表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/17

キミとたこやき


 キミとつないだ手があったかい。

 キミとのこの時間がとても愛しい。

 キミとの絆を確認して、幸せな気分。

「優梨、どこで食べる?」

「どこでも良いよ。空いてる所にしよう。」

「おう。」

 こんな、何気ない会話が嬉しい。前は考えられなかった事。

「あ、ココ空いてるぞ。」

「んじゃ、ここにしよっか。」

 着いたのは1年生の模擬店。タコ焼き屋だった。

「よし、一番多いのにするぞ。」「えっ…それって、12個入りの?大丈夫かなぁ…」

「二人で半分づつだから6個ずつじゃん、余裕だろ♪」

「え〜…大丈夫かなぁ…」

「優梨は大丈夫だって」

「優梨はって…何よ…私そんなにたくさん食べないよ…」

「ま、余ったら俺がくっちゃる。ちょっと待ってて。買って来るから」

 そう言って、キミは屋台に走る。

 ふと空を見上げた。

 綺麗な秋晴れだ。

 少しのびをした。

この時間トキが…いつまでも続いて欲しいと願った。

「優梨っ!買ってきたぞ!」

 笑顔でキミがこっちに来る。

「ありがと。ごめんね…買いに行かせちゃって…」

「んな事気にすんなよ。それより、どこで食べようなぁ…」

「別に、どこでも良いよ。あ、そこの階段にしよう。」

 私が言ったのはコンクリート製の木陰にある階段だった。でも階段数は3・4段ほどだった。

「よいしょ。」 階段に腰掛ける。

 ひんやりと冷たい。

「ほら、優梨。」

 そう言ってキミはタコ焼きのパックを差し出す。

「んじゃあ、頂きます。」

「ほいほい。」

 爪楊枝をタコ焼きにさした。以外に重い。

 なぜか、キミは笑ってる。

 タコ焼きを口に入れた。

「…。」

「どうだ?うまい?」

「…」

 とても喋られる状況じゃない。

 なぜ口の中に、大粒のタコがあるのか理解できなかった。

 …キミはやっぱりにやにやしてる。…やられた。

「もう、良平君!このタコ焼き何?!」

「何って?」

 キミのクスクス笑いは止まらない。

「タコ焼き!こんなおっきなタコが入ってるなんて聞いてないよ!」

「なんにも入ってないよりは良いだろ。」

 私は少しふくれながら、

「…いじわる…」

 と言った。

 キミは少し笑って、

「ごめんごめん。でも、優梨はやっぱりかわいいな。」

 と言った。

 みるみるうちに顔が熱くなる。

 キミをみれない。

「…でも…食べる…」

 そう言って私が新しいタコ焼きに手を伸ばすと、キミは言った。

「…なぁ、『あーん』、して。」

「えっ?何それ…」

「だから、食べさせて。俺に。」

「えぇっ!」

 思ってもみなかった。そんな光景は有り得ないと思ってた。

「い…嫌だよ…恥ずかしいよ…」

「いいじゃん。誰もみてないし、はい、あーん…」

 そう言ってキミは口を開ける。

「しょ…しょーがないなぁ…これじゃ、ホントに3歳児だよ…」

 そう言いながらも、キミの口へタコを運ぶ。

「…ん…うまい!確かにタコでかいな。ははは。」

 キミが笑う。こんなにも近くで。

 次の瞬間、私はいきなり笑い出した。

「えっ?なんだよ…どーした?」

 私は笑いを堪えながら、やっと言った。

「…だって…青ノリ…前歯に…付いて…んだもん…あ〜、苦しい…」






「えっ…マジで?」

 キミは急いで爪楊枝で青ノリを取った。

「おい、もう青ノリ取れただろ。」

 キミは『イー』と白い歯を見せる。

 その仕草がおかしくて私はまた笑う。

「…なんだよ…優梨…笑いスギだよ…」

「ごっ…ごめんごめん」

 ようやく笑いが落ち着いた。

「なんかさ、良平君って、いいなぁ…って思ったんだ」

「えっ?」「初めて話した日、傘貸してくれたじゃん、でもあれは…」

「穴…開いてたな…」

「それと同じで、なんていうんだろ…あったかいっていうのかな…和むなぁって。」

「そ…そーゆーもんかな…」

「他の女の子は分からないよ。でも、私は良平君のそんなところ、スキだよ。」

 そう言うとキミは、

「そぉか?ま、優梨がスキでいてくれたら別に良いんだけどな。」

 と、タコ焼きを頬張りながら言った。

 私ももう一つ食べた。

 キミと並んで…キミの隣りで食べると、いつものタコ焼きが…ちょっと違った。

 最も、タコの大きさはいつもと比べるとかなり大きいけど。

 タコ焼きを食べ終えた頃、放送がかかった。

『そろそろ、2日目の日程の終了時間です。生徒の皆さんは、後片付けにとりかかりましょう。職員は…』

「えっ!もうそんな時間か?!」

「…ホントだ…タコ焼き食べてたら終わっちゃったよ…」

「集計係って、この放送があったら教室で売り上げ計算するんだよな?」

「うん。亜花莉と田辺君も一緒に…」


「あーあ…結局俺たちって、少しケンカして、仲直りして、タコ焼き食べて終わりかぁ…」

「いいじゃん。楽しかったよ。」

「そうか?優梨がそう言うなら良いけど…」

「…良平君は?」

「えっ?」

「今日、楽しかった?」

「勿論じゃん。優梨と一緒で楽しくない訳ないじゃんか。」

 そう言ってキミは、また笑う。

 キミの笑顔が眩しい。

「あのさ、優梨。」

 急にキミが真面目な声で言う。

「なぁに?」

「いつかさ、ちゃんと…デートに誘う。」

「うん。楽しみにしてる。」

「あぁ、その時はもう少しビシッとキメる様にする。」

「なんで?そのままで良いよ。」

「えっ?」

「今日みたいに、リラックスした、そのままの良平君と、デートしたい。」

「…そうなのか?」

「うん。肩の力抜いてさ、今日みたいな笑顔、もっと見せて。」

「…優梨ってやっぱり面白いヤツだよ。」

 キミは笑う。

「なによ。私はね、2枚目のカッコつけより3枚目の人の方が好きなのよ。」

「…そうなんだ。」

 キミはやっぱり笑う。

「なっ…なによ…」

 堪え切れなくて、私も笑う。

 幸せな瞬間。

 こんな瞬間…キミと一緒に…もっと味わいたい。


「…行こう。二人とも、待ってる。」

 今度は、私が左手を差し出す。

 キミはほほ笑んで、右手をつなぐ。

 突き抜ける様な青い空に、今日は、背伸びしたら届く気がした。

「おっ、ラブラブカップルが帰ってきましたよ。」

「お〜。どうだった?」

 教室に行くと、すでにみんな帰り、亜花莉と田辺君だけが残っていた。

「ごめんね…遅くなっちゃって…」

「いいのよ。別に。ところで、どーだったのよ。前野と、どこ行ったの?」

「う〜ん…タコ焼き食べたかな。それだけ。」

「はっ?それだけ?他には?」

 亜花莉の目が、真ん丸になる。

「…行ってないよ。」

「おやおや。あれからずっとタコ焼き食べてたの?キミたち。」

 呆れたような口調の田辺君。

「そーだよっ。悪いかっ。」

「…別に。ま、良いんじゃない?」

「亜花莉たちは?どこか行ったの?」

「当たり前よ。ほとんどのクラス回ったわよ。」

「タコ焼き食べたけど…そんなに時間かけて食べたの?1つ食べるのに何十分かけてるのさ。」

「別に良いだろ。」

「まぁ、部外者は口を挟まないけどね。」

「優梨、それで満足なの?」

「うん。勿論。なんで?」

「…だめだこりゃ。」

 亜花莉は呆れた様に溜め息。

「筋金入りのバカップルだな。」

 田辺君も溜め息。

「別に良いだろ。また改めて別の日にデートするよ。」

「そーなんだ…」

 亜花莉が、ニヤリと笑う。

「…なっ…何?亜花莉…」

「べぇ〜つにぃ〜。あんたたちには敵いません。もう、勝手にやってて。」

「そーそー。一緒に居るとヤケドしちゃう。」

「なっ…」

 キミは言葉に詰まる。

「はいはい、キミたちの話聞いてるとね、歯がぐらぐらするの。」

「そうそう。どうせ、その様子だとバザーに、顔すら出さなかったんでしょ。だから最後の仕事ぐらいはきちんとやりなさい。」

「はぁ〜い。」

 私たちは、二人でそろって返事をした。

 集計が終わったのは、文化祭が終わってから2時間後だった。

 辺りは真っ暗。

「…優梨、送ってく。」

「えっ?だって…反対方向じゃ…」

「いーんだよ。危ないし、もう少しで部活再開だから、今から足腰鍛え直さなきゃな。」

「大変ねぇ…遠距離恋愛は。」

「亜花莉…これは遠距離なの…?」

「逆方向も、立派な遠距離恋愛よ。」

「俺たちは、二人共東町だもんな。」

「だから中学も一緒なのよ。東中。」

「そうなんだ…」

「ま、大切なのはさ、どこに住んでるかじゃなくて、どれだけ好きか…って事じゃん。」

 どこか熱心な視線の田辺君。

「真章、お前、たまには良い事言うな。」

 キミは、感心した様な表情。

「悪かったな。お前程言うの、たまにじゃないぞ。」

「なんだと…」

「はいはい、ケンカはおしまい。ほら、真章、行こう。」

 亜花莉の言葉で、私たちはお互い分かれた。

「じゃあね。」

「うん。また明日ね。」

「良平、ちゃんと有沢守ってやれよ。」

「当たり前だろっ」

 …二人で並んで歩く。

 空には、三日月。

「…三日月だねぇ。」

「ほんとだ。満月じゃないのか…」

「良平君、満月が好き?」

「う〜ん…三日月も嫌いじゃないけど、どうせなら月そのものを全部見たいじゃん。」

「ふふふ。良平君はらしいね。」

「そう?」

 二人で笑いあう。

「そう言いえば、前にも送ってもらったよね。」

「そうだな。あの時はまだ、付き合ってなかったけど。」

「不思議だね。ホント、ついこの前だよ。」

「ホントだな。…あ、あれじゃないか?」


 家の前に着いた。

「送ってくれてありがとう。気をつけて帰ってね。」

「おう。今日は楽しかった。ありがとな。」

「私もだよ。…デート、改めて楽しみにしてる。」

「あぁ。俺も楽しみ。」

「そうだね。…それじゃあ…また明日…」

「おっ!んじゃな!!」

 キミはランニングをするかの様に、軽やかに走って行った。

 少し夜風が冷たい。


 なんだか、新婚カップルの気持ちが分かった様な気がした一日だった。

 笑うと白い歯が見えるキミ。

 たくさんの宝物をくれるキミ。

 …前野良平。幸せな瞬間をくれるキミの名前。


 今回は、いつも以上に甘々にしてみました。目標は新婚カップル(笑)

 感想やメッセージ等、あれば是非下さい☆そして、よろしければ評価もして下さると嬉しいです♪

 次回は新展開を考えています。もし機会があれば見てやって下さい★

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ