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32時間目 おじさん

はぁ、やっと治まった。

死ぬかと思ったよ。実際。


「拓海君、もう大丈夫みたいだね」

「ああ、まあまあかな」


あれから良くなった。いや、全快だ。


そうでも思わないと帰りは死にますよ。



さて、俺らはやっとおじさんの居そうな怪しい洞窟を見つけました。



まあ、何で怪しいかは見た目ですよ。


それに何だかここから嫌な魔力を感じると二人も言ってます。

それにしても、俺の魔力はいつになったら戻るんだろう?


中は真っ暗で明かりがないとわからない。


俺らは麻奈美が手に火の玉を出して、麻奈美を先頭に奥に進んだ。


さて、中は結構広いです。


「拓海君、ここに地下への階段が」


見るとそこには長く続いた階段があった。


今度は俺を先頭に歩き出した。

何段も何段も続いた階段はまるで地球の中まで続いてる感じだった。



そういえば、さっきから小雪が一言も話さない。


恐いのか?


そうだったら、俺は後悔した。



もう何段下りただろうか。

奥に明かりが見えてきた。



「しっ!静かに行こう」


俺は万が一・・・月光の暴走に備えて慎重になった。


俺は静かに下りた。

階段が終わると、そこには広い空間ができていた。


そして、その奥には星型の祭壇ようなものがあった。

そして、その上には座禅を組んだ一人の男がいた。


髭は伸び、痩せていたがあれは確かにおじさんだ。


「おじさん!」


俺は男に向かって叫んだ。

おじさんは何にも動じないように動かなかった。


「おじさん!どうしてこんな所に?」

「・・・。」

「どうして月光を持ちだしたんですか!?」

「・・・。」

「どうして優しかったおじさんがこんな事を!?」

「・・・平和の為だよ」


おじさんは瞼を閉じたまま、確かにそう言った。


「平和の・・・ため?」


「ああ」


おじさんは瞼を開いて、遠くを見るような瞳で話し始めた。


「拓海よ。この世には平等という言葉を掲げる人間がたくさんいる。しかし現実は争い、血を流し、そしてつかの間の平和に浮かれる。しかしそれは本当に平和なのか?それは平等なのか?」


おじさんの言ってる事は間違ってない。

人間は平和だ平等だ、と唱えてはいるが、所詮本当の平和の名の元に同じ過ちを繰り返すだけの存在。俺は確かに昔から考えていた。

そして人間がその輪廻にも似た呪縛から解放されないことも・・・。



「そこで私は思ったのだ。もしかしたらそれは神が望んだのではないか、とね。まあ、私にとってはいようがいまいが関係ない。ならどうすればいい?簡単だ。誰かがその神になって世界を救えばいい。そして、誰かが世界を本当の平和に導けばいいのだよ。あの日、私はそれを月森、天宮、日向、そして海堂の親族会議の時に話した」

「確かに」


俺は話を割った。


「確かにそうすれば、真の平和が訪れるかもしれない。しかし、それはまた新たな争いを生むだけだよ。それに人間の心はそんな簡単な構造をしていない。そこからもまた新たな争いが生まれるだけだよ」


「そうだ。確かにあの時、私は同じ事を言われた。しかし!」


おじさんは自分の隣に置いてあった月光を取り出した。


「これさえあれば・・・鬼の力を私に宿せば、それは可能の物となる。まあ、私の妻は私を邪魔をしてこれを隠そうとしたが、鬼に取り込まれてしまったようだ。しかし、私は違う。今の私の力なら鬼の力を私に宿し、自由に使いこなすことができるのだよ」


そうか。おばさんはあの時は自分の意志がなかったのか。


おばさん。あなたができなかった事、俺が成し遂げるよ。だから安心しておいて。



「おじさん。あなたもあの時の惨劇を知ってるでしょう?あなたの持ってるそれは悲しみしか生みませんよ」


「そんなことはない。私は・・・私は必ずこの力で世界を平和にする」


「・・・言いたいことはそれだけですか?あなたはかつては優しかった。他のみんなと同じように。・・・でも、あなたはもうあの時のおじさんでないのですね。なら、」


俺は包みを取った。

中には刀が入っていた。


「俺が」


俺はその刀の名前を知ってる。


「あなたを」




その名も『月影(げつえい)』。


「全力で」


それは月光が解き放たれた時のためにある、月光とは対なる刀。



「止めてみせます!!」」


俺はおじさんを止められなかった。

ごめん。みんな、そして夜未。

だから俺は本気で止めるよ。・・・たとえ、どちらかが命を落としても。


「さあ、遊んでやるよ!本気で掛かって来な!!さもないと・・・」



お師匠さん、ごめん。俺、本気出すわ。



「ぶっ殺すぞぉっ!!!」

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