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22時間目 約束と謝罪

朝でーす。


「ふわぁあ」


あーあ、昨日はあんまり眠れなかったな。

だって母さんの話があまりに尋常じゃないんだもん。


・・・親父。あんたは一体?


「ちょっと月森君?」


誰かが俺を呼んだ。


「あ、桜咲さん」

「おはようございます」

「何してるんですか?こんな時間に?」



俺は今日は遅刻するからと恵魅達は先に行かせたのだ。

まあ、帰ったときの恵魅は大変でしたよ。

だって俺がこんなに怪我をしてるんですから。

もう、病院に行けとかご飯を食べさせてやるとか本当に大変でした。


「あなたを待ってたんですよ!月森君!」

「へっ?俺を?」

「そう!あなたに聞きたいことがあるのです」

「聞きたいこと?」

「そう。昨日どこに行ってたんですか?」


ああ、その事か。


「昨日は知り合いの墓参りに行ってたんだよ」

「本当ぅ?」

「うん。嘘だと思うなら神無月さん達に聞いてご覧よ。あの二人も一緒だったから」

「ふぅん。じゃあ、その怪我は?」

「こ、これはちょっと転んじゃて・・・。」

「ベタですね」


まったくです。


「まあ、いいですわ。・・・月森君、あなたに頼みたいことがあるの」

「なに?」

「月森君、みんなに心配掛けないであげて」

「はい?」


いきなり何言うんだ?


「昨日急に休んでみんな元気がなかったんだ。あの千鶴でさえもよ。びっくりしちゃったよ。あなた、自分では気がついてないかもしれないけど、あなたがあのクラスに入ってみんな変わったの。そんなあなたがクラスにいないとみんな暗かったよ。正直羨ましかったわ」


・・・。


「私は昔から千鶴と一緒だった。だけどあんな千鶴を見るのは珍しいわよ。月森君、私は千鶴が好きなの」


ハイーーーッ!?


「もちろん、親友としてよ」


なんだ、ビックリしたぁ。


「でね、千鶴は昨日、あなたの代わりにみんなを励ましたの。みんなはやはり元気になったわ。でも、千鶴は自分を犠牲にしてた。それは私にだけわかったわ。だから、もう勝手にいなくならないで」

「・・・わかったよ」

「ありがとう」


ごめん、桜咲さん。俺は嘘ついてるよ。

でも、みんなを巻き込みたくないんだ。

俺は・・・自分のしなきゃいけない事をする。

だから、もし帰って来たらその約束は破らないよ。


「月森君。早く行こう」

「ああ」


この広い空の下。

俺はみんなと笑う時間が好きだ。

まだ入学して一ヶ月も経ってないけど、俺はみんなの事が好きだよ。

だから、もし帰って来れたらまたみんなで・・・笑って過ごそうな。


それが俺にできる、みんなと俺の最後の約束だよ。

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