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そして、SFへ・・・

「あれ、おれは・・・」

何故か冷たい床に横たわる俺、そんな趣味は無いんだがなぁ・・・。

「いてて…」

酷く頭が痛い、手首に付けた端末リングに触れ起動画面を呼び出す。

コンタクトレンズに仕掛けられた回路から眼球の視神経に干渉し、あたかも目の前に画面が有るようになる。

「およ?エマージェンシーが発令?」

画面全体が赤く点滅し、第一級の避難命令がこの星全体に発令されている事を告げる。

いったい何が起こったんだ?

「いてて・・・」

再び頭痛が襲う・・・あぁ、そうか俺、転生したんだ。


リザー星系をその領土とする『星系国家リザール』。第二・第三・第五惑星を居住可能惑星とし、首都は第三惑星『リザム』、星系国家としては比較的新興国で国力もまだまだ低い。

銀河中心部にある『ドーファウ星系国家』からの移民が立ち上げた星系国家。辺境の三星系を纏めた形で近年独立。

政治形態は所謂議会制民主主義、人口も多ければ国土も広いので、議席一つ当たりの面積。

選挙区はとてつもなく広くなる。


・・・魔法とかどこ行った?何故にSF?


俺が今いるのは第五惑星『シューム』、人口集中が進む第三惑星とは違い、農業中心ののどかな惑星。なのだが、そんな長閑な惑星に何故エマージェンシー?しかも避難命令が出てますよ・・・。

周りに人影が無いのは取り残されたかな?おいおい、教師共よ点呼ぐらい取ろうぜ・・・。

ここは俺の通う高校の教室。

SFぽく無いって?まぁ、効率の良い教育システムなんて似たり寄ったりになるもんだ。

知識の焼き付けや記憶の固着何かは基本NG、医師の判断が必要なことになります。

脳の柔軟な育成を阻むと言う事で、この手の技術はあまり歓迎されていない。

20歳以降の社会人はメンドクサイ会社のルールや社会常識を焼き付けるらしいが未成年の学生は必死にお勉強だそうです。

話が逸れた。

そんな訳で一人教室に残されてる様なのだが、いったい何が起きたのだろう。

情報ページをめくり、確認。あれま、とうとう戦争ですか・・・。


俺の住むこの星系『リザール』は隣接する星系国家『ハーク』と何故か仲が悪い。

隣接と言ってもあくまで星図上での事だ。通常機関で飛んだらそれこそ何百年かかるか知れない距離だ。

このとんでもない距離を縮めたのが『ゲート』と呼ばれる転移装置の存在だ。

単独で星系間を行き来するには跳躍システムを自前で用意する必要がある。

恐ろしく高価で精密な跳躍機関をより手軽にスピーディーにしたものがこの『ゲート』と言うものだ。

通常動力の宇宙船でゲートを通過するだけで目的の星系に行く事が出来るのだ、

こいつは便利だ。

また、ゲート同士をネットワークで繋ぎ、宇宙船の行き来の他、全銀が規模での通信が僅かなタイムラグで可能となった。

現代日本からすると一昔前の衛星中継みたいなもんだ。

何度も話が逸れて申し訳ない、そんな訳で戦争です。


前々から俺らの星系に属する資源星系が事の発端。とても貴重な鉱物資源が笑えるほど採掘出来る優良な資源惑星を抱えた星系を『リザール』は領土として確保していた。

この星系発見の一人に『ハーク』出身の科学者が数名居た事からそれを盾に領有権を主張。

まっとうな商取引で迎えた科学者なので、国籍は関係ない。

この問題は既に全星系による機関、『国際星系連合』で解決済みの問題だ。

これに納得しない『ハーク』側は、数十年に渡る様々な嫌がらせの後、今日開戦に踏み切った様だ。

さらりとデータを眺めると、軍事クーデターの様ですな・・・。

前政権では国民の不満を抑えきれなかったと言う事らしい、だからと言って人の物を取ったらいけません。


国際星系連合=星連はおそらく宣戦布告と同時にゲートを閉めたと思う。

星系間のゴタゴタは大概この閉鎖で片が付く。

が、この警報が出てると言う事は侵入されましたな。

リアルタイムで更新される情報は、ゲート付近に展開する防衛艦隊が交戦状態に有る事を知らせてくれる。

相当マズイね・・・恒星間航行が可能な科学技術、それらで建造された戦闘艦は一隻でも星を丸ごと焼くことが出来る。

各星系国家は、その様な事が無い様に、防衛戦力をゲート付近に展開している。

申し送りの無い船がゲートから出てきたら即、ドカン!

少なくても数十億、多い星系では数百億の人口が有る。これらの安全を守るためには必要な措置だ。

ゲートは即時閉鎖される、辛うじて敵勢力が潜り込んだとしても次につながらない。

補給も増援も来られない、すり潰されるだけ。こんな効率の悪い侵攻など何処の星系国家も行わない。

それならばなぜ彼らは行ったのか?俺も興味がある。

それを知るためにもまずは避難しなくちゃね。


ナビによる避難経路を一先ず進む、中央のドでかいコンピュータが効率よく人員を移動させる為の計算を行い、国民は端末によりそれを受け取る。

指示に従い移動する。

こう見れば簡単なのだが、人はそんなにうまく動くものではない。

遅れるものもいれば動けない者もいる、当然助けが必要な者もいる。各自は端末を通して状況を伝える。受け取った情報をもとに様々な指示が出される。

近くに公的機関が無い場合、その付近にいる民間人に救出を依頼することもある。

緊急時の行動は指示に従うと言うのがこの星に住む者には当たり前のように教えられる。


つまりどういう事かと言いますと、逃げ遅れた俺は、何かしらの助けがいると言う事です。

移動に使う乗り物も全て使用されもぬけの殻。歩く?いちばん近いシャトルの空港までどれくらいあると思ってんだ?軌道エレベーターは赤道までいかなならん。

うん、あきらめよう。

防衛艦隊が頑張れば問題無、見上げた空に見えるのは決して敵の戦闘機であるとは信じない。


うひゃぁー逃げろ!

一番深い地下構造物は・・・地下リニア、くそう、これだから辺境は困る。

リニアステーションまで文字道理飛んで来た。自分魔法使いですから。

逃げ込むと同時に結界発動、くそっ、もう少し真面目に補助魔法勉強しとくんだった。

ありったけの魔力を注ぎ、結界を維持。にも拘らず激しい振動が伝わる。

こんな辺境を攻撃してどーすンの!やるなら重要拠点とかにしなさい!

ここは地方のリニアステーションです!


二度目の転生は戦場でした。


ハークによる侵攻から半年が過ぎた。

奴らの取った戦術は巧みだった、誰もがゲートを使用しなければ侵攻は不可能と思っていた。それはある意味正解だった。

ただ、奴らはその侵攻を数年前から行っていた。

通常貨物の宇宙船からステルス化された小型の構造体が切り離され、それらは防衛艦隊の目の向いていない内星系へ慣性飛行で終結。結合を繰り返し、ステルス戦闘艦を展開。

乗員も年単位でステルス戦闘艦に潜んでいた。頭悪いんじゃねーのかコイツ等!


ゲートによる侵攻を合図として蜂起、無防備な内惑星が狙われた。

この時公転軌道の関係で潜伏軌道に一番近かった第5惑星が狙われたそうだ。


惑星表面の3分の2が被害を受け、俺の様に脱出できなかったり脱出待ちの人命が十億ほど失われた。

被害の大部分は惑星状ではなく避難先のコロニーだった。

避難民で溢れかえったコロニーを一条のビームが貫いて、はいおしまい。

構造にダメージを負ったコロニーは回転による力を支えきれずに崩壊。

奴らはここまですれば星系本部は降伏か停戦を持ちかけてくると考えていたらしいが思惑通りに物事が進む筈もなく・・・侵入した敵勢力の殲滅までこの紛争は続いた。

無差別攻撃に移った侵攻軍は手当たり次第に破壊を繰り返したが、元より補給は望めない戦争だ。物資が底を突き降伏してきた・・・が、これだけの被害を受けて許すはずもなく

侵攻軍は文字通り全滅。

これでも星系戦争として見たら驚くほど被害が少ないらしい。

・・・だからと言って納得できるか!


戦闘機による攻撃から3か月後に俺は救出された。外に干していた洗濯物を、被害状況を探る為に運用された観測衛星が写していた。

どうやってリニアステーションが持ち答えたのかは知らぬ存ぜぬで通した。

ステーションに併設されたコンビニのおかげで食い繋ぐ事も出来た。

どうやって燃料を調達したかは謎のまま。


何と無く記憶に有るこの世界での両親と友人達を覚醒したその日に俺はすべて失った。


被害者救済プログラム

被害を受けた国民の速やかなる社会復帰を手助けする。


とにかく被害の規模が尋常じゃない、邪龍バルトスと邪神復活の方が可愛げがある。

この膨大な被害者に社会復帰の為の支援を目的としているが、手を差し伸べるべき政府もまた大きな被害を受けているのだ。

俺の様な未成年者で特に成人間近の人材は問答無用で軍人コース。人は備えるものである。

緊急措置と言う事で必要な知識の焼き付け処置を行われた。非人道的とか言うなよ?

こうしなければならない状況なんだ。

短期間の訓練の後、各方面に回される。使い勝手の良い駒だわな。

また、不足を補うという観点からこのプログラムで配備される軍人にはサポート用のアンドロイドが支給された。


アンドロイドのAi等に使用する希少素材の産地が何を隠そう我が星系。

この事もあって、アンドロイドの普及は恐ろしい速度で広まって行く。

社会活動を行う者の10人に一人はアンドロイドと言う、超ロボット社会の到来です。




気が付けばあの侵攻から、4年の歳月が過ぎていた。

陸軍に配置された俺はサポート用アンドロイドの支給を受け、施設課として業務に励んでいる。慢性的な人員不足から様々なAIを使いこなすことを強いられ、まさにブラック企業としか言い様のない生活が続いた。


そんな折、俺は領有星系の一つ、資源星系に配属される事になった。

AIオペレーターとしての腕を買われての事だ。

ワンマンオペレーションによる大規模採掘事業の管理運営を任された。

・・・これ、軍の仕事じゃないよね?


ここは侵攻の発端となった資源星系、いつまた侵攻して来るか判らないと言うとても危険なエリアである。

当然民間人は赴任拒否、でも資源は欲しい。じゃ、国営でやろう。

公務員不足、じゃ、軍で何とかして。

軍備増強の折、その様な余裕はない!

・・・そんならあいつら(被害者救済プログラム出身者)で良いんじゃね?

あいつら必要な知識を焼き付けてあるからすぐにでも作業に入れるっしょ?

それにサポート用のアンドロイドもいるからモーマンタイ。


と言う訳でこの資源惑星に赴任した『ジョー・タカサカ陸士長』です。

何で自○隊の階級かって?偶然でしょ?

この星の軍組織は大きく二つに分かれる。陸軍(惑星駐留)海軍(星系間)の2種類だ。

就業可能な人口の一割近くを軍属に割り当てるほど、この星系では軍備増強が強く推し進められている。

少しばかり将来が不安になる。



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