妖精さん、いらっしゃい!!
ある朝トイレに行ったら、奇妙な人形が置いてあった。
人形「よお!」
僕「ホワッツ!?」
人形「なんだ、外国さんか?話しにならねぇなぁ。出てってくれ!」
僕「ちょっと、えぇ~。」
もう何から突っ込んだらいいか…
人形「えーと、英語で何て言うんだったかなぁ?ゴー、ゴー?バッ、あ、バックか!!
ゴー、バック!ゴーーー、バック!!!」
僕「ちょっと待った!日本語で大丈夫だ!」
人形「おお、理解出来るのか!最初に英語が聞こえてきたから、てっきり外国さんかと思った!」
朝起きて一発目に飛び込んできたのは、七人の小人風でちょっと小太り気味な、やけに威勢の良い小人だった。
人形「いやぁ、ビックリしたぜ。」
僕「俺はビックリを通り越して、心臓が危うくエラいことになりかけたけどな。」
人形「俺も、俺も。」
僕「ウソつけ!物凄い冷静に英語で対応しようとしてただろ!!」
普通に会話してる俺もどうかと思うが、この事態は普通じゃないよな。まだ夢を見てるのか?
人形「あ、今まだ夢の中にいるのか?とか思っただろ?」
僕「…さて、ベッドに戻るか。」
人形「オイオイ!ちょっと待ってくれよ。願いを一つ叶えてやると行ったら、戻るのをやめてくれるか?」
僕「何だって!?」
これが現実かどうかまだわからないが、たとえ夢の中だとしても夢が叶うのなら悪くはない!
有名になりたい!人の役に立ちたい!考えたらキリが無い!!
僕「何でも叶えられるのか?」
人形「あ、あぁ。だ、大丈夫だ!うんうん。」
僕「自信なくなってんじゃねぇか!!」
人形「いやいや、うん!大丈夫!!」
僕「本当に?」
人形「オウ!」
僕「じゃあ…」
人形「ちょっと待った!!今、俺がどういう状況か分かるか?」
この狭いトイレの中に、小太りな小人が便座に座っている………だけだな!!
しかし変な事を聞いてくるな。ちょっとこっちからも質問してみるか!
僕「ちょっと質問していいか?」
人形「お、何だい?イキナリ質問かい?」
僕「お前は何だ?」
人形「俺は見ての通り、妖精な奴だよ!」
僕「まぁ、百歩譲って妖精だとしよう。次の質問だ。いつからここにいる?」
人形「ついさっきだな!こう、バーンって飛び出したら、ドーーンってね!」
僕「擬音で良くわからんが、次だ!何故ここにいる?」
人形「分からない…気付いたらお尻が……」
僕「ん?尻??」
人形「イヤイヤ、な、何かここからだと綺麗な景色が見、見えるじゃねぇか!なぁ!!ホラっ!」
僕「そいつはカレンダーだ!!…もしかしてハマってるのか?」
人形「ババ、バッキャロー!そんなファンタジーみたいな出来事起こるかよ(笑)」
僕「ファンタジーでもなんでもない状況だが、お前の存在が1番ファンタジーなんだよ!!」
人形「うぅ……」
僕「……出してやろうか?」
人形「ホントですか!?」
こういうのは助けてくれたお礼にってパターンだな!助けてやれば願いを叶えてくれるハズだから、簡単なことだよな!
僕「ふぅ……いいか?力一杯引っ張るから、痛いかもしれんが我慢しろよ。」
人形「おまかせします!!」
僕「じゃあ、行くぞ!せーの!!」
人形「オギャャャーー!!!」
僕「変な叫びを挙げるな!!」
人形「ヒィヒィ!!」
僕「黙ってろ!!もういっちょ、行くぞ!!セヤッ!!!」
人形「クッ………ち、千切れる…」
僕「マジか??我慢しろ!!せーの!!トリャ!!!」
ポンッ!
僕「ハァハァ……何とか抜けたようだな。……さてと………エッ!?」
顔を上げると、そこはまさにファンタジーのようにキラキラとした世界だった。そこに清々しい顔をした小太り小人が浮いている。
人形「ありがとう。青年。これで帰ることが出来る。」
僕「お、ちょっと!今にも消えそうな色してるけど、願いは?叶えてくれないのかよ!!」
人形「青年はさっき、便器から私が出るようにと強く願ってくれた。だから私は今ここにいる!」
僕「そんなぁ。」
人形「それはそうと、今さらだが、青年よ。名前を聞いていなかったな。」
僕「あ、えっと…」
人形「述べよ!!さぁ!!」
僕「ら、羅馬 勝布………」
人形「ラバーカップか!良い名だ!!では、さらばだ!!」
僕「ちょっと!!違うぅ!!」
こうして青年の夢は本人の知らぬところで叶った。青年を知らない人達でさえも皆、彼の名前を呼ぶことだろう。
終わり