↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

『風読みなど下女の技だ』と聖女様に婚約者を奪われましたが、王都の風は三日後に止まりますので、どうぞそのまま挙式をお続けくださいませ ~元気象予報士の転生令嬢、三千六百五十日分の帳面で静かに断罪いたしま

作者: uta
掲載日:2026/10/03

「セレスティア。粉まみれの女が王家に入るなど笑い種だ。風読みなど下女の技だろう。婚約は破棄する」


大聖堂の前庭、白い石畳の上でした。


第二王子アルヴィン殿下は、聖女ミレーヌ様の肩を抱いたまま、そう仰いました。


周囲には貴族の方々が三十人ほど。扇の陰でささやきが広がります。わたくしは抱えていた小麦粉の袋を抱え直し、前掛けの埃を払って、一礼いたしました。


「承知いたしました」


「……なんだと?」


殿下が眉を寄せます。おそらく、泣き縋られる予定だったのでしょう。台本と違う役者ほど困るものはありませんものね。


(前世でも同じでした。台風の進路を一時間早く報告したら、上司が「話が違う」と怒鳴った。風は、上司の予定に合わせて曲がってはくれないのですけれど)


わたくしは懐から二通の書状を取り出しました。


一通目、婚約解消同意書。署名済み。

二通目、〈王都風読み官〉辞任届。こちらも署名済み。日付は本日。


「では、風読み官の職も本日限りで返上いたします。引継ぎ書は神殿の書記局へ提出済みですわ」


「……準備、していたのか」


「いいえ。十年分の記録を取る人間は、常に最悪の予報も併記しておくものですので」


聖女ミレーヌ様が、銀糸の髪を揺らして微笑まれました。真珠色の瞳は本当にお綺麗で、悪意の欠片もないのが、いっそ恐ろしいほどでした。


「風は神がわたくしに囁いてくださいますもの。小屋にこもって雲を数えるなんて、時代遅れですわ」


「まあ。神様は、あなた様にどの高度の風の話をなさったのでしょう」


「……え?」


「地上と、上空五百歩では、風は別の生き物ですのよ。竜が飛ぶのは、上の風です」


ミレーヌ様の睫毛が、一度だけ震えました。


わたくしはそれ以上申しませんでした。悪意ではなく無知の目をしている方に、石を投げても仕方がありません。


代わりに、殿下へ向き直ります。


「――なお、三日後の『建国祭・空竜奉納飛行』ですが」


「まだ何かあるのか」


「風は、やみます」


前庭が、静かになりました。噴水の水音だけが響きます。


「明後日の未明から王都一帯の気圧の谷が抜け、上空の流れが死にます。地上も上空も、凪。三日間は続くとみております。空竜は揚力を得られません。奉納飛行は中止を進言いたします」


「馬鹿を言え。聖女様が『大空晴れ、風良し』と告げられたのだ」


「存じております。ですからこそ、進言しております」


「下女の勘など要らぬ」


勘。


十年です。毎朝四時。頬の湿り、羊毛の揺れ、雲の底の高さ、井戸水の匂い。三千六百五十日、一日も欠かさず記した帳面が、壁一面に積んであります。


それを、勘。


(――残業代も、出ない職場でしたし)


わたくしは微笑みました。怒鳴りません。怒鳴ったら、記録が汚れますので。


「では、記録を取らせていただきます」


「何を、だ」


「本日、この場で、わたくしが凪を予報し、殿下がそれを却下なさったこと。日時、場所、立会人の数。すべて」


わたくしは帳面を開き、羽根ペンを走らせました。


第三千六百四十七日。晴。南南西の微風、じきに死ぬ。

大聖堂前庭にて婚約破棄。王子殿下、凪予報を却下。


「……何を書いている」


「事実ですわ」


ペンを閉じ、わたくしはもう一度だけ頭を下げました。


「三日後の挙式のご予定も伺っております。どうぞ、そのままお続けくださいませ。――風は、嘘をつきませんので」


そして、粉袋を抱え直して踵を返しました。


背中で、扇のささやきが渦を巻いています。


南南西の風が、わたくしの襟足をかすめて、ふつりと途切れました。


――ああ。


思ったより、早いかもしれませんわね。



◆◆◆



辺境ミラウィンド領まで、馬車で六日かかりました。


王都の馬車は使わせていただけませんでしたので、隊商の荷台の隅に乗せていただいたのです。麦袋の上で揺られながら、わたくしはずっと空を見ておりました。


巻雲。高いところの筋雲が、南へ流れていきます。


(やはり、上の流れが弱っている)


手帳に書きつけます。指先が粉で白いのは、もう十年、当たり前のことでした。


前世のわたくしは、灰色のオフィスで同じことをしておりました。民間気象会社の予報士。年間三百十二日出勤。深夜の豪雨特別警報の夜、三十八時間ぶりに社を出て、駅の階段で膝から崩れて、そのまま。


最後に思ったのは「明日の朝の便、誰が出すんだろう」でした。


我ながら、救いのない人生でしたわ。


――けれど。


目を覚ましたら、風車小屋の天井が見えたのです。


粉挽きの伯爵家。地味な家。地味なスキル。ステータス画面には《風読み Lv.1》とだけ。冒険者ギルドの鑑定では「生活スキル」に分類され、戦闘職の方々からは鼻で笑われる技能。


でもわたくしには、前世の十年がありました。


気圧。前線。雲形。湿度。


この世界の誰も知らない言葉を、わたくしはスキルに接ぎ木しました。


《風読み》は、祈りの技ではありません。観測の技です。


九年で、Lv.9になりました。



丘を登りきると、風車小屋が見えました。


白い羽根が四枚、夕日の中でゆっくり回っています。ヒュウ、ヒュウ、と規則正しい音。順風です。


「……ただいま帰りました」


誰もいない小屋に、そう言いました。


扉を開けると、粉の匂い。木と石臼と、乾いた麦の匂い。壁一面の棚には、革表紙の帳面が並んでいます。角が丸く擦り切れた、十年分。


途端に、膝が笑いました。


わたくしは前掛けを解いて、椅子に座り込みました。声は出しません。出したら、たぶん止まらなくなりますので。


その時、扉が叩かれました。


「嬢ちゃん、開けるよ!」


返事を待たずに入ってきたのは、ハンナさんでした。村で三十年パンを焼いている女性です。丸太のような腕に、湯気の立つ布包みを抱えて。


「……ハンナさん。わたくし、まだ帰ってきたと誰にも」


「風車の音が変わりゃ分かるさ。羽根の重さが違うんだよ、あんたが調整すると」


どん、と卓にパンが三つ置かれました。焼きたて。表面が割れて、湯気が上がっています。


「事情は訊かないよ」


「……ありがとうございます」


「熱いから、落とすんじゃないよ」


ハンナさんはそれだけ言って、ずんずんと出ていきました。


扉の前で、一度だけ立ち止まって、背中越しに。


「嬢ちゃん。粉が足りなくなったら言いな」


「……はい?」


「あたしは二十年、あんたの挽いた粉でしか、パンを焼いてないんだよ」


扉が閉まりました。


風車が、ヒュウ、と鳴りました。


わたくしはパンを割りました。熱くて、指先が少し焼けました。


白い湯気が立ちのぼって、目の前が滲みました。


――粉まみれの女が王家に入るなど笑い種だ。


笑い種で、結構ですわ。


わたくしの粉で、この村は二十年、パンを食べてきたのです。


それ以上に、何が要るというのでしょう。


口の中いっぱいに、麦の味が広がりました。


(――明日も、四時ですわね)


わたくしは帳面を開いて、三千六百五十三日目の欄に、今日の空を書きつけました。



◆◆◆



「嬢ちゃん。おまえは何ができる?」


翌週、風車小屋の戸口を塞いでいたのは、二メートル近い巨躯の男でした。


岩を削ったような顔。左肩が不自然に落ちています。背には飛行外套の留め具が、片方だけ。


冒険者ギルド辺境支部長、ガルド・レイン。元・王国空竜騎士団長。


十年前の空戦で飛竜と左肩の可動を失い、空から降りた男――村の子どもたちには「喋らない熊」と呼ばれています。


「王都から令嬢が戻ったと聞いてな。噂じゃ、風を読むそうだが」


わたくしは石臼の手を止め、前掛けで指を拭きました。


「読めます」


「証明しろとは言わん。言ってみろ。何が読める」


即答を求められたのは、久しぶりでした。王都では、まず「聖女様のお告げと矛盾しませんか」と訊かれましたので。


わたくしは窓の外を一瞥しました。北の空、雲の底が低い。羊毛を吊るした糸が、わずかに西へ傾いています。


「明日の正午。北北東から突風が三度。間隔はおよそ半刻。最大で、荷馬車の幌が持っていかれる程度です」


「……根拠は」


「昨夜から気温が落ちすぎています。北の山越えの流れが落ちてくる型です。この型のときは、過去十年で四十一回中、三十八回突風が出ました」


「四十一回、数えたのか」


「数えました」


ガルド様は、しばらく黙っておられました。


それから、低く。


「第七街道の隊商が、明日の朝に出る」


「止めてください。半日でよろしいです」


「外れたら、隊商の損失は金貨二十枚だ。誰が被る」


「わたくしが被ります。この小屋と、帳面以外に持ち物がございませんので、小屋を差し押さえてくださいませ」


巨躯が、わずかに揺れました。


「……ならやってみろ」


それだけ言って、彼は出ていきました。



翌日、正午。


第七街道の谷筋を、北北東からの突風が三度、通り抜けました。


二度目の突風で、道端の枯木が一本倒れ、街道を塞ぎました。荷馬車が通っていれば、先頭の二台は谷へ落ちていたでしょう。


隊商は、無傷でした。


翌朝、ギルドの掲示板に一枚の紙が貼られました。


〈風読み依頼、受付開始。指名:セレスティア・ミラウィンド〉


貼ったご本人は、何も仰いません。


ただ、わたくしが徹夜で観測した朝、小屋の前にスープの鍋が置かれておりました。まだ温かいまま、布をかぶせて。


「……あの方、意外と、」


わたくしが呟くと、後ろから小さな声がしました。


「支部長、泣き虫だよ」


振り向くと、痩せた栗毛の少年が立っていました。膝に擦り傷。裸足。


納屋に住み着いている孤児の子です。名をノアといいました。


「この前、村の子がパン分けてるの見て、鼻すすってた。『埃が入った』って言ってたけど、埃、なかった」


「……まあ」


わたくしは笑ってしまいました。久しぶりに、声を出して。


ノアは、居心地悪そうに足の指を動かしています。


「あのさ、姉ちゃん。……先生」


「どちらでも構いませんわ」


「今日さ、羽根の音、変」


わたくしの手が、止まりました。


「――変、とは」


「いつもは『ヒュウ』なんだ。逆風だと『ビィン』。でも今日は……なんか、間があく。ヒュウ、って鳴って、そのあと、しばらく何もない」


「……」


「変なこと言った? ごめん」


「いいえ」


わたくしは膝を折って、彼と目の高さを合わせました。


「ノア。それは、凪の前触れですわ」


「なぎ?」


「風が、死ぬことです。――あなたは既に、読んでいます」


ノアの目が、ゆっくり丸くなりました。


「おれ、鑑定で『無』って出たんだよ。スキルなし。才能ない子だって、みんな言う」


「では、その鑑定書を持ってらっしゃい」


「……燃やしていい?」


「燃やさなくて結構です。壁に貼っておきましょう」


「なんで?」


「一年後に、笑うためですわ」


わたくしは帳面を一冊、彼の手に押しつけました。表紙の角が擦り切れた、使い古しの一冊です。


「明日から、あなたは弟子です。三つ、課題を出します」


「三つ!?」


「第一、羽根の音を聴きなさい。第二、雲の底を数えなさい。――そして第三」


わたくしは、羽根ペンを差し出しました。折れて短くなった、わたくしのお下がりです。


「毎日書きなさい。神は囁きません。風は、記録にだけ答えます」


ノアは羽根ペンを両手で受け取って、それから小さな声で言いました。


「……おれ、字、書けない」


「では、字から始めましょう」


「明日の四時ですか」


「ええ。寝坊は許しませんわ」



◆◆◆



毎朝四時。


丘の上は、まだ紺色です。


わたくしは羊毛の房を指に挟んで持ち上げ、頬の湿りを測ります。ノアは隣で、必死に空を睨んでいます。


「先生、今日の雲、昨日より低いです! ……たぶん!」


「たぶんは、記録になりませんわ」


「うっ」


「では訊き方を変えましょう。何を見て、低いと思ったのです」


ノアはしばらく唸ってから、向かいの丘を指さしました。


「あそこの、いちばん高い木。昨日は雲が木のずっと上にあった。今日は、木のすぐ上。……えっと、六百歩ぶんくらい、低いです」


「よろしい」


わたくしは帳面を開きました。


「六百歩。それが数字です。『たぶん』は明日には忘れますが、六百歩は一年後も残ります」


「残ると、どうなるの」


「同じ六百歩の朝が、来年もきます。そのとき、去年の帳面を開けば、何が起きたか分かるのです」


ノアは、口を半分開けたまま、帳面を見つめました。


「……それ、未来が分かるってこと?」


「いいえ。過去が分かるということです。未来は、過去の量でしか測れませんの」


彼は歪んだ字で「六百ほ」と書きました。字は震えていて、粉の指紋が三つついていました。


それでよいのです。


最初の三十ページは、誰でも汚いのですから。



日中は、粉を挽きます。


石臼は重く、腕が悲鳴を上げます。ですが、この音が好きでした。ゴロ、ゴロ、と低く回る音。粉が落ちていく、さらさらという音。


昼、ハンナさんのところへ粉を運ぶと、焼きたてのパンをいただけます。


「嬢ちゃん、この粉、前より細かいね」


「臼の隙間を、爪の半分だけ詰めました」


「道理で生地がよく伸びる。……で、いつ寝てるんだい」


「よく寝ておりますわ」


「嘘つきな。目の下が竜の翼みたいになってるよ」


ハンナさんは手の甲で粉を払って、わたくしの頭に無理やりパンを押しつけました。


「前世」の言葉は誰にも言っておりません。


ですが、この村の人たちは、誰も「聖女様のお告げと矛盾しませんか」とは訊きません。


「セレスティア嬢ちゃんが、今日は生地を早く寝かせろって言った日は、必ずそうなる」


それだけで、二十年、回ってきたのです。


理屈は要らない。ただ、当たる。


――王都には、その二十年が一日もありませんでした。



依頼は、増えていきました。


隊商の出発日。港の小舟の出漁。屋根の葺き替え。魔物の大移動の風向き――魔物は風上から獲物の匂いを取りますので、風が変われば移動経路も変わるのです。


ガルド様は、依頼書をまとめて持ってきて、それから黙って椅子に座られます。


巨体を折り曲げて、子ども用の小さな椅子に。


「……あの、そちらの大きな椅子をお使いになっては」


「これでいい」


「膝が顎についておりますが」


「……」


ガルド様は、ノアが淹れた薄いお茶を、小皿ほどのカップで飲まれます。指二本でつまむように。


「飯は食ったか」


「いただきました」


「帳面は増えたか」


「三千六百七十二冊目……いえ、三千六百七十二日目に入りました」


「……そうか」


それだけ。


それだけの会話が、なぜか、王都の夜会の三時間より長く感じられるのです。



建国祭の、四日前でした。


わたくしは丘に立ち、頬を上げて、動きませんでした。


ノアが横から覗き込みます。


「先生?」


「……羽根の音を」


「え」


「聴きなさい」


ノアが耳を澄まします。


風車が、一度、ヒュウと鳴りました。


それきり――何も、鳴りませんでした。


「先生。音が……ない」


「ええ」


わたくしは羊毛を掲げました。垂れたまま、動きません。


雲の底が、異様に高い。空が薄い膜を張ったように白い。地面の熱が逃げない。


十年で、三回だけ見た型でした。三回とも、三日間、風が死にました。


「……ガルド様を」


「え」


「ガルド様をお呼びして。急ぎで」


半刻後、巨躯が丘を駆け上がってきました。


「何が起きる」


「凪です。明後日の未明から、三日間。王都上空も同じ型です」


ガルド様の顔から、表情が消えました。元・空竜騎士団長の顔でした。


「建国祭の奉納飛行は、明後日の正午だ」


「存じております」


「竜が凪で落ちるとどうなるか、知っているか」


「揚力を失って、旋回もできずに落ちます。観客席は、大聖堂前庭の南側でしたわね」


「……落下予測地点だ」


二人とも、しばらく黙りました。


わたくしは帳面を閉じて、言いました。


「ギルドから、王都宛に正式な予報書を発信していただけますか」


「お前は、王都に恨みがあるはずだろう」


「ございます」


「なら――」


「ですが」


わたくしは彼を見上げました。


「予報が外れれば、人が死にます。出せる予報を出さないのは、外すのと同じです」


前世の、最後の夜に思ったことでした。


明日の朝の便、誰が出すんだろう。


ガルド様は、しばらくわたくしを見下ろして、それから深く息を吐きました。


「……お前は、空にいた奴らに似てるな」


「そうでしょうか」


「落ちるのが分かってても、無線だけは繋いだまま落ちる奴らだ」


彼は踵を返しました。


「ギルド正式文書で出す。受理印を取れ、と念を押しておく。――受け取った人間の名前が残るようにな」


その意味に、わたくしはその時、気づきませんでした。


後から思えば、あの方は、最初から全部分かっておられたのでしょう。



二日後の未明。


風車は、一度も鳴りませんでした。


ノアが、帳面を抱えて震えていました。


「先生。おれ、これ書いたよ。……『無音』って」


「よく書けました」


その朝、彼のステータス欄に、小さな光が灯りました。


《風読み Lv.1》


「……え」


ノアが自分の手を見ます。震えています。


「おれ、『無』って……」


「ええ。『無』でしたわ」


わたくしは膝を折りました。


「ですが、四十七日、一日も欠かさず書きましたわね」


「……うん」


「スキルは、才能ではありません。積み重ねで、生えるのです」


壁には、丸めて貼っておいた鑑定書がありました。


〈スキル:無〉


わたくしは羽根ペンを取り、その下に一行書き足しました。


〈四十七日目、更新。Lv.1〉


「先生、おれ、笑っていい?」


「どうぞ、笑ってくださいませ」


ノアは泣きながら笑いました。


その頃、王都では、六十頭の空竜が翼を広げていました。


風は、一度も吹きませんでした。



◆◆◆



建国祭、正午。


大聖堂前庭。数千の観衆。金糸の垂れ幕。祝福の鐘。


聖女ミレーヌ・アスタリアが、白衣の袖を広げて高らかに告げました。


「――大空晴れ、風良し。神は、この日を祝福されます」


歓声。


六十頭の空竜が、一斉に翼を打ちました。


上がりました。三十歩、五十歩、百歩。


――そこで、止まりました。


風が、ありませんでした。


竜の翼は帆と同じです。自ら風を生むのではなく、流れる風を掴んで揚がる。掴む風がなければ、あとはただの重い肉の塊でした。


先頭の一頭が、傾きました。


悲鳴が上がったのは、それが観客席の真上だったからです。


南側、貴賓席。第二王子アルヴィンの座る席の、ちょうど上。


「落ち――」


誰かが叫びました。


次の瞬間、垂れ幕の支柱を蹴って跳んだ影がありました。


巨躯。左肩の落ちた男。


辺境から二日、馬を三頭潰して駆けつけたガルド・レインが、片腕で竜の首帯を掴み、全体重で引き倒したのです。


竜は観客席を二歩ぶんだけ逸れて、噴水に突っ込みました。


水柱。悲鳴。そして、静寂。


ガルドは水浸しのまま立ち上がり、貴賓席を見上げました。


第二王子は、腰を抜かして座ったままでした。


「……お前、は」


「辺境支部長、ガルド・レインだ」


ガルドは、水を滴らせながら、低く言いました。


「三日前、王都宛にギルド正式文書を出した。〈凪予報〉だ。受理印を押したのは、あんただったな」


王子の喉が鳴りました。


「……知らぬ」


「署名が残ってる」


それ以上、ガルドは何も言いませんでした。


無言のまま、竜を噴水から引き上げに戻っただけです。



凪は、三日続きました。


一日目。


王都の風車が、全て止まりました。


王都近郊の製粉風車は百四十基。すべてが、羽根を垂らしたまま動きません。製粉が止まりました。


王都の小麦粉の一日消費は、四千二百袋。


備蓄は、二日分でした。


二日目。


パン屋の前に列ができました。昼には、粉が尽きました。


三日目。


王都から、パンが消えました。


宮廷の朝食に、パンが出ませんでした。王妃が「どういうことです」と訊き、給仕が青ざめて答えました。「……ございません」と。


代わりに、粥が出ました。


その粥も、翌日には薄まりました。



そして四日目。凪が明けました。


――逆風で。


南から吹いていた風が、北へ反転したのです。


海路で王都に穀物を運ぶ船団、六十隻。


帆船は逆風では港に入れません。沖で錨を下ろし、ただ待つほかありませんでした。


王都の備蓄は、ゼロでした。


貴族街の門前で、平民の列が石を投げ始めた日。


王宮の大広間に、聖女ミレーヌが呼び出されました。


「ミレーヌ殿。神託はどうなっている」


国王の声は、静かでした。静かな分だけ、恐ろしかったでしょう。


「風は、いつ戻る」


「……」


「答えよ」


白衣の少女は、震える手で革装の書物を抱えていました。


「……あの」


「なんだ」


「……だって」


彼女は、ぽろりと言いました。


「だって……去年の暦に、そう書いてあったんですもの……」


大広間が、凍りました。


「……今、なんと申した」


「神託書です。十四で聖女に選ばれた日に、前の聖女様から頂いて……この日にはこう、この日にはこう、と書いてあって……読み上げれば、当たったんです。ずっと、当たったんです」


「それは、神の声ではないのか」


「そう、教わりました」


少女は、真珠色の瞳から涙をこぼしました。


「誰も、開けて確かめたことがなかったんです。……わたくしも」


第二王子アルヴィンが、壁際で立ち尽くしていました。


唇が、何かを言おうとして、言えませんでした。



同じ頃。


辺境ミラウィンド領の村では、パンが焼けていました。


いつも通りに。


三日前に「備蓄を回せ」という指示が出ていたからです。


ハンナさんが、釜から次々にパンを出しています。子どもたちが並んで、熱いのを両手で受け取ります。


「熱いから、落とすんじゃないよ!」


丘の上で、わたくしは帳面を開いていました。


三千六百五十九日目。凪、三日。明けは逆風。


羊毛が、北へ傾いています。


「先生、王都、大変らしいよ」


ノアが息を切らせて駆け上がってきました。


「パンがないんだって。王様も食べてないって」


「そうですか」


「……怒らないの?」


わたくしはペンを止めました。


少し考えて、正直に申しました。


「怒っておりますわ。とても」


「えっ」


「ですが、怒りは記録になりませんの」


わたくしは帳面を閉じました。表紙の角が、また少し丸くなっていました。


「記録は、なります」



◆◆◆



王家からの召喚状が届いたのは、逆風の二日目でした。


〈セレスティア・ミラウィンド伯爵令嬢を、王宮へ召喚する〉


わたくしは封を開け、読み、そして石臼の横に置きました。


「……行かないのか」


ガルド様が戸口で腕を組んでいます。


「参りませんわ」


「理由を訊いていいか」


「明日の正午に、北西から突風が来ます。港の小舟が十二隻出る予定ですので、止めなければなりません」


「それだけか」


「それが仕事ですので」


わたくしは臼を回しました。ゴロ、ゴロ、と低い音。


「それに――わたくしが王宮へ行って何を申しましても、『粉まみれの女の言い分』にしかなりません。感情で語れば、感情の話にされます」


「じゃあどうする」


「書類を、送ります」


わたくしは棚を指さしました。


壁一面の、革表紙の帳面。三千六百五十日分。


「ギルド正式文書として、〈辺境風読み台帳〉の写しを提出してくださいませ。わたくしの私文書ではなく、ギルドの公文書として。――そうすれば、それは『言い分』ではなく『記録』になります」


ガルド様は、しばらく棚を見上げていました。


それから、鼻をすすりました。


「……埃が入った」


「はい」


「入ったんだ」


「はい」



王宮、大広間。


国王、王妃、王太子、宰相、神殿長、諸侯。


中央に、第二王子アルヴィンと、白衣を脱いだミレーヌ・アスタリア。


そして、書見台の前に立つ、銀縁の片眼鏡の男。


王宮書記官第三席、エルドレッド・ファーン。三十四歳。王宮内で「歩く規定集」と呼ばれ、嫌われている男です。


彼は十年間、たった一人だけ、違和感を抱えていました。


聖女の神託の日付と数値が、あまりにも綺麗に揃いすぎている、と。


三度、上奏しました。三度、握り潰されました。「聖女様を疑うのか」と。


彼は諦め、代わりに黙々と記録を取り続けました。


今朝、辺境ギルドからの正式文書を受け取ったとき、彼は震える手で封を切り、そして――十年ぶりに、笑いました。


「恐れながら。規定によりますと、事実の照合は書記官職の責務にございます」


抑揚のない声が、大広間に響きます。


「三点、読み上げます」


紙が、めくられました。


「証拠一。聖女ミレーヌ・アスタリア殿が過去四年間に発された神託、三十七件。これと、神殿書庫に所蔵される〈風暦第六版〉――六十年前に編纂された、過去二十年の風向平均値を記した実務台帳。両者を照合いたしました」


間。


「――三十七件すべて、一字一句、同一でございます」


大広間が、ざわめきました。


ミレーヌが、俯いたまま肩を震わせました。


「なお、〈風暦第六版〉の序文にはこうございます。『これは記録であり、予言にあらず。用いる者は必ず当年の観測と照合せよ』」


片眼鏡が、光りました。


「照合の記録は、六十年間、一件も存在いたしません」


「……エルドレッド」


国王が、低く呼びました。


「続けよ」


「証拠二」


次の紙。


「辺境冒険者ギルドより提出された〈辺境風読み台帳〉。記録者、セレスティア・ミラウィンド。期間、十年。記載日数、三千六百五十日」


彼は数字を読み上げました。


「予報件数、三千六百五十件。的中件数、三千四百三十一件。的中率――九割四分」


諸侯の一人が、思わず声を上げました。


「九割四分だと? 神託より高いではないか!」


「はい。ちなみに聖女殿の神託の的中率は、同期間で六割二分でございます。平年値の写しでございますので、平年並みの年にのみ当たります」


ミレーヌの膝が、崩れました。


「……六割……」


「証拠三」


三枚目の紙が、めくられました。


エルドレッドは、そこで初めて、顔を上げました。


「四日前。建国祭の三日前でございます。辺境冒険者ギルドより、王都宛に〈凪予報〉がギルド正式文書として発信されております。内容は――『建国祭当日より三日間、王都上空および地上ともに風速ゼロ。空竜奉納飛行の中止を進言する』」


「そんな文書は届いておらん!」


宰相が叫びました。


「届いております」


エルドレッドは、淡々と紙を掲げました。


「受理印がございます。王宮受付第二門、日付は建国祭三日前、朝の刻。――受領者、第二王子アルヴィン・ヴァルドネア殿下。ご本人の署名入りでございます」


全員の視線が、一人の青年に集まりました。


アルヴィンは、白い顔で、口を開きました。


「……あれは」


「はい」


「……あれは、下女の……」


言葉が、そこで止まりました。


止まったまま、続きが出てきませんでした。


誰も、助け舟を出しませんでした。


エルドレッドは、片眼鏡を押し上げました。


「――以上、すべて既存の文書でございます」


彼は、書見台に手を置いて、最後に言いました。


「新たに調べたものは、一件もございません」


大広間が、静まりました。


誰も、一度も、検算しなかったのです。


十年間、一度も。


書庫にあった。受付に届いていた。帳面は壁一面にあった。


ただ、誰も、開かなかった。


国王が、額に手を当てました。


「……アルヴィン」


「父上」


「なぜ読まなかった」


王子は、震える唇で答えました。


「……兄上に比べて、私は何も成せぬと、父上に言われ続けました。だから……聖女を得れば、神が私に味方すると……粉まみれの女より、神の方が、華やかで……」


「華やか」


国王は、繰り返しました。


「――華やかさでは、パンは焼けぬ」



処分が下されました。


アルヴィン・ヴァルドネアは王籍を離れ、辺境ミラウィンド領の穀倉監査官に降格。


毎日、穀物の袋を数え、帳面に記す仕事です。


ミレーヌ・アスタリアは、聖女位を返上。神殿を退きました。


誰も、セレスティア・ミラウィンドを罵らなくなりました。


――罵る材料が、一つもなくなったからです。



その報告を、わたくしは丘の上で受け取りました。


ガルド様が、王都から戻って、書状を差し出しました。


わたくしは読み、畳み、帳面に挟みました。


「……何も言わないのか」


「申し上げることがございませんので」


「一言くらい、あるだろう」


わたくしは羊毛を掲げました。北西、風速は三。明日は、穏やかです。


「――では、一言だけ」


わたくしは、遠い王都の方角を見ました。


「下女の技で、王都は十年、パンを食べておりました」


それだけ言って、帳面を開きました。


三千六百六十二日目の欄に、今日の空を書きつけます。


風は、いつも通り吹いていました。


嘘を、つかずに。



後日、王都の記者が村を訪ねてきたそうです。


ハンナさんは、粉だらけの手を前掛けで拭いて、こう答えたと聞きました。


「ざまぁみろ、とは言わないよ。あたしらはただ、いつも通り食ってただけさ。それが一番腹の立つことだろうけどね」



◆◆◆



粉塵の舞う戸口に、その人は立っていました。


白衣ではありませんでした。灰色の旅装。銀糸の髪を、不器用に一つに結んで。


靴は泥だらけで、辺境まで歩いてきたのだと分かりました。


「……ミレーヌ様」


「もう、様ではありません」


彼女は深く、深く頭を下げました。額が膝につくほどに。


「セレスティア様。わたくしは、あなたの婚約者を奪い、あなたを嘲り、そして――中身を一度も確かめずに、十年間、神の声を騙っておりました」


石臼の音だけが、ゴロ、ゴロ、と響いています。


「王都から、三日かけて歩いて参りました。馬車代がございませんでしたので」


「聖女位の返上で、財産も」


「はい。すべて神殿に返しました。……持っているのは、これだけです」


彼女が差し出したのは、革装の書物でした。


〈風暦第六版〉。


六十年前の、平年値の台帳。


「燃やそうと思いました。でも、できませんでした」


「なぜです」


「……これを書いた人は、たぶん、嘘をつくつもりがなかったからです」


彼女は顔を上げました。真珠色の瞳が、赤く腫れていました。


「序文に書いてありました。『これは記録であり、予言にあらず。用いる者は必ず当年の観測と照合せよ』と。……わたくしは、序文を読んでいませんでした。十年、一度も」


わたくしは臼の手を止めました。


「――それは、この本の罪ではありませんわね」


「はい」


「そして、この本を書いた方は、六十年前、きっと毎日空を見上げて数字を取ったのでしょう」


「……はい」


ミレーヌは、書物を胸に抱きました。


そして、震える声で言いました。


「……教えて、いただけませんか」


「何を、です」


「風の、読み方を」


沈黙。


粉が、光の筋の中を舞っています。


ノアが柱の陰から顔を出して、こちらを見ていました。


「わたくしには、才能がありません。スキルは《神託》です。もう何も囁いてくれません。……当然ですけれど、最初から誰も囁いていなかったのですから」


「ミレーヌ」


「はい」


「才能とは、なんですの」


彼女が、顔を上げました。


「そこの少年は、鑑定で『無』と出ました」


わたくしは、柱の陰を指さしました。ノアが慌てて引っ込み、また顔を出します。


「四十七日書きました。今はLv.2です」


「……え」


「スキルは、才能ではありません。積み重ねで、生えるのです」


わたくしは棚から、新しい帳面を一冊取りました。まだ角の擦り切れていない、白い一冊。


そこに、羽根ペンを添えて、差し出しました。


「……いいのですか」


「一つだけ、条件がございます」


「なんでも」


「書いたものは、必ず、翌年に検算なさい」


ミレーヌの目から、涙がこぼれました。


彼女は両手で帳面を受け取り、胸に押し当てて、何度も頷きました。


「では」


わたくしは前掛けを結び直しました。


「明日の四時に。寝坊は許しませんわ」


「よ、四時、ですか」


「風は、こちらの都合を待ちません」


「……承知いたしました」



三日後。


穀倉の前で、痩せた青年が袋を数えていました。


粗末な作業着。日に焼けた首。手には帳面。


「……四百十二、四百十三」


通りかかったわたくしに気づいて、彼は動きを止めました。


かつての第二王子、アルヴィン・ヴァルドネア。今は辺境の穀倉監査官。


長い沈黙のあと、彼は言いました。


「……セレスティア。すまなかった、とは言わない」


「はい」


「言葉では、何も戻らないからだ」


彼は帳面を握りしめました。


「私は、数える。毎日、この袋を数えて、記す。……十年だ。十年数えたら、もう一度、お前に会いに行っていいか」


わたくしは、少し考えました。


それから、頷きました。


「――検算をお忘れなく」


「……ああ」


彼は、袋に向き直りました。


「四百十四、四百十五――」


その声は、もう誰の視線も確かめていませんでした。



◆◆◆



一年後。


ヴァルドネア王国に、〈風読み官学舎〉が設立されました。


校舎は、あの古い風車小屋です。


王都に新しい校舎を建てる案もございましたが、わたくしが断りました。理由は単純で、丘の上でないと風が読めないからです。


生徒は、十四人。


最年少は、ノア。十二歳。《風読み Lv.4》。壁には「スキル:無」と書かれた鑑定書が、いまだに貼ってあります。その下には、更新履歴が十四行。


最年長は、ミレーヌ・アスタリア。十九歳。銀髪を無造作に結い、袖を捲り、羊毛を風にかざしながら。


「……今日は、南南西ですわね。風速は二から三。雲の底は、向かいの丘の木より、およそ四百歩上」


「たぶん、じゃなくて言えてる」


「ノア。先輩に向かってその口の利き方は」


「先生が『記録に先輩後輩はない』って」


「……それは、そうですけれど」


王宮では、書記官エルドレッド・ファーンの発案で〈王国気象記録局〉が設立されました。


辺境の学舎と正式な連携協定が結ばれ、毎月、観測記録が往復します。


彼とは一度も会ったことがございません。ですが、送られてくる書状の余白の寸法が毎回ぴったり同じなので、どういう方かは、よく分かります。



その日、王都から記者が訪ねてきました。


丘の下で薪を割っていたガルド様に、記者は尋ねました。


「支部長。一つ、どうしても伺いたいことが」


「言え」


「王家は三度、セレスティア様を王都へ召喚しました。三度とも、辺境ギルドが辞退の書状を出している。なぜです? なぜ、彼女を王都に戻さなかったのですか」


ガルドは、斧を切り株に立てました。


岩のような顔が、少しだけ緩みました。


「風は、囲いの中じゃ読めねえんだよ」


「……は?」


「王宮の壁の中でな、いくら耳を澄ませても、風は鳴らん。鳴るのは、丘の上だけだ」


それきり、彼は何も言いませんでした。


記者が帰ったあと、ガルド様は小屋の前に、鍋を置いていかれました。まだ温かいまま、布をかぶせて。


中身は、いつものスープでした。


「……あの、ガルド様」


「なんだ」


「そろそろ、中でお召し上がりになっては」


「……」


「椅子は、大きいものをご用意しましたので」


巨躯が、わずかに揺れました。


「……飯は食ったか」


「これから、いただきます」


「帳面は増えたか」


「あと一日で、三千六百五十一日目です」


「……そうか」


彼は小屋に入って、新しい大きな椅子に座り、なぜか居心地悪そうに、また膝を縮めました。



丘の上。


夕暮れです。


わたくしの頬を、南南西の風がかすめました。湿りは薄く、温かい。明日は晴れ。明後日、雨。


前世のわたくしは、灰色の部屋で死にました。


年間三百十二日出勤、誰にも読まれない予報を書き続けて、階段で倒れて、それきりでした。


最後に思ったのは、「明日の朝の便、誰が出すんだろう」。


あの夜、わたくしは、自分の十年に何の意味があったのか分かりませんでした。


――今は、分かります。


意味は、後から生えるのです。


積み重ねた日数の、ちょうど上に。


「先生!」


丘の下から、栗毛が跳ねながら駆け上がってきます。折れた羽根ペンを振り回して。


「先生! 羽根が鳴りました!」


「ええ」


風車が、ヒュウ、と鳴りました。


順風です。


「聞こえていますわ」


わたくしは帳面を開きました。


表紙の角は、丸く擦り切れています。


羽根ペンを取り、インクをつけて。


――三千六百五十一日目を、書き始めました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。