29時間目 月の照らす夜
俺は今日は家には帰らずに、喫茶店に泊まる予定になっていた。
店に戻ってみると、毛布が二つ用意されていた。
多分、橘さんが用意してくれたのだろう。
俺らはもう寝ることにした。
〜〜〜〜〜
もう2時間は経っただろう。
俺はまだ眠れなかった。
時間は1時。
外からの街灯の光りが店の中に入っていて暗くはなかった。
時々、消えたりする街灯は月の明かりを遮っていた。
明日は満月。魔法は満月の夜が一番高まるらしい。
月は点に浮かび、月は海に映され、そして月は太陽に照らされる。
この三つが月森の月、天宮の天、海堂の海、日向の日を表しているらしい。
月を中心に三つの一族が関わる。それは昔から変わらない不変の状態。
もし、何者かが罪を犯したなら月は責任を取る。
これも月森の掟。
だから俺は責任を取り、おじさんを止めるのだ。
それが、俺の運命。
もしも、それで死ぬことがあったなら俺はその運命を代えてみせる。
それが時の流れというものを狂わせたとしても、俺は必ず生きて帰ってくる。
そしてまたみんなでバカをやる。
そんな何もない普通の日常こそが俺の幸せな日々なのだ。
・・・おじさん、貴方が何をしようとしてるかは俺にもみんなにもわからないが、俺はあんたを止めてみせる。もうこれ以上の悲しみを増やさない為に。
だから・・・覚悟しておいてくださいね!
そしてまた前のように優しいおじさんに戻ってください。
それが俺の願いです。
満月に近い月が俺を見ていた。
まるで俺にすべてを託すように・・・。