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キミとわたしのきもち


 キミは言った。

私の事がスキだって。

 

 でも…私は何も言えなかった。

 キミ昨日、告白された。

 1週間前からスキになった私。

 半年以上も前から私をスキになっとくれてたキミ…

 

 こんなに自分がもどかしかった事、なかった。

 

 でも、今日、キミに言うよ。

 キミがスキって。

 

「…っという訳で、今日の動きはこんなカンジです。」

 先輩の声。今は開会式の後で、

委員や係が今日の動きの説明を受けている。

 

「それから、変更がひとつだけ。」

 みんなが顔を上げて先輩を見る。 

「有沢さんが2年のクラス発表の時の受付係になってくれました。」

 みんな、一斉にこっちを見る。私は小さく、

 

「お願いします…」

 と言うので精一杯だった。

 

「えぇ〜?!優梨、劇見らんないの?」

 1年生最後の組が出し物をしてる。私たちのクラス発表まて、あと15分。

 本番用に準備万端な亜花莉が素頓狂な声を上げる。

 

「うん…なんか、ちょっと2年の出し物の時に受付係がいなくて…」

 

「いくら人手不足だからって…優梨が行かなきゃいけないなんて…」

 

「ホントにごめんね。でも、委員会でビデオ録ってるから後で見せてもらう。」

 

「そっか…まぁ、委員会の先輩、怖そうだしね…」

 

「まぁね。」


 二人で笑いあう。

 

「優梨に私の勇姿見てもらえないのは残念だけどさ、優梨のそーゆーとこ、好きだよ。」

 

「ありがとう。亜花莉、がんばって!セリフとちったら恥ずかしいよ。」

 

「優梨こそ、パンフ渡し忘れちゃ恥ずかしいよ。そっちもがんばってね。」

 劇がはじまった。亜花莉の声が聞こえる。

 受付係の席には、私だけ。

 空しくなって溜め息。

 ふと正面をぼーっと見つめる。 遠く、小さく見えるのは、あの紅葉。昨日よりもまた葉っぱが減ってる。

 そういえば…キミに今日、まだ会ってない。

 さびしいよ。キミに会えないのは。

 昨日の告白さえ、嘘みたいに思えてくる。

 また溜め息。

 そんな時、後ろの方で懐かしい声が聞こえた。

 

「こらっ、ちゃんと仕事しろ。優梨。」

 慌てて振り返る。

 キミだ。キミがいた。

 

「なんで?」

 まだ、劇の真っ最中。それなのに…

 

「北里に聞いた。優梨、一人でここにいるって…」

 

「亜花莉が…」

 

「今日、優梨と話してないなって思ってさ。」

 私もだよ。

 

「そうだね。…とりあえず、おはよう。」

 

「9時半におはようって言われてもなぁ…」

 くすくす笑いだすキミ。

 

「ははは。やっぱり優梨は面白いな。」

 

「そっ…そうかな…」

 顔が赤くなるのが自分でも分かるよ。



 

 ちょっと沈黙。

 キミが口を開いた。

 

「…昨日の…事だけど…」

 私はうつむいてしまった。キミがこっちをはっきり見つめるが分かったから。

 でも、これじゃだめだ。

 キミの事、スキって伝えなきゃ。

 このままじゃ、絶対後悔する。

 キミをじっと見つめる。キミは少し驚いているね。

 心臓は爆発寸前。

 顔が熱い。

 

 

「私も、良平君が…好きです。」


 また、ちょっと沈黙。

 信じらんないって顔してるキミ。

 

 

「って事は…?俺たち両思い?」

 

「…そうなるのかな…」

 

「マジで?嘘じゃないよな?」

 

「うん。」

 

 私がそう言うと、キミは私を抱き締めた。

 

「俺、今生まれてきて一番嬉しい。」

 私も。

 キミのぬくもりが…直接私に入り込む。

 あったかい。

 しばらくしてから、きみは私を放して、聞いた。 

「…ところでさ、優梨はいつから俺が好きになったんだ?」

 

「えっ…」

 一番聞かれなくない質問…

 

「実はね…一週間前なの…」

 

「へっ?一週間前?」

 素頓狂なキミの声。

 当たり前か…驚くよね…そりゃ…

 でも、キミは別の事で驚いてた。

 

「一週間前っていうと…あの雨の日の?」

 

「…そう…傘貸してくれた日…良平君のこと、はじめて知れた日だし…傘まで貸してくれて…優しいなって…」

 私がそう言った瞬間…キミは笑い出した。

 話がさっぱり分からないので、キョトン…としてたら、キミが笑いを堪えながら言った。

 

「ごめんごめん…俺さ、あの日、優梨に嫌われたと思ってたんだよ。」

 

「えっ…?なんで?」

 

「だって…穴の開いた傘、貸したんだぞ。絶対嫌なヤツだと思われたと思ったんだよ。」

 

「…私、そんな態度だった?」

 

「いや、優梨は思ってたのと正反対でさ、でも印象悪くなったろうなって思ってたんだよ。」

 

「全然。なんか面白かったし。」

 

「俺に言わせれば、お前が一番面白いよ。」

 そう言うとキミはまた笑った。

 私も笑った。

 

 こうして、私とキミは恋人同士になれた。

 ありがとう。

 これからもよろしくね。

 

「有沢さん、受付係、交替します。すいませんでした!」

 そう言って、1年の後輩がきた。

 

「あ、はい。

それじゃあ、クラスに戻ります。」

 なぜか、年下に敬語…な私…

 

「優梨、行こう。」

 キミと、体育館に向かった。

 

 

「優梨、あのさ、明日だけど…」

 入口の近くでキミが言った。

 

「明日、空いてるときに…一緒にまわらないか?」

 

「うん。そうしよう。私昨日言われた時からそうしたいなって思ってたし。」

 

「よしっ、んじゃあ約束だぞ。」

 

「うん。約束!」

 

「よし、良かった…あ、それじゃ、田辺が呼んでる。またな。」

 田辺君は、良平君の友達で、亜花莉の彼氏。

 

「うん、またね。」

 良平君と分かれたところで、亜花莉が追いかけてきた。

 

「優梨!さっきのって、前野だよね?なんかあったの?」

 

「…告白されて…付き合う事になったの。」

 

「良かったじゃん!好きだったんでしよ?前野の事!」

 

「そうなの。良かった…」


 キミの笑顔が見える。とても眩しい。

 前野良平…キミの笑顔、心から守りたい。そう思える名前。

 大好きなキミの…大切な名前…。大好きなキミの…大切な名前…。

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