23時間目 集まり 前編
「さて、本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます」
千鶴はカウンターに立って、みんなに挨拶をしていた。
今日学校に来たら、千鶴が、
〜回想〜
「よっ!拓海元気かい?」
「まあ、生きちゃあいるよ」
「あれれ?ご機嫌ななめかい?」
「いや、そういう訳じゃなくて」
「じゃあ何?」
「うん。はっきり言って腕揉むの、やめてくんない?」
千鶴は俺が怪我してると知っていて、さっきからずっと腕を揉んでいた。
もしかして、昨日の恨みか?
「あはは、気にしないでよ」
「いや、気にするだろ!」
「まあまあ。それよりさ、今日喫茶店で集まらない?」
「はあ?」
〜〜〜〜〜
ってな訳で、俺は半ば強制的に千鶴の集まりに呼ばれたのだ。
「さ、では皆さんの健康を祝して・・・」
なんだそれ?
「かんぱーい!!」
ってかなんでこんなに集まった?
この集まりには、魔法課生徒はもちろん、留美さん、太田先生、それになんとここのマスターを務めていた橘さん、そして和彦の父親である理事長まで参加していたのだ。
まあ、実はこの集会は理事長が考えてくれたことらしいのだ。
「おお!月森!飲んでるかぁ!?」
おいおい、太田先生。教え子に酒を奨めるなっ!!
ってかできあかるの早いなぁ。
「拓海君、飲んでるかぁ!?」
あんたもかよっ!?
「まったく、二人とも俺に酒を奨めないで下さいよ」
「あらぁ、いいじゃないのぉ?私と拓海君の仲じゃない?」
どんな仲だっ!?
「そうだぞ。私達の酒が飲めないっていうのか?」
うわっ!タチ悪っ!!
俺はなんとかこの二人から離れた。
「ふぅ、タチ悪かったぁ」
俺はカウンターに座った。
隣には、理事長がいた。
「なあ、拓海?」
理事長は俺が座ると同時に急に口を開いた。
「なんですか?」
「私って・・・まだ1話しか登場してないって知ってたか?」
「ええ。もちろんです!」
「悲しいなぁ」
「仕方ないですよ」
「そっか・・・。」
俺はダークなオーラを発し始めた理事長から離れた。
まったく、ここにはまともな人間はいないのか?
俺はそう考えながら、小雪達のいるところに向かった。
そこには、小雪の他に恵魅と和彦、そして裕司がいた。
「あ、拓海が来た」
裕司がどうでもいいように言った。
「ちーっす!」
「拓海、楽しんでるか?」
「和彦、当たり前だろっ!!」
「そりゃ、よかった!!」
「お兄さま?怪我は大丈夫ですか?」
「まあまあかな?」
「あはは、階段からコケたんだろ?ドジだなぁ」
「まったくですよ。拓海はドジです」
「うっせぇよ」
俺は四人の所から離れた。
俺っていじられキャラ?
そしてなぜか後ろには小雪がついていきていた。
次に俺が向かったのは、千鶴、神無月さん、穂村さん、そして桜咲さんのところに向かった。
「楽しんでますかぁ?」
「おっ!拓海じゃん!楽しんでるよ」
「そうか」
「拓海も楽しんでる?」
「まあね」
「それはよかったよー」
「月森君はこういうの好き?」
「好きだよ。なんかみんな集まるっていいよな」
「そうなのですよ」
「拓海殿?」
神無月さんが近くに来いという仕草をした。
俺は指示に従った。
そして彼女は耳元で、
「ありがとう」
と一言だけ言った。
「いえいえ、どういたしまして」
俺はそれだけ言って小雪と四人の元を離れた。
だから、なんでついてくるの?