口喧嘩を見守っていた・・・
黒装束の男はいじけたのか床にのの字を書いている・・・かと思ったら魔法陣をものすごいスピードで書き始める。
「付き合いきれん、あとはそこの似非イケメンにでも頼んでくれ」
「あ~・・・やり過ぎたかな?ごめんねテヘペロ」
黒装束の男は魔法陣の中に消えていった・・・
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
とある世界の空に浮かぶ島、その一角に鉄筋コンクリート製でグラウンドとアリーナの併設された建物が立っていた、グラウンドには大量の魔法陣が描かれており、その一つに黒装束の男が現れ、建物の中に入っていった。
「ただいも~」「「「「おかえろー」」」」
黒装束の男が入ってきたのに皆当たり前のように受け入れる、男はそのまま家庭科準備室に入り食料を詰め込んでいく、同じ要領でアリーナで武器防具を科学室にポーションなどを出していく。
「ホームに戻ってくるのも久しぶりだがだいぶ物が減ってるな・・・」
そういうとクラス表記の所に『忍者」と書いてある部屋に入っていった。
「おーい相良、戻ったんだって?」
「『召喚眼鏡』か佐賀根くんが召喚に応じないって泣いてたぞ」
「俺は用事ないもん、研究中だったから邪魔されたくなかったし」
「ほうほう、なんか俺が使えそうなモン開発できた?」
「いや全くない」
「んで・・・なんか用?」
「素材が尽きかけてる物があるからリスト作っといた」
「素材はお前が行けよ、留守番からなんか報告は?」
「留守番からは無いけど鍛冶の方から耐火煉瓦と炭と鋼が残り少ない、錬金からはポーションの材料の在庫がやばい、調理から味噌仕込むから大豆が必要、漫研から新刊はまだかっての位だな」
「だから錬金はお前が行けよ、鍛冶と調理は了解した一回日本戻るわ漫研の申請は却下だ、図書室の床が抜けそうだし、つーか転送は大体の奴が覚えてるだろう・・・」
「移動がね・・・面倒じゃないですか・・・」
「そこまで俺が面倒を見る気はない、『カエンスリケン』とか忍者っぽい俺がやる気出るスキル研究してくれよ~」
「『広域破壊娘』や『殲滅者』にお前たちの魔法やスキルより俺のスキル優先させるからって言えるのなら・・・」
「うん、俺も命は惜しい、この話はここまで、つーコトで休暇ついでに日本戻ってくるわ」
「いてら~」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
衣装の中からスーツを選んで着る、パッと見は普通のサラリーマンだ、パッと見はね・・・
車の音、排気ガスの匂い、夜なのに明るい街の灯り・・・実家はもう無い、今から行くのは婆ちゃん家だ、『倉庫』からお土産となるものを出して旅行カバンの中へ詰めていく。
「婆ちゃん生きてるか~?」
「死んでるよ~」
よし中にいるな、これは相良家の普通の挨拶である。深く考え無い事を進める。
「あらまぁ香かい久しぶりだねぇ」
「ざっと三年になるかな?これお土産のワインとかチーズとか」
「いつも珍しいもんありがとねぇ、いい冥土の土産が出来たワイ」
「三年前も同じ事言ってたぞ、そういえば部屋そのままになってる?」
「ベッドの下まで綺麗にしといたよ、寝る前に何か食うかい?」
「いやこのまま寝てまた明日から出かける」
「輸入会社ってのはそんなに忙しいのかい?もっとゆっくりすればいいのに・・・」
「好きでやってるんだよ、そうしないと手に入らない物も多くてね、おやすみ」
「はいはいおやすみ」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌朝から頼まれたものを買い出しに出かける、いつも世話になってる頼めば何でも手に入る会社だ、合法非合法に限らず、という物騒なキャッチコピーがある会社だが・・・
「相良さんいつもお世話になっています、今日は何をどのくらいお求めで?」
「おう、まだ担当坂根さんだったんだね、欲しいのは大豆、耐火煉瓦、鋼、炭が各一トンは欲しいあとは各十キロで調味料全般それくらいかなぁ、あとニンジャス○イヤー関連で俺の持ってないやつゲットできた?」
「ちょっと待ってください、リスト出します・・・ネオサイ○マ編の三巻、中古ですが美品です、かなりお高いですが買います?」
「金貨がいっぱいあるからそれで払えるなら」
「トレジャーハンターって儲かるんですねぇ、また違う金貨ですか、含有率調べてきますね」
コーヒーを飲みながら待つと坂根さんが返ってきた。
「ずいぶん質の悪い金貨ですよこれ・・・10金がいいとこなんでグラム1,700円ってとこですね0.2オンスすぱっと一枚一万円でどうですか?」
「信用してるからそれでいいよ、何枚になる?」
「大豆はいまキロ700円のが在庫あります、耐火煉瓦は溶鉱炉を解体した奴を引き取ってるので全部持って行って貰ってかまいません、鋼は平鋼が在庫一トンあります、炭は備長しか在庫残ってないです、全部合わせると・・・528万ですがいつもお世話になってるんで500万で良いですよ」
『倉庫』から600枚出し押し付けておく。
「ちょ、多いですよ・・・はぁ相良さん出したものはひっこめないから・・・口止め料としてもらっておきますよ」
ちなみにこの男は口止め料を払わなくても話したりしないだろう、何故なら金の取引、物販のノルマなど奴もかなり得をするからだ、お互いわざわざ口に出さないが取引だけでWinwinなのはよくわかっている。
倉庫に案内され、ジャンジャン『倉庫』に入れて行く、一時間もかからず取引は完了だった。
「じゃあまた3年後に」
「もっと頻繁に来ていいんですよ?」
坂根さんと別れ、こっちの味覚を堪能してから帰る事にする、行くのは回らない寿司だ、うむうむやはり忍者はスシだよなぁ~・・・一通り堪能した後、回る寿司に寄って特大お持ち帰りも用意したし、『転移』で空島の校舎まで戻る。
「ただいもー」「「「「「おかえろー」」」」」
『狂戦士』が戻って来ててお土産は奪われた・・・