表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/17

キミからのこくはく

 キミの涙は七色だった。光る、綺麗な粒だった…

 キミの涙を見たあの日から1週間たった。

 あれからの私たちに変化はない。

 ただ、キミが泣いた次の週、キミの目は少し腫れてたけど…

 

「―…さんっ…有沢さんっ!!」

 

「…っ、はい!」

 

「どうしたの?最近、ボーっとしてばかりで…」

 

「…すいません…」

 

「疲れてるとは思うけど、文化祭は明日よ。もう少し頑張りましょうね。」







 

「はい…すいませんでした、佐藤先輩…」

 私は文化祭の実行委員。

別に好きでなった訳じゃたいけど学校全体を運営する…という事に魅力を感じていた。

 なのに…キミに出会ってからは…キミの事ばっかり…

 

「あ、そうそう、有沢さん、あなたのクラス、出し物…劇だったわよね?」

 

「…えっ、はい…」

 劇は、私たちのクラスのオリジナル劇。

学校の生徒や先生がタイムスリップする…というものだ。 

「有沢さんは劇に出るの?」

 

「いえ…裏方です…」

 確か、キミも裏方だったよね。

 

「何係?」

 

「衣装です…」

 キミは舞台装置係…主人公がとても似合いそうだけど、余った役がそれだけだったから…キミは裏方になったね。

 

「それが…何か?」

 

「それがね、受付係が足りないの。2年の出し物の時だけ、他の委員がみんな出払ってるのよ。…それで、あなたしか空いてる人いないのよ…だから…」

 

「はい、いいですよ。やります。」

 

「そう、良かった!とっても助かるわ。ごめんなさいね…あなたも見たいかもしれないけど、2年生全員の…1時間だけでいいから。」

 

「いえ、構いません。衣装係だから当日は

特に役もないんで…」

「そう言ってくれるとありがたいわ。それじゃ、明日、よろしくね。仕事の内容は明日言うから。」

 帰り道、なんか今日も裏口から帰りたかった。

 ホントは劇見たかった。

 亜花莉がヒロイン役だし、実行委員会とかでロクに劇も見てなかった。

 何で見たかったって言わなかったんだろ。

 相手が先輩だったから?

 人手が足りないから?

 …違う。私は自分の意見が言えないんだ。

 ふと上を見る。休みの間に結構散った紅葉。足元にはたくさんの枯れ葉。

 その中の1枚を拾う。真っ赤な紅葉。綺麗…

 そうっとポッケにしまう。

 キミに会いたい。

 キミと話がしたい。 キミに思いが伝わらなくても、ずっと一緒に居たいって思う…

 

「お〜い、優梨!」

 キミの声?

  振り返る。

…キミだ。

 さっきから、ずっと見たいと思ってたキミの笑顔。

 

「優梨!やっぱりこっちから帰ってた!」

 

「…やっぱり?」

 

「お前がさ、今日はこっち通るかなって思ったんだよ。だから、その辺で待ってた。」

 キミが指差したのは、この前キミと私が座ってた辺り。

 

「ごめん…考え事してて気がつかなかった…」

 

「いいよ。実行委員会だったんだろ。明日だもんな。」

 

「ねぇ、クラスの出し物って、どれくらい進んでる?明日大丈夫?」

 

「えっ…?先週は俺もレギュラーテストとかで出らんなかったけど、今日みた限りだと、大丈夫そうだよ。」

 

「そっかぁ…良かった。」

 

「優梨、自分がクラスのに出らんないから気にしてんのか?大丈夫。順調。北里も上手いし。」

 北里は、亜花莉の名字。

 

「うん、良かった。気に入ってたから。」

 

「明日、忙しいのか?」

 

「うん…1日目は忙しいな。2日目はまだ大丈夫そうだけど…」

 因に、文化祭は1日目に各クラスでの出し物や発表、2日目はグラウンドを利用した模擬店やバザーになっている。

 私のクラスは1日目に劇、2日目に模擬店の予定だ。

 

「大変だし、忙しいとは思うけど、自分が楽しめよ。」

 

「えっ…?」

 突然のキミの言葉。

 

「優梨さ、無理してない?っていうか責任感強すぎな上に細かい所気にし過ぎ!確かに、お前の仕事はみんなを楽しませるものだけど、お前も楽しめなきゃ文化祭は成功しないぜ。」

 キミはなんでもお見通し。

 無理してたよ、たくさん。嫌だったよ、委員会。

 でも、気付いたら決まってて、自分はやらなきゃいけないんだって思い込んでたの。

 

「あのさ、2日目、俺とまわらない?いろんなとこ。

 

「えっ…?」

 キミがこっちを向く。

 真っ直ぐ私を見てる。

 

「好きだ。」

 キミは、今何て言ったの?

 

「俺、2年で、同じクラスになってから…お前ばっか見てた。」

 ねぇ、これって…告白?

 

「もしよかったら…俺たち付き合わないか?」

 付き合う?彼氏と彼女になるって事?

 

「あっ…あの…私…」

 なんで?なんで言えないの?私も“好きだ”って…

 

「返事は…今度で良い。

…じゃあ…また明日。」

 そう言いながら、キミは帰って行った。

 キミは私の事、好きだったの?

 私、キミの事、1週間前まではなんとも思ってなかったんだよ?

 それなのに…2年生になってからずっと?

 キミはずるい。

 私の心を惑わせてばかり。

 私は…自分が嫌になるくらいキミが好き。

 心なんて…ずっと前からキミに渡してる。

 前野良平―聞くと愛しくなる名前、聞いただけで優しくなれる名前。大事な大事なあなたの名前。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ