6時間目 いじらないで
拓海です。
前回の続きで掃除してます。
まったく、なんで俺だけやってるんだよ。
だいたい、壊したのは裕司なんだから手伝いに来て欲しいもんだよな。
まあ、そんな事を考えていても半分まで終わりました。
・・・やっと半分だよ。朝から母さんと変なことしちゃたから体力がないし、さっきから屈んだ状況だから腰が痛いし。
俺って腰弱いんだなぁ。
キーンコーンカーンコーン
あ、1時限目が終わった。
その時、教室のドアが開いた。
「おはよぉございまぁす。」
入ってきたのは俺の知らない女の子だった。
ってか、間延びした喋り方だなぁ。
「おお、おはよう。白鳥。」
白鳥・・・さん?
「白鳥、掃除手伝ってくれ。」
「嫌ですぅ。」
・・・!
「嫌ですぅ。」
いや、二回言わないでもいいよ。
「なぁ、白鳥。早く授業済まして帰りたいんだ。」
ダメ教師発見っ!!
「まぁた、麻雀ですかぁ?」
「うん。どうしても橘さんと留美ちゃんに勝てないんだよ。」
「まあ、あの二人は強いですからねぇ。」
うわぁ、二人で麻雀の話してるよぉ。
俺はしばらく二人を観察しようかと思ったが、早く帰りたいのでやめた。
しばらくは二人で一緒に話して、俺は掃除をしていた。
〜〜〜〜〜
「ねぇ、月森君?」
やがて話に飽きたらしい白鳥さんが俺に話し掛けてきた。
「? 何?」
「何か面白いことしろですぅ。」
うわぁ。敬語で言ってくれてるのに命令に聞こえるぅ。
「ほら、何か面白いことするですぅ。」
これは俗に言うイジメというヤツかっ!?
「ほら、ほらぁ。」
白鳥さんはもっっっんのすごい笑顔のまま近づいてきた。
ああ、笑顔が恐い。
「あのさ、面白いことって具体的に何ですか?」
「そんなもん自分で考えるですぅ。」
うまい回避の仕方だなぁ。
「月森ぃ?」
先生だ。
「そいつ、無視していいぞぉ。」
えぇ。いいの?
ってか心なしか先生の口調がさっきと違うような?
俺はとりあえず、先生の指示に従って白鳥さんを相手にしないようにしたのだが・・・。白鳥さんは耳元で、
「死にたいですか?」
・・・すいません。命は惜しいかもしれません。
ということで、俺は白鳥さんに面白いことをすることになりました。
しかし、
「面白いことって何よ?」
やはり、そうなる。
白鳥さんは溜息を吐いて言った。
「それじゃあ、手本を見せますねぇ。月森さん、ここを目をつむって直線に歩いてもらっていいですかぁ?」
はいっ!?
手本を見せてくれるんじゃないの?
もちろん逆らえるはずもなく、俺は言う通りにした。
俺は暗闇の中を一歩、また一歩と歩いた。
はっきり言って恐い。
俺は5歩目までは順調に歩けた・・・はずだった。
ツルッ!
何かを踏んだ。
そしてバランスを失った俺は重力に引っ張られて思いっきり尻餅をついた。
「いてて。」
俺は目を開き、自分が踏んだものを見た。
・・・・・・嘘だろ?
俺の目の前にはバナナの皮があった。
なんて古典的なギャグ!
しかし先生と白鳥さんは俺があまりに綺麗にハマったので二人は爆笑していた。
「アハハ・・・」
「フフフ・・・」
アハハ。何かムカつくんですけど。
「アハハ、月森ぃお前最高だわぁ。」
「フフフ、月森君は面白いですねぇ。私気に入りましたぁ。」
うわっ。気に入られちゃったよ。
つまり、
気に入られた=おもちゃ→遊ばれる→逃げられない→死!?
うわぁ、最高のエンディングじゃん。
「月森君、改めて初めましてぇ。私、白鳥弥生というですぅ。よろしくぅ。」
はぁ。
なんかこの先が不安になってきた、今日この頃です。