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第0時間目

(プロローグを諸事情で変更させていただきました。)約1週間掛かってしまいましたが、ようやく始まりの部分を完成させることができました。

この世は不条理で不平等であると人は言う。

自分もその意見には賛成である。

自分はこの世の中の、普遍的なところを知っている。

本当は嘘。嘘は本当。

鏡は本物。自分はニセモノ。

そんな現実を知ったら、彼等はどんな反応を示すのだろうか。

おや?どうやら、運命の歯車が回り始めたみたいだ。

さて、自分はゆっくりと観戦と行こうかな。

傍観者……として。




夢を見た。

どんな夢なのかはよく覚えてない。しかし、何故だか懐かしい夢だった気がする。

おかしいな。俺の過去に懐かしさなんて物はないはずなのに。

だって、俺は……過去を捨てた男なのだから。



俺は朝陽の眩しさで目を覚ました。

カーテンの隙間からは朝の日の光りが部屋に漏れていた。

その隙間からは雲一つない、青空が一面に広がっていた。

俺は起き上がり、昨日のうちに用意しておいた制服に着替えた。

新品の制服は、まだ硬く感じられた。



俺の名前は月森拓海。

今日から神様学園しんようがくうんという学園の高等部に入学する。

神様学園は初等部、中等部、高等部、そして大学まで揃っている、この国で一番大きな学園だ。

俺はそこの理事長の推薦で入ったので、入試等は一切受けていないのだ。

そこの理事長は、俺の両親の親友らしいのだが、俺はまだ一度しかその人と会ったことがない。

ともかく、今日から俺はそこの生徒になるわけなのである。俺は制服を着替えて、下の居間に移動した。

「あ、お兄さま、おはようございます。」

居間には妹の恵魅が朝食を食べていた。


こいつは俺の妹の恵魅めぐみ

こいつには他の普通の人とは違って、特殊な力がある。

それは、魔法と呼ばれるものだ。

魔法――千人に一人の割合で使えることのできる、選ばれた人間だけが使うことのできるものなのだ。

しかし、その千人というのは統計の範囲のもので、俺の家系の月森家の者は全員魔法を使う事ができるのだ。唯一人、俺を除いては……。

ところで、俺の妹は神様学園の生徒なのである。

しかし、学科はやはり魔法課なのである。

そこには魔法が使える生徒だけが入ることのできるクラスのことである。神様学園はその学科がある、数少ない学園なのである。


「ああ、おはよう。」

俺はいつもの席に着いた。

そして、俺は目の前にある物を見て絶句してしまった。

「あら、拓海ちゃん、おはよう。」

洗濯物を干し終わった母さんが、俺に言った。


月森今日子。それが母さんの名前だ。

母さんは月森の血は引いてはいないが、一応魔法使いだ。

母さんはなんでもできる、いわば万能な人だ。

しかし、そんな母さんも一つだけ弱点がある。

それは……。


「お、おはよう。……母さん、これ何?」

俺はテーブルの上のそれを指差した。

「あら、拓海ちゃんはそんな物も知らないの?」

「いや、知ってるけどさぁ。朝から、これはちょっと……。」

テーブルの上に乗せられていた物。それは餃子だった。


母さんの弱点。それは天然なところである。

それが万能な母さんにある、たった一つの弱点である。


朝から餃子。それは俺が食べたくない時間帯と食べ物の関係だった。

おそらく、ほとんどの人はそう思うはずだろう。

「母さん、これは新手のイジメですか?」

特に嫌味を言ったつもりは全くない。

しかし、朝から餃子というのは…………勘弁してほしい。

「あら、拓海ちゃんって、餃子は嫌いだったかしら?」

「いや、そういうわけじゃないんだけど…………ごめんよ。」

「そう、そうなの。……わかったわ。違う物を作るわ。餃子みたいに精のつくものをね。」

それが目的だったのか。

「母さん、そんなに精のつく物なんて、作らなくてもいいよ。」

「あら、今日は初めての登校日なのよ。元気つけなきゃ。」

一体、初登校の日に何があるというのだ?

「さて、作るわよ。」

母さんは張り切って言った。

まあ、俺の事を考えての事なのだろう。

「さぁて、頑張るわよ。」

母さんは何かをポケットから何かを取り出した。

あれは……。

「ギャーー!!」

俺は急いで、それを母さんから取り上げた。

母さんがポケットから取り出した物……それは、蛇だった。それも、この近くにいるはずのないマムシだった。「何でこんな物を持ってるんだよっ!?」

「さっき、庭にいたから捕まえてきたのよ。」

母さんは至って冷静だった。

「庭にいたからって捕まえちゃダメでしょ!!それに、これは普通の蛇じゃないのっ!!毒蛇のマムシだよ!」

「あら、マムシさんって言うのね?マムシさん、ごめんなさいね。あなたの命を無駄にしないようにおいしく料理してあげるからね。そして、拓海ちゃんの中でも元気でね。」

「母さん……。」

俺は母さんの言葉を聞いて、つっこむ気すら失せた。

俺は溜息を吐いた。そして、右手で息絶えてる蛇を見て思った。

(なぁ、蛇。お前はかわいそうなやつだな。なんで家の庭になんか居たんだ。まぁ、俺はお前を食べることなんてしないから、化けて出たりしないで、すぐに成仏するんだぞ。)

俺は蛇に完全に同情してしまった。

「ご馳走様でした。」

俺等を無視していた恵魅が言った。

「お兄さま、遅刻しますよ。」

(遅刻?)

「まずい。」

俺は持っていた蛇を母さんに預けて、鞄を取りに自分の部屋に戻った。



コンコン。

誰かが俺の部屋のドアをノックした。

「何か用?」

ドアが開いた。

そして、入ってきたのは恵魅だった。

「どうした?」

「お兄さま、早く行かないと遅刻しますよ。」

「ああ、わかってる。」

俺は鞄を持って、恵魅と下に降りた。


玄関には母さんがいた。

「拓海ちゃん、急いで。」誰のせいで、こんな時間になったのだ?と言ったツッコミは、あえて言わないでおこう。

「ああ、わかってる。」

俺は新品の革靴を履いた。

「じゃ、行ってくるね。」

「ええ、いってらっしゃい。」

母さんは手を振って、俺を見送ってくれた。

そして、その逆の手にはさっきの蛇がいた。






功一さん。あなたの息子はあそこまで成長しましたよ。

あなたも、どうか彼を見守っていてくださいね。。の子が、これから起こる悲しい運命に負けないように…………。

どうでしたか?まだ話は始まってませんが、彼のこれからの『運命』を、どうぞご期待下さい。

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