表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/44

13時間目 ウェイトレスさん

拓海君、あれから魂が抜けちゃってるみたいだなぁ。


・・・あれ?


今回私が主人公ですか?

なんで? どうしてですか?


確かに拓海君は今違う世界に飛んでますけど、なんで私なんですか?


・・・え?


ああ、拓海君を起こしてほしかったんですね。


なんだぁ、よかったぁ。


それじゃ、今戻しますね。


今後も天宮麻奈美をよろしくお願いしますね。


(拓海君、起きて。もう始まってるよ)


―――――


ハッ!?




あ、すいません。

今違う世界に、っていうか現実逃避してました。


いやー、散々な目に遇ってしまいましたよ。

どうやら今は日本史の授業のようですね。

おー、俺現実逃避しながらもノート取ってた。

奇跡です!!



キーンコーンカーンコーン


あ、終業のチャイムのようですね。

なんか、授業出た気がしませんね。

まあ、いいけどね。


〜〜〜〜〜


「いやー、大変だったね」

休み時間中、天宮さんが話し掛けてきた。


「まったくだよ」

「拓海は要領が悪いですね」

「はぁ、まったくもって運が悪いよ」

「でも、拓海はがんばったので小雪が抱きしめてあげるですぅ!!」


小雪はそう言って俺に抱き付いてきた。


いやはや、嬉しいような嬉しくないような。

やっぱり、腰イテェ。


「あー、拓海君がセクハラしてやがるですぅ」


白鳥さん・・・泣いていい?


「OK!!」


ひどっ!!


「拓海君、今日はお昼どうする?」

「うーん、購買で買うよ」

「なら、一緒に喫茶店行かない?」

「あれ? ここってそんなのもあるの?」

「うん。だから一緒に行こう」

「うん。それじゃ、そうしようかな」


ってな訳で(どんな訳?)俺の昼飯が喫茶店に決まりました。


さて、また何かありそうな予感です。


〜〜〜〜〜


(ザワザワ・・・)


かなりの人が入ってるみたいです。


まあ、昼飯時なので当たり前です。


結局、俺と小雪と麻奈美の三人だけで来た。


「いらっしゃいませ」


若いウェイトレスが言った。


・・・?

ここの制服、どこかで見たような気が・・・?


俺はそんな疑問を残しつつ、案内された席に着いた。


「何にしますか?」


「私はスパゲッティ」


「小雪も!」


二人はそれぞれ食べたい物を頼んでいた。


さて、俺は何にするかな?


「肉まんはないわよ」


「さすがにここまで来て頼みませんし、今の季節にないことくらい知ってます」


・・・あれ?


なんで、ウェイトレスのお姉さんが俺の好物知ってるんだ?



俺は不思議に思い、お姉さんの方を見た。

相手は俺の方を笑顔で見ていた。


・・・知らない人、だと思う?


しかし、相手は自分の事を知ってるようだ。


「あれ? 拓海君、留美さんの事知ってるの?」



いや、知らない・・・と思う。



「フフフ、覚えてないのも無理ないわね。でも、・・・こうすれば思い出すでしょ!」


留美というお姉さんは俺に乗り掛かって来た。・・・いや、抱き付いてきた。


ミギャーーーー!!


俺は驚いた。

だって、初めて出会ったかもしれない女の人に急に抱きしめられたのだから無理はない。


っていうか腰イテェ!!


「どう? 思い出した?」


いや、そんな事よりも腰の辺りがアァァァァァ!!


「久しぶりだから嬉しいでしょ!?」


いや、死ぬっしょ!?

マジで!


「留美さん、拓海君とはどのようなご関係なんですか?」


「ん? ああ、うちの管理人さんの甥っ子さんよ」


『ハイーーッ!!??』×3


うちの管理人さん?

甥っ子?

どゆこと? 何? 何がどうして?



俺は慌てふためいたが、俺より二人の方が驚いているようだった。


「あれ? 知らなかったの?」


「た、確かに管理人さんの名字って月森だけど・・・そんな近い親戚の人だとは・・・?」


「あら、知らなかったんだ。まあ、確かにあの人ってば過去の話なんてしないからね」


留美さんは笑顔で言った。


「俺の叔父さん・・・・・・という事は準二叔父さん!?」


「ええ、そうよ。昔はよく一緒に遊んだ物よ。あなたの両親ともね」


な、なんですと!?


「この間、あなたのお母さんにも会ったわよ。その時はあなたはいなかったけど、いやぁ、あの時は困ったわ。ここの制服がかわいいからって、一つあげちゃったの。」


一つ・・・あげた?


・・・あぁーーー!!


そっか、昨日の朝に母さんが着ていた服。確かにこれだ!!


母さん、・・・貰うなよ。


「それにしても、久しぶりに話したわぁ。相変わらず元気だったわ」


「まあ、いつも元気ですからね」


「ふふふ、それにしてもあんなに小さかった拓海君がこんなに大きくなるなんてねぇ」


ええ、最後にいつ会ったか覚えてないほど前に見たんですから、当たり前ですよ。


「拓海君、恵魅ちゃんは元気?」


「え、はい。まあ、元気過ぎて困りますよ」


「あら、そう。それで、あの事は?」


!?


「やっぱり話す気がないんだね」


「当たり前ですよ」


「うん!よかった!!」


「え?」


「もし話すようだったら私拓海君の事嫌いになってたかもね」


留美さんはそう言って俺の頭を撫でた。


「あの、どうしてあの事を?」


「うふふ、言ったでしょ。あなたのお母さんとは仲が良いのよ」


「そうですか。これからもよろしくお願いします」


「ふふふ、当たり前でしょ」


留美さんはそう言って俺らの元から去って行った。


「拓海? 小雪達の管理人と親戚だったですか?」


「そうみたいだね。叔父さん、元気してる?」


「うん!」

「うん!」


「そうか、それは良かった」


「拓海、今度家に遊びに来るといいですよ」


「そうだね。叔父さんも喜ぶよ」


「確かにあの人とは長い間会ってなかったからな。・・・うん! 今度お邪魔させてもらうよ」


「やったー!」


「よかったね、小雪ちゃん。それじゃ、片付けとかないとね」


「そうですね。」


ということで俺は今度二人の住む『月光荘』に行くことになりました。


しかし、それはまた別の話です。


ということで今回はこの辺で。



・・・あれ?

留美さーん、俺まだ注文してないよー。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ