「誰が悪いか分かりにくぅい」
「拙者、ウィーヒック・・・zzz」
「何じゃこいつは?」
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牢の中で目が覚めた、酔っぱらってミスしたのは久しぶりだなと言いつつさっさと牢のカギを変える。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「目が覚めたか?出・・・??????」
ドタドタと足音を響かせ騎士や魔法使いたちが現れる。
「なんだこれは?」
樽で酒を出し男は悠遊と酒を飲んでいる。
「何をやっているのだ貴様は!」
「迎え酒」
沈黙が漂う中、男は四角い木のコップを使い、樽から透明な酒と思われるの物を飲んでいる。
「貴様ぁ!」
若い騎士と思われる物が槍で突こうとするがなぜか届かない、鍵も合わず牢をガチャガチャする様子はどちらが牢の外か錯覚するほどだった。
「ムキになってる?ウキーって言ってみろ~ゲラゲラゲラ」
そう言って男はどこからともなくベッドを取り出して寝てしまった。
「どうなってるんだ?本当にあれが召喚された者なのか」
金髪の男が叫ぶ、おっとりした表情の男が横で宥めているが興奮は収まりそうにない。
「召喚した僕が言うのも何なんだけど失敗したかなとは思っていない」
「ふぅー何故そう思う?」
「あいつが虚無魔法の使い手かもしれないからさ、何もない所から物を取り出す?そんな魔法聞いた事も無いからね」
「ブラルバールの知りえない魔法などないだろう?」
「カイン王子の買い被りさ、特に虚無魔法は謎が多い、あの男を調べれば僕の研究も捗ると言う物だ」
「そこはせめて国の為と言って欲しかったがな」
二人の見えない位置に居た小さな蜘蛛の事などだれが気にしていただろう・・・
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「なるほど、虚無魔法ねぇ・・・まぁもう少し様子を見るかな、酒はまだまだあるし」
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三日ほど経つがあの男から何の情報も引きだせていない、それどころか地下牢に続く扉も空かなくなってしまった、ドアは外に開くのにどうやって開かないようにしているんだ・・・
地下牢への入り口は頑丈だ、外から閂を掛けてしまえば中で問題が有っても逃げ出せないのだから・・・しかしその頑丈な扉が仇となった。
地下牢の通路も狭く斧もまともに振れない為、木工職人を呼び何とかして穴をあけようとしているが木材の扉ががまるで鋼のようだと言っている・・・
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『堅固施錠』マジ便利、『開錠』『解呪』も使えないとはこの国の魔法レベル低いなぁ・・・
まぁ大体の様子はわかった、獣人の国を亡ぼすために俺は呼び出されたらしい、とりあえず両方の意見を聞いてみないと判断できないな蛮族とか獣どもとしか言っていないからよくわからん・・・
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森の中を黒い影が走る、複数の気配を感じたのかその影が止まった。
「動くな、人どもの手先か?それとも同胞か?」
黒い被り物を取ると現れる特徴的な耳、猫耳である。
「町から逃げてきた、狩りをしてたら訳も分からず捕まったから逃げてきた、色々教えて欲しい」
そう言うとがさがさと音を立て獣人が出てきた、こっちは犬耳だ。
「武器は持っていないようだな、しかしまだ信用できん、すまんが縛らせてもらうぞ」
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犬耳や尻尾をモフモフしたい衝動を抑えながら森の中を村へ連行される。
「すでに言ったが町から逃げてきた、どうなってるんだ?」
「流れの猫人か、よほど世間を知らんのだな、今こそ小さくなってしまったがこのエルフの森と呼ばれた場所の木をこれ以上伐られるわけにはいかんのだ、森が小さくなれば我々人狼と呼ばれる者も生きて行けん」
「じゃあ俺とばっちり?」
「そう言う事になるの、すまんことをした」
長と思われる老人が頭を下げる、よほど悪いと思ったのか耳がぺたんと寝てしまっている。
「ちなみにエルフはいるん?」
「森が小さくなり精霊樹の力も弱くなっているがまだ百人ほど頑張っておる」
「よしわかった、俺が力を貸そう」
そう言って猫人は森の外延部まで走って消えていった・・・縛られたままで。
「なんじゃったんじゃあいつは・・・」
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「環境破壊と生存競争、まぁ悪いとは言わんが・・・難しい話だなぁ・・・」
『木遁』
そう言うと木がにょきにょきと生えてくる。
「一人じゃ追いつかんな・・・『分身』」
あっという間に同じ顔をした猫人が百以上現れる。
「分身1から20は森の西で木遁、21から40は東、41から60が南、残りが北側だ、北側の61から100は『変装』をドルイド風に変更しておくこと、では散開」
「さて・・・話聞いてくれるかね」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ブラルバール、地下牢の方はどうなっている?」
「今のところ石工呼んで周り掘らせている」
二人がため息をつく中、黒装束の男が現れる。
「話・・・聞いてくれる?」
青筋が浮かび上がるカイン王子をよそにブラルバールと言われる魔法使いが
「条件次第だね」
とあっさり言ってしまう。
「条件とは?」
「君の使う魔法について、すべて教えるように」
「愚問だな、お前の魔術もすべて晒すのなら考えなくもないが・・・そんな気はさらさら無いんだろぅ?」
そう言った瞬間カインとブラルバールは動けなくなってしまう。
「うぐ・・・バインドか・・・」
「まだ話せるとは、すげーな魔法使い」
「なんのつもり、だ・・・」
「まず話を聞け、対応はその返事次第で変わるからよく聞いて考えるように」
ブラルバールが頷くと
「まず人狼族をこれ以上刺激しない事、森の伐採を計画的に行い森を減らさないようにする事、それからあそこには精霊樹が有ってエルフも住んでるから下手すれば精霊のバランスが崩れて大事になると言う事」
ブラルバールが目を見開いたと思うと『影縛り』が弾かれた。
「フハハハハハハハ、精霊樹、探していたものがあそこに有るとは、これでこの国にも用は無くなっ」
言い終わる前にブラルバールの首が落ちる・・・
「で・・・あんたはどうするんだ?」
王子の足元には水溜りが出来ていた・・・
『影縛り』を解いてやろうかと思ったが・・・水溜りの中にある針に触りたくねぇ・・・
王子を引きずりソファーに座らせる。
「ちっとは落ち着いたか?それでどうする?国王と話した方が良いか?」
「父上は・・・あの森には手を出すなとおっしゃっていたがブラルバールが開拓は必要だと言って・・・そのうち獣人たちの被害が木こりから出てきてブラルバールが助っ人を呼ぶって言って・・・
ブラルバールが・・・」
「手を出さななら良い、ガチで大事になるからな、それから森は少し大きくなるから開拓しないようにな」
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「おー結構できてるな、『分身解除』」
「な・・・消えた」
「人狼族か、人との話は付けたこれからはこの森が開拓される事も無い、動物とかが戻ってくるには時間はかかるだろうがその辺はエルフたちとうまく付き合ってやりくりしてくれ」
「お前・・・いやあなたは勇者と呼ばれる物なのか?勇者は種族の偏見などが無いと聞いた事が有る・・・」
黒装束の男は背を向け、ゆっくりと立ち去りながらこう言う。
「フッ、勇者ではない・・・忍者だ」
とぅーびぃーこんてにゅー
悪いのはブラルバールだけでしたね、被害者はカイン王子とエルフ族や人狼族でした。
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修正 6/12
森の中も村へ連行される→森の中を村へ連行される
この国にも要は無くな→この国にも用は無くな
針に触りたくねぇ・・・→『影縛り』を解いてやろうかと思ったが・・・水溜りの中にある針に触りたくねぇ・・・




