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キミとわたしとおかあさん


キミとケンカした。

初めて見た、キミの怒った顔…まだ私の頭と心に残っている。

ごめんなさい。こんな私で。

ごめんなさい。こんな彼女で…。

キミに会いたくない…というより、会えなかった。どんな顔すればいいか分からないから。

だから私は、次の日、学校を休んだ。

ウチの親は一人っ子の私に甘い。私が休みたいとか体調が悪いと言えば、必ず休ませる。

私はベッドの上に横になっていた。いつもならとっくに学校に行く時間だ。

ごめんね、良平くん。ズルイ私で。

ごめんね、お母さん。ズル休みして…。

悪いとか、いけないとか、分かっているけれど、私にはこうするしか出来なかった。キミから…逃げることしか。

私は目を閉じた。眠るつもりも、眠れるはずもなかったが、朝食を取る気もなかった。

今日は何の授業だったっけ…。

国語…確かキミが当たる番だったはず。

この前の授業の最後に『次の時間答え教えて』と言ってたね。…大丈夫かな。

体育…最近は男子はバスケだから人一倍楽しんでやってるね。

キミ程カッコよくシュートを決められる人なんていないよ。

数学…キミは一番得意な数学の時間は、真剣になるね。私に教えてくれる程に。

…どの授業の時も、独りでに目はキミを追っていた。

こんなに好きなら…キミの事しか考えられないなら…なんでケンカなんてしたんだろう。

昨日から続いている後悔に、また今朝も涙を流した。

そのとき、勉強机の上の携帯が鳴った。

ウチの親は過保護なので、家から少しでも離れた高校に行くことが決まったら、無理矢理携帯を持たせた。だから私も人並みに持っていた。

多分あの着メロは亜花莉だ。

事前に知らせていなかったから、メールを送ってきたのだろう。

わたしはベッドからゆっくりとダルそうに体を起こし、携帯を手に取った。

やはり亜花莉からのメールだった。

『今日は休み?私、昨日真章と仲直りした。真章が優梨にお礼言っとけって言ってるけど、何かしてくれたの?』

とあった。そうか…仲直りしたんだ。良かった。

今まで塞ぎ込んでいた気持が少し軽くなっていくのを感じた。そして、メールに返信する。

『仲直りしたんだ。良かった。昨日田辺くんと少し話したんだ。もしそれがキッカケで仲直りしたなら嬉しい!今日は少し体調良くないから休む。悪いけどテスト近いから、今日の分のノート見せてね。』

私は送信ボタンを押した。私は携帯を枕元に置き、またベッドへ横になった。

心配事の1つは解決したが、一番解決したいことがまだできていない。キミとの事だ。

キミはどうしているだろう。

私の顔を見なくて済んだことにホッとしているの?それとも私が臆病者だと呆れた?

どっちにせよ、私にとって悲しいのは変わらない。気まずい雰囲気が立ち込めるだけ…。

そもそも、どうして私は怒ったの?坂下さんの事だよね?

良平くんの彼女は私だし、彼女は良平くんと何かあったわけでもない。…坂下さんは悪くない…。でも…。

私は自分が悲しかったんだ…。

同じクラスで、恋人同士でも…私には知らない事が多すぎる。

でも坂下さんは違う。バスケ部のマネージャーで、1年の頃からのキミを知ってる。

そしてなにより…キミに告白された。

その後付き合ったのかどうかは分からないけど、告白という事実が、私を苦しめているのは確かだ。

私は寝返りをうつ。部屋の白い壁をぼんやり眺めた。

…キミに会いたい。

…でも、会えない。

窓の向こうから小鳥の鳴き声がする。

空は青く、澄みきっている。

…私は一人、キミを思って…泣く。キミは私を思ってくれているのかな?

…そんな事を考えていると、うとうととしてきた。

昨日の夜は、泣いては少し眠るの繰り返しで、きちんと寝ていない。

腫れぼったいまぶたが重い。そして、私は瞳を閉じた。

…携帯の着メロが鳴る。

…どれくらい寝てたろう…。

私は着メロの鳴り終わった携帯を見る。

…3時間は寝た…。携帯に起こされなければ多分もっと寝てただろう。

見てみると、メールが2通来ていた。一人は亜花莉。そのメールには、

『ノート、了解!それより、あんたち、2人そろって休むなんて、どうしたのよ。』

とあった。

…あんたたち2人?それは、私と誰?

私は目が覚め、急いで短くメールに返信した。

『休んだって、私と誰?』

そう打って、送信する。今は昼休みの時間だからすぐに返事が来るだろう。

そういえば、さっき来たメールで2通のうち1通は見ていなかった。

受信ボックスを見る。未登録のアドレスだ。

そのメールの件名には…

『良平。』とあった。

キミからだ。

本文には、

『今日休んだんだろ。でも、仮病だろ。俺、放課後に行くから。』

とあった。

何がなんだか分からないでいると、亜花莉から返事が来た。

『あんたらって言ったら、前野しかいないでしょ』

とあった。

…どういう事?

私はキミに、携帯の番号しか教えていない。

メルアドは今度教えてもらおう…と思っていたから…。

それなのに、キミからメールが来た。

放課後にウチに来るという。

…でも、キミは今日休んでいる…。ダメだ。話が繋がらない。

私は亜花莉に返信する事にした。

『本当に休み?あと、良平君に私のメルアド教えた?』

メールを送る。

もう一度受信ボックスを見る。

アドレスを見た。

『basuke.love@―…』

…良平君っぽい。

でも、単純すぎない?

私はとにかくそのアドレスにメールを送ってみることにした。

『本当に良平君?放課後にウチに来るの?でも、今日休んでいるんじゃない?』

…送信。

パタンと携帯を閉じてわたしは小さくため息をついた。

もし、あのメールが本当に良平君がくれたものだとして、本当に私の家に来るなら…なんて顔すれば良いの?

亜花莉からメールが来る。

『アド、教えてないよ。どうして?なんかあった?』

…ますます分からない。

でも亜花莉に心配をかけたくなかったので返事のメールは、

『ごめん。なんでもない。勘違いみたい。気にしないで』

と送信した。

キミはどうしたいんだう…私とキミとの事。

ベットの上で、膝を抱え込むように座る。

仲直りはしたい。でも、その方法が見当たらない…。

携帯が鳴る。

キミからだ。

『アドレスは真章から聞いた。学校は休んでる。…これから行っても良いか?』

…えっ…。えっと…。

どうしよう…。

ウチにはお母さんがいたはず…。休んでるのに彼氏が来たら変に思うかもしれないし…。

でも、それは表面的な理由だ。心の中では…キミに会いたがっている。

『そうか、分かった。家に来ても良いけどお母さんいるよ?私は会いたい。』

送信。…今の気持に素直になった。キミに、会いたい。

返事はスグに来た。

『じゃあ、理由をつけて、出てこれない?優梨が好きな秘密の場所に。』

秘密の場所…初デートの時にキミとタコ焼きを食べた、あの丘の上…。

『分かった。やってみる。行けそうならメールする。』

携帯を閉じる。そして、同時に私は決意した。

「あら、優梨!起きてきても大丈夫?」

私が下へ降りると、その姿をとらえた母親が、心配そうに尋ねてきた。

私はそんな母親になるべく元気そうに言う。

「大丈夫。それより…ちょっと出かけても良い?」

みるみるうちに、母親の表情は怪訝そうになる。

「どうして?どこに行くの?」

「薬局に…薬買いに行こうかなって…。」

すると母親は元の顔に戻り、

「あら、それなら私が買いに行くわよ。薬屋さん、遠いじゃない。学校休むような人が行く距離じゃないわよ。」

「…そうだね…。じゃあ、頼んでも良い?」

「モチロン。お昼ごはんをそろそろ作るから、食べ終ったら買いに行くわ。」

昼からか…。しょうがない。

「分かった。じゃあ、お昼は食べるから、出来たら教えて。」

「はいはい。部屋で寝てるのよ。」

「うん。」

…私は部屋に帰った。そして、キミに結果を報告。

『ゴメン、家からは出られなかった…でも、昼からお母さん居なくなるから、その時にウチに来て。』

キミはどう思うだろう…。

私は少し残念だった。

前から大好きな、あの丘の上で話をすれば…素直になれたかもしれない。謝れたかもしれない。

でも、そんなの言い訳。ドコだろうと、ようは気持の問題だよ。

私は、逃げてばかりいた。

でも、それがとても疲れることで、キミにも失礼だって分かったの。だからもう…逃げない。

…さっき、母親を説得しようと決心したときに、そう思った。

携帯が鳴る。キミから。

『分かった。なら、お母さんが居なくなる頃教えて。』

私はこう打った。

『うん。待ってる。』

って。

昼ごはんを食べて一段落した頃、お母さんは薬屋へ行った。

薬屋は私の家からかなり離れた所にあるので、往復すると平気で2時間はかかる。

それにお母さんは夕飯の買い出しにも行くと言っていたので、帰りはもっと遅くなるはずだ。

私はお母さんが居なくなるとすぐにメールを打った。

『今、お母さんが出かけたから、来ても大丈夫だよ。』

…なんか、お母さんに悪かったな…。

ズル休みをした上に、わざわざ遠くまで薬を買いに行かせてしまった。薬なんて要らないのに…。

でも、たまには嘘をつくのもしょうがないかもしれない。

私はずっと、良い子でいた。

今まで両親を心配させたり、困らせたりしたことがなかった。離れた高校へ行くこと以外は…。

そんなことをぼんやり考えていると、玄関のチャイムが鳴った。

キミだろうか…。でも、早すぎない?メールを送ったのは5分ちょっと前。

キミと私の家は、正反対の位置にあるはずなのに…。

違う人かもしれないと思いながらも、私は玄関へ向かった。

ガチャッとドアを開けた。キミが立っている。

キミは怒っているようにもしょげているようにも取れる顔をしていた。

「良平君…いらっしゃい…。」

「うん…。」

どこか気まずい雰囲気。

「とりあえず、あがって。」

この空気が耐えきれなくなり、私は笑顔で言った。

「うん。お邪魔します…。」

キミは私の家に入る。確か、今日が初めてだよね。

私の部屋へ案内して、私はベットの上、キミは床の座布団の上にそれぞれ座った。

少しの沈黙。

それを破ったのも、やはり私だった。

「今日、学校休んだんだね…。どうして?」

「…多分、優梨と同じ理由だよ。」

「そっか…。」

ダメだ…。会話にならない。

わたしはうつ向く。

話題を探す。いつも意識しないで話していたことが、今は凄いことの様に感じてしまう。

その時、キミの声がした。

「なぁ、俺が来た理由分かるよな?」

「えっ…。」

思い当たる事は沢山ある。

田辺くんの事、坂下さんの事…そしてケンカの事、仲直りの事…。

「分かる?」

「何となく…。」

「なぁ、なんで昨日、あんなに怒ったんだ?」

やっぱり…昨日の事だよね。

「真章と何かあったのか?2人で何してたんだよ。」

「だから、亜花莉との話を聞いたり、私は良平君との事を話したり…。」

「何で優梨があいつらの話を聞くんだ?どうして真章に俺たちの話をする?」

「どうして?お互いの相手の話をすることがそんなにいけないの?」

「なんで話す相手がそれぞれの相手じゃないんだよ?お互いの相手の事なら、本人ときちんと話すべきだろ。」

なんで?なんで今日のキミはこんなに頑固なの?

「相手に直接言えないこととか、グチとかってあるじゃない。それを言うのもダメ?」

「それならなおさらじゃないか。俺に言いたいことがあるなら、真章じゃなくて俺に言えよ。」

…そんな言い方しなくても良いじゃん。

「じゃあ、言わせてもらうけど、」

私は立ち上がり、キミの隣に勢い良く座って、キミを見た。

「良平君、坂下さんの言うことは信じられるのに、私の言うことは信じられないじゃない。」

「坂下さんって…麗さんか?なんで優梨がそんな事を気にするんだよ。」

「良平君、私が何も知らないと思ってるかもしれないけど…知ってるんだから!良平君が坂下さんに告白したことあるって!」

…言っちゃった…。これじゃあ、ヤキモチ妬いてるのバレバレじゃん。

「なんで…。」

「本人が言ったの。昨日…私に。私は普通の子で驚いたって。良平君は自分に告白したことあるって。」

「それは…。」

キミは何かを言いかけたけど、私は続けた。

「私が彼女って知ってるのに…私の前で良平って呼ぶんだよ。そりゃあ私は坂下さんより綺麗じゃないし、手の届かない様な女の子じゃないわよ。でも…良平君の彼女は私でしょ?なのに…良平君は私よりも坂下さんの方を信用してる。それが…すごく嫌。」

言ってしまった。見せてしまった。私の醜い…本心を。

「それ、言いたいこと全部?全部本当のことか?」

「…そう。」

急に恥ずかしくなった。キミから目をそらす。

「優梨…それだけを聞いてると…何というか…麗さんにヤキモチ妬いてるみたいに聞こえる…。後、勘違いしてる。」

「えっ…。」

勘違い?どの辺が?勘違いもなにも、全部坂下さん本人から聞いたこと。

そして…私が感じたこと。それのどこが違っているんだろう。

「あのな、麗さんには確かに告白したよ。でも…あれはゲームだったんだ。」

「ゲーム?」

「そう。俺、バスケ部の仲間とシュートのゲームしててさ…それで負けた奴は勝った奴の言うこと聞くんだ。」

「それで?負けたの?」

「うん…それで、罰ゲームとして、麗さんに告白することになって…」

「でも…ふったんでしょ?坂下さんは。」

「いや、あの人はOKしたんだよ。だから…俺、焦って…急いで謝ったんだ。」

「そうしたら?」

「あの人、態度が急に変わった。俺のこと、散々否定した。それで、部活とか用がないときは完全無視になった。」

「…でも…怒ってもしょうがないよ。ゲームで告白されたなんて、誰だって傷付く。」

「あぁ…だから俺もしょうがないなって思った。でも…」

キミは私を見た。

「優梨にそんな事言ったなんて、許せない。俺に怒ってるだけなら良いけど、それと優梨とは全く関係ない。」

「でも…良平君は坂下さんの事麗さんって呼んでるじゃん。」

「それは部の方針なんだ…それをいうなら後輩の女の子も俺のこと呼び捨てだぞ。」

「うん…。」

「…嫌?」

「…ちょっと。…でも…大丈夫。」

「…ごめん。でも…俺、何とも思ってないよ。」

「分かってる。」

「…それに…俺も優梨の事、怒れないや…。」

「えっ…?どういうこと?」

「優梨、麗さんにヤキモチ妬いてたろ。」

「…うん…。」

「俺もヤキモチ妬いてた。」

「えっ…。誰に?」

「真章。」

「どうして田辺くん?」

「俺、優梨が俺たちのことを俺とじゃなくて、真章と話してた事が…許せなかった。」

「…良平君…。」

そっか…私が嫌だった様に、キミも嫌だったんだね。

「俺、別に麗さんの方ばっかりを信じてる訳じゃないんだ。優梨が…男と居るって聞いて…カッとなって…ただそれだけ。」

キミは寂しそうな顔。大丈夫。嘘じゃないって分かるよ。

「つまりはさ、私たち、どっちもヤキモチ妬いてたって訳?」

「まぁ…つまりは。」

「…じゃあ…お互い様って事で…仲直りしよう。…私が一人で怒ってたんだけど…。」

「ううん…。俺のせいでもあるよ。ごめん。悪かった。これからは、優梨の事、もっと大切にする。」

「私も…良い彼女になれるように頑張る。」

「おうっ。んじゃさ、とりあえずケンカは終了ということで…。」

「はいはい。…これからもヨロシクね。」

「なに?改まって。俺もヨロシク。」

キミは優しく微笑む。あ、やっとキミの笑顔が見れた…。心が…あったかくなる。

「ふふふ。」

私は少し思いだし笑い。

「えっ?なに?何がおかしいの?」

「思いだし笑い。」

「…なんの?」

「だって、良平君のメルアド…『バスケラブ』なんだもん。」

「しょうがないだろ。他に思いつかなかったし…気づいたら周りにも定着したし…。」

「なんか、良平君らしいな。でも…単純すぎて、初めは本当に良平君か疑ってた。」

「なにそれ、ヒドッ。」

キミは大袈裟にショックな顔をしてみせる。

「でもね、」

私は少し笑ってキミを見る。

「私、好きだよ。良平君のそういうところ。」

「…そう?そんな風に言ったのって…優梨が初めてかも。」

「そうなの?」

「だって、他の皆はバカだなぁ〜ってしか言わねぇもん。やっぱり優梨は面白い。」

「…たまには面白い以外の誉め言葉が良いな…。」

「だから、面白い以外の誉め言葉はないの。最上級で類似表現は無し。」

「なにそれ…ヒドイ…。」

「んな事無いよ。もっと喜べって。」

「もう…。」

私はほっぺをふくらます。

そして、キミと笑いあう。

やっと戻ってきた…優しい時間。

やっと戻ってきた…優しい声。

心が…優しくなれる。キミのおかげ。

ありがとう。

大好きだよ。

その時、玄関の方からガチャッと音がした。ガサガサとビニール袋の音もする。

「良平君…お母さん帰ってきた…。」

「マジ?俺…帰った方が良いかな…。」

キミは少し慌てる。

「あっ…でも…。」

「何?」

私はあることに気づいた。

「クツって…玄関だよねぇ?」

「あ゛っ…。」

固まるキミ。その時、追い打ちをかけるように、部屋へ近づいてくる足音…。

「お母さんが来るよっ!」

「…適当にごまかして…。」

キミはすでに諦めモード。

すると、案の定お母さんが入ってきた。

「優梨、お友達来てたの?」

お母さんはかなり怪訝そうな目で、私とキミを交互に見る。

「あのね、お母さん、良平君は今日私が休んだから明日の事、教えに来てくれたの。」

…我ながらありそうな、無さそうなウソ。キビシイかも…。

「明日の連絡ねぇ…。それなら携帯でも出来るんじゃない?それに、今日は学校終るの早いわね。」

…最もです。他の言いわけが思い付かない。

すると、キミはお母さんへ正座して向かい、普段はあまりしない、真剣な顔で話だした。

「あの…。僕は、前野良平と言います。優梨さんと付き合ってます。」

え゛っ…?!

一同、唖然。お母さんも、予想していなかったせいか、目をパチクリさせている。

「実は、僕ら、昨日ケンカしてしまったんです。」

「ケンカ…?」

お母さんはなにがなんだか理解しきれていない表情。

「それで、2人共今日はズル休みしてしまったんです。その上、お母さんの目を盗んで2人で話し合おうと…。」

「ちょっと待って。」

キミの話を止めたのは、お母さんだった。

「どうして私に隠れて会おうとしてたの?」

「それは…お母さんが気を悪くするかも…と思って…。」

キミはたじろぐ。お母さんは続ける。

「確かに娘の彼氏なんてショックよ。でもね、隠れてコソコソ会われるのはもっとショックよ。」

「そうなの?」

私が驚いた。

「そうよ。それに、きちんと紹介してくれないと、私に会わせられないような彼氏じゃないかって、不安になるじゃない。」

…そっか…。言われてみればその通り。

「すいませんでした。改めて挨拶します。これからも、よろしくお願いします。」

そう言って、キミはふかぶかと頭を下げた。

するとお母さんが少し笑って、

「良平君…だっけ?良い人そうで嬉しいわ。優梨の事、こちらこそよろしくね。」

と言った。

「ありがとうございますっ!」

とキミが笑ってこっちを見る。私も微笑む。

「優梨のお母さんって…良い人だな。」

帰る間際にキミは私にこう言った。

「そう?お母さんも、良平君の事、気に入ってるみたいだったよ。」

「そう?なら良かった。んじゃ、ぼちぼち帰るかな…。明日は学校来るだろ?」

「うん…。良平君も行くよね?」

「おう。じゃ、また明日なっ!」

「うんっ!また明日っ!」

キミは軽やかに自転車をこいで帰っていく。

やっと戻ってきた…。キミに笑顔でまた明日と言える日が。

家に入ると、お母さんに言われた。

「良平君、良い人じゃない。良い彼氏見つけたわね。」

って。

切なくなったり、暖かくなれる。

前野良平。キミの名前。素直に笑いあえる、キミの名前。


前回から1ヶ月近く経っての投稿です。遅くなってすいません。

2人は、ようやく仲直りできました。亜花莉と真章も仲直りしました。私も嬉しいです。

次回は新展開を考えているので次も是非見てやって下さい。

メッセージや評価、本当にありがとうございます。励みにして執筆頑張ります!

それではまた13話でお会いしましょう!

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