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働くママ日記 しあわせ時間  作者: あじさい
8/13

神様の魔法はパーマ頭

彼はいつもそういってくれた。

「黒髪でストレートがとっても綺麗だって言ってくれた。」


私はそう言ってもらえた事がとっても嬉しくていつも髪を綺麗にしていた。


食事にも気を付けて美しい黒髪を保っていた。


産まれた頃からずっと髪はストレートだった。

両親が厳しかった事もあって髪は染めた事もなかった。

それが余計に美しい黒髪を作っていた。



君の綺麗な髪が大好きだ。

そういわれる度に、とてもうれしかった。

大好きな君にそういわれるのがうれしい。

とてもうれしかった。



そんな私も40歳近い頃にとっても悲しい事があった。

とっても悲しい事があって、

体調を崩して自宅で療養している時にそれは変化が起きた。


体調を崩した私はすぐに髪の毛が沢山ぬけた。

手で髪をなでるだけでもあまりにも沢山の髪が抜けるので、

すぐに頭皮が見えるほどまでハゲた。



抜けて抜けてもう駄目だとあきらめて、

ハゲでもいいやと思いだした頃だった。


だんだん抜け毛がへって新しく髪が生えだしたことにきがついた。


ハゲが改善しだした頃は体重も戻って、

なんだか身体も少しずつ戻りだした頃だった。



心のストレスで髪が抜けていたのかな。

頭の、髪の毛の面積が全盛期より3分の1くらい抜けていた頭に、

ハゲの部分がだいぶ生えそろった時にきがついた。



髪がくるっくるに丸まってしまうことに、

まるまってしまうことにきがついた。


パーマをかけていないのに、

パーマ頭になっていることにきがついた。



新しく生えた髪の毛はパーマがかかっていた。

それは伸びれば伸びるほどにクルクルが酷くなる事も気が付いた。



これからハゲで生きていこうとまで思っていたので、

髪が生えてきただけでもいいとは思ったのだけれども、


なんだか少し期待していた。


またあの美しい髪に戻れるんじゃないかって。

心の中で少し、いやだいぶ期待していた。


なんの取りえもない私だったけど、

あの人が美しいといってくれた髪は、

最後の希望のような気がしていた。


いや、よくなっていく体調と同時に、

人間のあさましい欲の部分がでてきただけかもしれない。



だから期待しっちゃった。


美しい髪が生えたら、

また美しいといってもらえるかもしれないって。


そう思えば思うほど、

伸びるほどに髪はクルクルになった。



けれども、神様はいるらしい。

どん底で何もないハゲの私にちょっと神様は魔法をかけてくれた。


その魔法はちょっと強力だった為に、

私の髪にパーマがかかっていた。


ともう一つ、


ハゲ散らかした頭に新しいパーマの髪と、

それを見た彼からの言葉だった。


「クルクルした髪も美しいよ」

だった。

そんな言葉も神様はプラスで魔法をかけてくれた。



あんなに黒のストレートの髪が大好きだったのに、

クルクルした髪も美しいといってくれた。


「美しい」


この私が美しいなんて、

うれしすぎて倒れそうになった。



無くしたものが多すぎて、

殻に閉じこもっていた私に神様は魔法をかけてくれたみたい。



振り向いた時に彼はいいました。


「君のクルクルした髪が大好きだよ」


私はまだ、歩いていけそうです。

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