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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

言葉

息を吸う、息を吐く



たったこれだけで、自分が自身の体に悪いものを取り込んでいく。

秋元奏アキモト カナデはタール5mgの煙草を吸っては次の煙草をと繰り返し、とうとう8本目を吸い始めようとしていた。


ピリリリ…

秋元が右耳につけているイヤホンから、聞きたくない電子音が鳴り響いてくる。


「どこだ…まったく」



右耳のイヤホンから中年ぐらいの男性の声で「本部から手塚」と声が聞こえた瞬間、秋元は自分の管轄であることにため息を吐いた。

秋元はX県警の地域警察官である。階級は巡査長、年数が経ち、ある程度の経験を積んだ警察官に与えられる階級。聞こえはいいが、昇級試験に落ちているだけで、巡査が一定期間の年数を経験し、部長に昇格しなければ必ず与えられる。


秋元は巡査長3年目、今では交番に単独で勤務している。


X県警手塚警察署花岡交番

そこまで事案は多くはないが、1日の当直中に必ず110番指令が下りる。本部に繋がる110番指令は右耳のイヤホンから一斉に下り、他の署の指令も、もちろん自分の署の指令も付けてる全員が認識できる。

秋元の左胸につけている無線機から「手塚から手塚33」と手塚署の当直の声が聞こえる。

秋元は左胸から無線機を外し、


「手塚33、指令聴取した、PBから単独で臨場、どうぞ」


PBとは交番のことで、英語でPoliceBox(交番)の意であり、無線で使用する呼称のひとつである。


秋元は吸い始めようとした煙草を戻し、交番のロッカーや扉の鍵を閉め、警察電話をホットラインで署に繋がるよう転送した。

交番前に駐車していたミニパトに乗り込み、指令で下りた住所に向かう。


「あそこは駐車苦情多いんだよな…」

指令で下りたのは、駐車苦情である。

塾などが多く並ぶ国道沿いの場所であり、塾終わりの22時頃、必ずと言っていいほど指令が入る。塾に通う子供の迎えに来た親だろうと思料され、きっと23時にはどれもいなくなる。

にも関わらず毎日この時間帯に通報が入るのだ。


秋元は塾の通りに到着し、ミニパトに積載のマイクを持って広報を実施する。


「こちらは手塚署です、通行の妨げになりますので路上駐車をご遠慮ください」



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