「召喚獣じゃない?」
久々の投稿です。
仄かに光る魔法陣の上に黒装束の男が現れる。
「拙者、下忍と申す」
「・・・えっと忍びの者で良いのかな?」
見た目は黒髪黒目、巫女服のような物を着こみ御徳のついた棒をこちらに向けている。
そして相良が周りを見渡すと木造と思われる部屋の中は大量の護符が貼られていた。
「偉く物々しい部屋に呼び出されたものだな・・・」
「だってどんなものが来るのか分かんないんだもん・・・ああっと、私はカナデ、カナデ=サガラよ」
「とりあえず要件を教えてもらおうかな?」
「用件は使い魔召喚で召喚されたのがあなたよ、だからおとなしく従ってちょうだい」
「だが断る!」
「やっぱり『従属』を跳ね返してるわね、フフフ・・・忍びの者と侮ったがこれを跳ね返せるかしら『隷属』!!」
相良はステータスを開き覗いているが状態は変わらない。
「うそ、なんで?大婆様謹製の護符を大量に使用してるのに?」
ニヤニヤしてしまうが俺のせいではないはずだ。
「うぇぇ~ん卒業試験が~」
付き合いきれ無いと思い『転送門』を開こうとするが起動しない、どうやら護符の中に阻害系でも混じっているのだろうか?『倉庫』に片っ端から護符を収納していく。
「何するのよドロボー!」
俺はカナデに冷たい視線を投げかけ無言で収納していく、涙目になっているがそもそも人の助けを借りて卒業試験をしてる時点で気に入らない、と思ったところで自分が怒っている事に気が付いた。
要は怒って八つ当たりっぽくしてしまったわけだ・・・自分もまだまだだなと思いながらどうすれば収集が付くか考えてみる。
手っ取り早いのが召喚陣や隷属陣を混ぜて教えてやる事だがさすがにそんなものが残るとシャレにならん。かと言って俺が召喚してやるのも違う気がする。カナデが後ろでギャーギャー言っている、いい加減うざくなってきたんで選ばせよう。
「黙って動物限定の召喚陣を俺に描いてもらうか、護符を全部剥がされて留年するか選べ」
「ひぅ・・・」
カナデはそう言って黙った・・・と言う事は俺が描くと言う事でいいんだな。カナデに目隠しをして魔法陣を描いていく、もちろん暗記されないためだ。
『召喚を司る神に願い奉る、是に控える者に相応しき僕となる獣を遣わせ賜え、我が名は相良香、汝と契約せし者なり』
『おっけー』
・・・軽いなぉぃマジあんた神なのか?折角仰々しい詔を称えたのに色々と台無しである。
『ん~可愛い女の子だねぇ~じゃあ可愛い動物がいいかな~?じゃあこの子で決まり~』
魔法陣に現れたのは白と黒のツートンカラーの獣・・・大熊猫と書いてパンダと読むあれだな・・・
く~んとかわい声を出しているが俺は知っている、かわいさに騙されている者が多いが実は力も強く好奇心も旺盛なため厄介な獣だと言う事を。
「かわいい~」
早速カナデが契約もせずに手を出そうとするので止める。
「何するのよ!」
「馬鹿だ馬鹿だと思っていたが常識まで忘れたか?契約もしていない獣に触ろうとするなど命がいくつあっても足りないぞ」
「可愛いから大丈夫よ」
「ちなみにそいつは熊の一種だぞ、哺乳類肉食目クマ科のジャイアントパンダだ。ガブリと噛まれたら頭半分無くなるぞ」
「・・・」後ずさりするカナデ、ビビってないでさっさと契約しろ・・・
カナデが真面目な顔で呪文を唱えパンダと契約している・・・
時間かかるな・・・
まだか?掛かりすぎじゃね?
カナデがぶっ倒れた・・・魔力の使い過ぎだな。
”くぅ~ん ”
パンダが心配そうにカナデを舐めてる・・・チェックしてみると一応は従魔扱いになっているようだ、このまま放っておこう。
扉が有ると思われる所のお札をじゃんじゃん剥がしていき扉を・・・開かないな外から閂が掛けられているようだ。
まぁすぱっと切ってサッサと外に出よう・・・おっと魔法陣消さないと、危ない危ない。鉄の閂だと刃が痛むから斬鉄で下から跳ね上げるように切る。
キンッといい音がする、やはり金属の閂だったようだ。愛用の刀は刃こぼれも無いな流石『鍛冶』謹製なだけある。
外に出ると森・・・いや山中だな。周りに人の気配は無し・・・
街に出てとりあえず酒を飲もう・・・おっと『変装』を忘れてた、巫女服着てたから和服で間違いないだろう。
と思っていたら予想とはずれて意外と近代都市、洋服きている奴の方が多い・・・
ぉぉ!あれは○崎の12年!こっちの世界でまだ手に入るのか、いや待てあわてるな・・・あれが俺の知ってる12年とは違う可能性もある、落ち着くんだ・・・
三本も買っちまった・・・そのまま日本円が使えるのはありがたい。
ビジネスホテルに入り、早速一本目を開ける・・・香り良し、味良し、喉漉しが少し荒いか?まぁいい、後で何本か追加して買おう。
翌日○崎を買い占めようと酒屋巡りをしていると大熊猫を連れた今風の恰好をしたカナデに捕まった。
「見つけたわよ!大婆様の護符返してよ!」
「人違いじゃないっすか?俺パンダ連れた人知りませんが?」
「ウィーフィーがそう言ってるんだから間違いないわ!」「「「ぶふぉ」」」
俺以外にも何名か吹きだした、「Wi-Fi」を想像してしまったからだ、だから俺は悪くない!
「黄色い飛ぶって書いてウィーフィーなんだけど・・・なんで笑うのよ!」
「一つ言ってやろう、ウィーフィーはワイファイの間違った読み方として普及している、改名をお勧めする・・・ぶふぉ」
言うだけ言って○崎を買って店を出る。
あー笑った笑った、カナデが思考停止している間に『隠密』で姿を隠し店を出た。
都合よく次の召喚が来たようだ。『隠密』を使ったままいつもの黒装束に着替える。
薄暗い部屋の中、光る召喚陣の上に黒装束の男が現れる。
「拙者、下忍と申す」
「・・・?※△◆Дζ?」
召喚者と思われる少女?幼女かな?が怪訝な顔をしてこちらを覗きこんでいる。
「翻訳魔法が機能しない・・・だと」
とぅびぃこんてにゅー
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誤字修正
「ウィーフィーが行ってるんだから間違いないわ!」
「ウィーフィーがそう言ってるんだから間違いないわ!」