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9時間目 仲良く

前回の続きです。

「天宮さん、ごめんね」


俺は彼女に謝った。


「ううん。私の方こそごめんね」

「いや、なんかすっきりした気分だよ」

「そうなの?」

「うん。なんか小さい穴に蓋を締める事ができた気分だよ」

「?」


天宮さんは不思議そうな顔をして首を傾げた。


「ん? あんまり深く考えないでいいよ」

「そうなの?」

「うん!」

「そうなんだ」

「当たり前だよ」

「・・・なんかわかんないや」

「俺も」

「ダメじゃない」

「ダメだね」


俺は天宮さんと目を交わした。


「「プッ!」」

「アハハ・・・」

「フフフ・・・」


俺等は笑ってしまった。

なにが可笑しかったのかはわからない。

しかし、ただ笑いたかった。

それをなんと表現していいのか今の俺にはわからない。

しかし、俺は嬉しかった。

だって、彼女の明るい笑った顔が見れたのだから。


やがて、彼女は笑う事を止め、俺の方を向いた



「拓海君?」

「ん?」


・・・あれ?


「拓海・・・君?」

「うん、だって月森君じゃ嫌でしょ?」


・・・嫌?

ああ、俺さっき月森の姓が嫌いだって言ったけ?

そうか、彼女は俺の事を考えて・・・。


「ありがとね」

「いいよ。それより、私だけ下の名前で呼ぶのって変かな?」

「変じゃないけど・・・。」

「出来れば・・・拓海君も私の事を・・・。」


ふぅ・・・。


「『麻奈美ちゃん』と『麻奈美』どっちがいい?」

「えっ? ・・・じゃあ、麻奈美で」

「わかったよ。麻奈美」

「なんだか、やっと拓海君と友達になった気がするよ」

「あはは・・・。俺は保健室でお茶をこぼされた時から親近感はあったよ」

「あっ! もぉ、やっと忘れられたところだったのにぃ」

「ししし、もう懐かしい感じがするよ」

「そう? ついこの間の事に感じるけど?」

「なんか、最近色々な事が起きて一日一日が長く感じられるんだ」

「そうなんだ」

「うん。一週間前までは普通に平和な暮らしをするもんだと思ってたけど、今は毎日が新鮮な気がするよ」

「今の生活は楽しい?」

「当たり前だよ」

「そう、よかった」


つい二日前、俺は似た会話を小雪としたばかりだった。

そして今は麻奈美とこうしている。

もしかしたら、この公園には何か不思議な力があるのではないだろうか?


ま、どうでもいいことかもね。

だって、俺は二日前には小雪と、そして今は麻奈美とこうして話している。

ここに不思議な力があるなら、俺はその力に感謝するよ。


二人と仲良くさせてくれて、どうもありがとう。

えーと、公園さん。


・・・・・・ってか俺、今なんか物凄い恥ずかしい事を考えていたんじゃないか?



穴があったら入りたいかもですぅ。


あれ、それより・・・


「ねぇ、麻奈美?」

「ん?」

「今思ったんだけど、初めて会った時にあんまり口数多くなかったのはなんで?」

「ああ、あの時。多分、じきに解るよ」

「?」


謎が一層深まった。


単に人見知りか?

それとも他の理由かな?


まあ、いっか!


「さて、そろそろ帰るとしようか」

「うん!」


やはり、麻奈美は最初に会ったときの初々しさはもう消えていた。

なんか俺まで、初めて友達になった気がした。


・・・あれ?

なんだろう、この変な気分は?


・・・ま、いっか。



俺達は帰路についた。

もう時間的に帰宅する学生がたくさんいる時刻だった。

俺等はその中に紛れて帰った。


〜〜〜〜〜


「あ、お兄さま、お帰りなさい」


家に着くと恵魅はテレビを見ていた。

どうやら母さんはいないようだ。


はあ、こいつは気楽でいいよなぁ。


「ああ、ただいま」


俺はこいつを・・・恵魅をこれからも護っていくだろう。

しかし、こいつはもう強い。

だから、俺がいなくてもいいのだ。


・・・ちょっと寂しいな。


―――――


今日は麻奈美と仲良くなり、恵魅の成長を少し感じた楽しいような寂しい一日でした。


―――――


この後俺は、学校をサボった恵魅を夜まで叱りましたとさ。

長かったですが、やっと暗い話が終わりました。感想・ご指摘お待ちしてます。

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