第1話その4 白金の美しき少女 その1
「……………………」
「……………………」
ようやく部屋のあたりが見えるようになった時に私の布団の上には一人の少女がいた。見た目は小学……いや中学生ぐらいかな?身長は145~ぐらいであった。黒いゴスロリみたいなスーツを身につけており、その凛としたつり目で私を見つめていた。
普通ならここで驚くところだが、色々と奇妙なことが起こりすぎて脳内の思考が停止していた。とりあえず、私は誰かを聞いた。
「えーと、どちらさんで?」
「初めまして。私は、白金暮洲と申します。あなたのコンシェルジュ(執事)担当です」
「え、ちょっと待って、どこから入ってきたの?まさかもう家の周りには社員がたくさんいるとか……!?」
「いいえ、私一人です。確かめてみますか?」
私はすぐさま家の周りを調べた。タンスや机の下。天井裏……はないや。倉庫や家の周り半径20メートル……。調べ回ったがやはり、白金暮洲1人だけだった。
こうして部屋に戻ったあと、暮洲は急に私の周りをじろじろと見つめ始めてうーんと呟いた後に疑問符を持った顔で問いかける。
「あなた、元の主とは違いますね」
しまったーッ!バレてた!
やはり前から情報を持ってたか……!どう言い訳しようかと悩んでたが彼女は『まあいいや』と諦めたので私は顔見られないように過呼吸をした。しばらく呼吸した後に私は暮洲に問いかけた。
「にしても、あなたは何者なの?さっきは部屋の周りには誰もいなかったけど、まさか新手の商法?なら帰って頂戴」
「商法も何もあなたが契約したではないですか」
「そりゃあそうだけど……なんか書けと聞こえたから……で、その『スターライト』……だっけ?あれはなんのカードなの?」
暮洲はきょとんとした顔で言った。
「『スターライト』は幸福のカードです」
「……はい?」
「『スターライト』は、持っているだけで必要な場合必要なだけ【幸福を持ってくる】カードです」
「……あ〜そういう事ね、完全に理解した。占い屋ですか。知ってますよぉ、何かしらの宝くじの当選番号知ってるからと言って高額な料金を請求とかするんでしょ?」
「いいえ、料金は取りません。そして確実にあなたは幸福になれます」
「嫌、絶対どこかで金をとるのはわかってるんだからね」
「取りませんよ」「取る」「取りません」
「……どんな願いでも叶うってこと?その根拠は?」
「根拠は説明するのには時間がかかります。しかしあなたが幸福だと思うのであればなんでもサポートしてくれます」
「ほう、じゃあ今から宝くじを買えば7億当たるとでも」
「先に7億の当選番号が取られていなければですけどね」
「…………行こうじゃない。本当に当たったら信じてあげるから」
「おまかせください」
こうして私はインチキ商法でないことを確かめに街中にある宝くじの販売書へ行くことにした。