運命は4回巡る
人外にはなれている。というより、元々いろんな世界にいくのだから人外魔境の類いにも慣れている
でも、悠以外には優しくないんだよね
だから、仲間内には【遠里悠関連の仕事以外の仕事はちゃんとこなすが、やり方は最悪】と言われ続けた
まぁ、悠以外は基本どうでもいいし。寧ろ何で助けなきゃいけないの?と思っている
だから急いで人気のないところに連れていく
「ゆりす。人気のないところに行ってないか?」
「人気の多いところはダメ」
「何で?木を隠すなら森の中だろ?」
「違うよ悠。それは対人相手の場合、人外たちは人がいればいるほど、暴れ多くの人を犠牲にするし、大混乱となれば二次被害、三次被害と大きな混乱をうむ。それなら、人外を最初から殺せばいいんだよ。むしろ、人外の中には対象を見分ける類いのやつ等もいる可能性も・・・・」
「ごめん。もうお前にまかせる」
ユリスクリムシェンは人外のプロでもある。ただし、それは己の経験から一番、安全かつ無傷で命を危険にされない方法を導き出したに他ならない
「(悠を守る。傷つけるなら殺す)」
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「どんどん人気のないところに行ってるな」
「人外魔境の地に連れていかれる人のようだな」
「でも、不思議ですよね?二人とも普通に歩いてッ!!」
「「ッ!!!?」」
「えっ?どうしたんですか?」
陽炎以外の三人が気づいた。別の妖気が後方より物凄い速さで近づいてくることに
「構えろッ!!」
亜矢椿の言葉で陽炎も、妖怪が近くに来ていることがわかった
陽炎は何度も祖父の縁で酷い目にあっただけでなく、自分の(祖父の)式である阿比王の殺り合いが原因で妖怪に狙われることも多々あった
その類いかと思い身構えたが、現れた妖怪は今まであった妖怪とは別だった
人形のようで実際は不気味に漂う存在。しかも、こちらを見続けている
「何ですかあの妖怪?」
「見たことねぇーけど亜矢椿先輩は?」
「私たちもない」
「新種かもしれません」
新種とはその名の通り、新たに生まれた妖怪。都市伝説の類いのモノもその1つでもある
「新種なら捕まえるか、分析しないとな」
「あの~亜矢椿先輩?」
「どうした広野江?」
「あの二人が、走って逃げているのですが・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・間
「二人を追うぞ」
「えっ!?新種は?!」
瀧月の質問に亜矢椿は答える
「もしもの最悪は、新種を捕まえられず逃げられるか、こちらが怪我を負う。その後にあの二人の内のどちらかが、喰われることだ。それなら新種を諦め、人命救助が先決だ」
「はい!」
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「ゆりす!」
「悠走って!厄介だなあの生き物」
「ッ!!」
「(悠を急かせたり、走らせたくないのにッ!!)」
どうすれば、遠里悠の負担を減らし危険な目に会わせることなく、あの人外を殺せるのか。考えを巡らせそして思い付いた
「悠」
「な、なに?」
「ごめん。止まって」
大人しくゆっくりと歩みを止めた。そして、ゼーゼーと息を荒くしている悠にゆっくり近づき、背中に登る
そして、首筋からいつも通り血を吸う。その後、ユリスクリムシェンは悠の耳元で不思議な言葉を発する
「ゆりす?」
「これで、悠は大丈夫」
その言葉を聞いた直後だった
「アビラウンケンソワカッ!!」
「ッ!!!!」
悠の近くで爆音が聴こえた