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始まりはファンタジー

やぁ、俺の名は・・・なんだっけ?うん、チョッと記憶がね混乱していて申し訳ない。

さっきまで少しばかり派手な戦闘をしていたもんで・・・。

あ、俺は・・・そう、魔法使いだったんですよ。分かります魔法?

呪文を唱えるとドッカーンったヤツ。


・・・あー少し思い出してきたわ。

少しばかり長い話になるけど良い?何だか順番通りに話さないと混乱しそうで・・・。


俺の生まれやなんかは知らん!何故なら俺も知らないからだ。

物心ついたときには偏屈ジジイの許で魔法修行をしていた。

勿論望んで修行していた訳じゃない、逃げ出す事が出来なかったからだ。

そりゃ何度も何度も逃げ出したよ?でもね、あのジジイその度に恐っそろしい魔法で折檻ですよ・・・折れたね。あぁ、折れました。

そんな幼少時代も今となっては懐かしい・・・えっ、そんな話はどうでも良い?

まぁ、落ち着け。少しばっかり派手に頭をうったんで、記憶の整理も兼ねてんだ。

どうやら時間だけは腐るほどある様だし。


そんでな、あのジジイの偏った魔法教育のおかげでそれなりの魔法使いとなった訳だ。

修行と称して言われるがままに、あっちこっち旅をして向うでドカーン!あっちでドカーン!そこでもドカーン!魔法=爆発な、何とも迷惑な模倣使いとなった訳です。


結果だけ見ればあのジジイ、この事を見通してた訳だ、世間で言う所の『邪神復活』を。


この俺もその為の駒だったと言う訳だ。聖剣を手にした勇者様御一行。その露払いを任された訳です。

えっ、フツーは勇者のパーティに入るもんだろって?

勇者様のパーティには俺よりもすごい魔法使いがいた訳ですよ・・・あのジジイがな!

勇者パーティーの選抜に漏れた人員で編成された『勇者パーティーを万全に状態で邪神神殿に送り届けよう』チームと言う訳です。

皆さん何でそこまで頑張れるの?俺たち使い捨ての駒ですよ?

えっ?「それで世界が救われるなら安いものだ」何言っちゃってるのこの人!

「我々が頑張ればそれだけ勇者たちの勝利が確実になる」なんで、イイ笑顔なの!

「勇者様・・・ポッ」そこーっ!木の陰から何見てる!


この様に高度な戦略によって、最終兵器『聖剣』を携えた勇者達を邪神が眠る邪神神殿に無事送り届けたこのポンコツパーティーですが、神殿を前にしてとんでもない難関にぶち当たってしまった。


「おい、ジジイ。ありゃ何だ?」

「見て判らんのか馬鹿弟子が?」

「そー言う事を聞いてるんじゃない!どーすンだよあれをよ!」


俺が指差すその先に、地下の大空洞にある神殿を守るようにして巨大な竜が鎮座していた。


「・・・邪龍バストル。邪神の眷属として太古の昔から邪神に使えると言う。」


空気読まない神官さんがポロリと漏らす。

あーあ、言っちゃった。その名前を聞いて勇者パーティ一行と俺達なんちゃって勇者パーティ・・・メンドクサイ。1軍と2軍で良いよね?


・・・その両パーティのメンバーの顔が見る見るうちに青くなる。


恐怖の代名詞『バストル』。

「悪い事する子は『ばすとる』がきて食われちまうぞ!」

     「早く寝ないと『ばすとる』がくるぞ~」

     などと、広く言われ続けてきた『バストル』。


その存在が今、俺達の目の前に鎮座している・・・見つかってないよね?


まぁ、なんだ・・・そーなると思ってたよ・・・。


「君らの犠牲は無駄にはせん!」

「必ず邪神を封じてみせる!」

「・・・信じています」


けっ!心にも無い事言いやがって、はいはい分かりましたよ、行けばいいんでしょ?

はい、囮決定・・・。


「・・・今まで親代わりとして育ててきたが・・・立派な墓を建ててやるぞ!」

「やかましいわー!」

あのジジイ、必ず殺す!


その後はご想像通り、所詮2軍。囮が精一杯・・・。

みんな散って最後は俺だけだ、さてさて・・・そんじゃ奥の手と行きますか?


ジジイも知らない俺様の奥の手、とある古文書に記されていた呪文。

この世界の如何なる言葉とも違う文字で記されたそれを何故か俺は読む事が出来た。

それは、この世界で生きる人々、例えエルフだろうとドワーフだろうと無論精霊にだって読めはしない・・・何故なら、その呪文は日本語で書かれていたのだから。


何故それが日本語だって分かったかって?その説明はこの後だ、もう少し待て。

そんな訳でその呪文を使い、俺は邪龍バルトスを分子レベルまで分解してやった。

そしてお約束の様に代償として自分自身も分解された・・・よな?


そして冒頭につながるっと・・・。

ああ・・・記憶がハッキリして来たわ、分子に帰る瞬間、1軍チームが神殿に飛び込んだのを思い出した・・・とりあえず役目は果たしたなっと。


「それにしても何だここは・・・眩しい、それに体が透けてる…」


―――なぜ異なる魂がここに居る?


「しらねーよ、それよりもここはどこだ?俺はどうなる?」


―――ここは輪廻の間、死した者達が再び生れ出るまでの間、

健やかなる時を過ごす場所、

                          大いなる魂の循環。

「つまり、次の人生の順番待ちって事かい?」


―――そなたの魂はこの世界のものとは異なる、

           大いなる循環へと導かれることは無い・・・。


「はえっ!つまり輪廻転生は無いと?」


―――異なる魂は有るべき所へ戻るであろう・・・。


「うわっ、なんだ!流される・・・」


―――異なる魂よ・・・この世界の危機を救ってくれた事には礼を言う。

              次に目覚める時はそなたの本当の世界だ・・・。


「ホントとか嘘とかどうでも良いから俺の人生を返しやがれ!」


―――可能な限り返そう・・・。


「えっ!うそ!マジ♪」


―――さらばだ、異なる魂よ・・・・


と言う訳で、今日に至る。

えっ?意味が分からない?俺だって分からねーよ。

気が付けばこの現代日本に前世の記憶を持って生まれたという訳だ・・・スイマセン、3歳まではノーカウントでお願いします。


某県某市。

首都まで乗継なしで1時間もかからない便利な立地、今時の3階建て建売住宅に住む事が出来るのはお父様のおかげでございます、本当にありがとうございます。

前世に引きずられ、少しばかりヒネた性格になってしまって申し訳ありません。

決してお母様の躾に問題が有った訳ではございません。

その証拠に妹はすくすくと元気にまっすぐ育っております。偶にキッツイ眼差しで睨まれます、お兄ちゃんはの心は非常に脆いので優しく扱ってください。


改めて自己紹介。

前世で魔法使いをやっていた『高坂 丈』、県立高校に通う17歳だ。

所謂DQNネームでは無い事に安堵を覚える。が、名前の謂れを尋ねたらスッゴイいい笑顔で『抉り込むようにウツベシ!』とか言われました・・・そうですか。


トータル人生では立派な魔法使いだが、本当に魔法使いです、ありがとうございました。

何を言ってるか判らない?

いや、実はね?向うの世界の神様みたいな存在が最後に言ってたでしょ?

『・・・可能な限り返そう』って、まさかホントだとはね・・・ええ、使えます魔法。


こんな過分な力を持った所でどーすンの?

俺はラノベの主人公じゃないんだよ?

この世界、悪の巨大組織も秘密結社も無いんだよ?・・・いや、見方を変えれば有るか。

こんな一人師団みたいな力どーすンのよ?むしろ使い方を教えてプリーズ!


と、考えていた時期が俺にもありました。便利だね魔法。

魔法アシストサイクル自転車は日々の通学に、お馴染みアイテムボックスは弁当からゲーム機まであらゆるモノを収納、おかげでお部屋はスッキリ!かーちゃん・・・コホン、お母様に怒られる事もなく、暑い日も寒い日もそれなりに快適。

正に魔法万歳!


使い方が小物っぽい?うるせーA-10を上回る火力何ぞ、高校生風情に如何しろと?

ちなみに最大火力はB-52編隊の絨毯爆撃を上回るぞw B-52<俺<核って感じ。

何事も平和が一番、あぁ普通って良いなぁっと、今日もコンビニのおでんを突きながら思う訳です。うまうま。



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