夢
夢を見た。
天使。
何故か彼を見た時、そう思った。
彼の背中から羽は見えなかった。頭の上に輪は浮かんでいなかった。神々しい光で演出されてもいなかった。
そのどれも存在しなかった。
普通の少年。
十歳ぐらいの普通の少年だった。
だけど僕は、彼を天使のように感じてしまった。
ここは、真っ白で何も無い世界。どこまでも広がっていく。天井も壁も無いのだ。
自分は地面に立っているのだろうか?
とすら疑問を覚える程に、平行感覚が麻痺してしまうような、そんな全てが白く広大な世界だった。
天使のような少年を除けば、何も無い世界だった。
そして、少年は静かに語りだした。
「
あなたは六百六十六人の中の一人に選ばれました。
一ヶ月後の一月一日零時に選択してください。
人類は世界に必要ですか?
この事は他人に伝えてはいけません。
言葉、文字、絵、身振り。いかなる手段を用いてもいけません。
その時は、あなたは失格者。
命はありませんよ。
一人で考え、一人で答えを出してください。
最後に、もう一度、議題の確認をさせていただきます。
人類は世界に必要ですか?
」
何故だろう。夢ではないと実感がある。
今日は、十二月一日……。