笑ってくれた気がした
一月九日。日曜日。
日曜日の午前中。それは、由紀ちゃんが来る日だった。
だけど、僕は図書館にいる。
由紀ちゃんには、二つの禁を犯しまった。
一つは、苗字ではなく名前で呼んでしまった事だ。
そして、もう一つ。いとも容易く『一人前に成るまで告白しない』と言う決意を破ってしまった事だ。
由紀ちゃんは、どちらも無かったように接してくれる。
洋介、弥生さんにしたように、由紀ちゃんにも、毎週家に来てもらうのは止めて貰うように言ったのだ。
もちろん、交換日記も、明日携帯電話を手に入れたら卒業させてもらう。
女の子に依存しっぱなしなんて出来ないからね。
弥生さんにアドバイスを貰っていて良かった。『契約は終わりにして欲しい』なんて言い方はしなかった。
僕は、毎週日曜日の図書館デートの約束を取り付けた。
この位のしたたかさがあった方が、引きこもりを卒業したっぽいさ。
いつだって、僕は言い訳ばかりだな。
由紀ちゃんは、快く承諾してくれた。
「別々の目標だけど、みんなで共有したほうが強くなれるかもしれないよね」
僕は心の中でつぶやいた。
そうだね。二人で共有したいね。
いつになるのかわからないけど、堂々と言える自信が持てる男になろう。
今度こそ、僕は決意した。
結局のところ、僕は同年代の全ての人に負けているだろう。
いや、年下の人ですら随分頑張っている。
それは、確かな事実だ。
それでも、奇妙な夢から、優しい出会いがあって、意外にも世界は僕を受け入れてくれた。
今は、それで良し。
もう、僕は立ち止っていないんだから……。
駄目だ。
やっぱり、僕は言い訳ばかりだ。
それでも、世界は優しく笑ってくれた気がした。




