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36時間目 最愛の彼女

ここは・・・?


俺は暗闇の中に一人でいた。

俺はその場所が何処だかすぐにわかった。


あの世だ。それも地獄という監獄の名の・・・。


それも当たり前だ。

だって俺はみんなを守れなかった。

おじさんを止められなかった。

鬼を蘇らせてしまった。


そして、期待を裏切り、約束を破った。



これが罪と言わないで何を罪というべきか?

俺は自分のすべてを否定したかった。






ごめんなさい


ごめんなさい


ごめんなさい


ごめんなさい


ごめんなさい


ごめんなさい


ごめんなさい


ごめんなさい


ごめんなさい


ごめんなさい


ごめんなさい


ごめんなさい


ごめんなさい


ごめんなさい


ごめんなさい


ごめんなさい


ごめんなさい


ごめんなさい


ごめんなさい


ごめんなさい



俺は延々と謝った。

自分の仲間に。そして・・・小雪達に。


「拓海?」


急に誰かが話し掛けてきた。


「こ・・・ゆき?」


小雪はニッコリと俺に微笑みをくれた。


どうして、ここに小雪が?


「拓海。小雪の力でまた戦って」

「え?」

「小雪の力は命の力。人を癒す事できる力。だから拓海に生き返ってほしい・・・。」


確かに生きたい。でも・・・


「本当は麻奈美に使ってあげたかった。でも・・・この力は一度使うと二度と・・・。」


「小雪・・・お前は俺のためにそんなリスクを背負わないでくれ」


そう。命とは大きな物。

だから自分の命と相手の命を引き換えにする禁忌の魔法。


「小雪。俺はお前が大切だよ。だから俺のためにそんな真似しないでくれよ」


「拓海?それは小雪にも言えることですよ?小雪は拓海の事を一番に考えてる」

「なら・・・なら、そんな事言わないでくれよ」


またあの変な感覚が俺を襲った。


「拓海・・・小雪はあのみんながいる世界が好き。そしてそこに拓海がいたから好きだった。だから拓海のいない世界で生きてくなんてできないのですよ。拓海、小雪の好きな、あの・・・拓海がいる世界を救ってね。お願い」

「だからって・・・小雪が犠牲になることなんて・・・。」

「あはは、もう時間がないみたいです」

「えっ!?」


小雪を見ると、小雪の体から小さな粒子を放っているのが確認された。


「小雪っ!?」

「えへへ、もうおしまいですね」

「嘘だろっ!?」


俺は小雪を抱きしめた。


「なんでだよ?どうしてっ!?」

「えへ、拓海?小雪は死ぬのじゃないですよ?小雪は拓海の中でずっと生き続ける。そして麻奈美も一緒に」

「麻奈美が?」

「はい。麻奈美は拓海にもしもの事があったら助けてあげて。って言ってたですよ。だから小雪は麻奈美の力ももらったです。麻奈美の力は闇。でも麻奈美の闇は優しい闇。その闇はすべてを優しさで包んでくれる。だから恐れないで欲しいのですよ」


チキショー、俺は・・・俺は・・・。


今なら、あの変な感覚の意味が理解できる。そして口に出して言える。


「小雪?」

「ん?」

「俺は・・・」


そうだ。


「お前が」


昔からあった感覚かもしれない。


「誰よりも」


そして、それはまるで生まれる前にあったかんじだ。


「好きなんだ!」

「え?」

「俺は日向小雪が世界中の誰よりも好きなんだよ!今更気付いても遅いかもしれないけど・・・。」


小雪は何も話さなかった。

そしてその瞳からは・・・大粒の涙が溢れていた。


「拓海!小雪は嬉しいですよ!」

「小雪・・・小雪!」


俺らは強く抱き締めあった。


そして、訪れる別れの瞬間。



「拓海!小雪は拓海の事をずっと好きでいるです。だから・・・だから拓海も小雪の事を」

「忘れるかよっ!絶対に忘れない。そして、もしも・・・もしも生まれ変わることがあったら、また一緒だからな」

「うん!絶対ですよ!」


そう言って小雪は俺に入ってきた。


そして、


「拓海よ。剣は心で振れっ!」

「え?お師匠さん?」


「月森殿、お主ならできるぞ」

「そうだよー。がんばれよー!」

「神無月さん・・・穂村さん」


「拓海!お前はできる奴だよ!」

「そうだ!俺に勝ったんだからな」


「和彦。裕司。」


「拓海さんならできますよ」

「そうだー、やってこい!」

「まったく、私達に相談なしで行っちゃって」

「手ぶらで帰って来たら説教しますよ!」

「お兄さま、負けたら承知しませんよ」

「花月ちゃん、千鶴、桜咲さん、近衛さん、恵魅・・・」


「拓海ちゃん、がんばってね!」

「そうだよ!」

「帰って来たら、また麻雀やりに来いよな!」

「母さん、留美さん、先生」


「いやぁ、拓海君頑張ってくださいね」「拓海君ならできるって信じてますよ」

「あっはっは、拓海は俺の息子だ!負けるはずがねぇよ!」

「おいおい、拓海だからできるんだよ」

「橘さん、住職さん、親父、叔父さん」


「拓海君、頑張ってきなさいよ」

「そうよ。あなたならできるわよ」

「負けないでっ!」

「天宮おばちゃん、海堂おばさん、日向おばちゃん」


「拓海、すまなかったな。私のせいで・・・」

「海堂おじさん・・・」「拓海君、私が付いてるから大丈夫だよ」

「夜未ちゃん」


「そうだよ。拓海君、あなたならできるよ」

「麻奈美」


「拓海、小雪はたくみとずっとずっと一緒なのですよ」

「小雪」

「だからいつまでも好きでいてください」

「ったりめーだよ。あほ」



そうだ。俺は一人で戦うんじゃない。みんなの思いと、俺の中にいる夜未、麻奈美、そして小雪と共に戦うんだ。

そんな俺が一人で戦ってるあの野郎に負けない。いや、負けるはずがない!


みんな、俺に力を貸してくれよ。

そして、一緒に戦おう!

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