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第6話「初めての嘘」
第6話「初めての嘘(完全版)」
報告書の紙が、やけに白く見えた。
ペン先を走らせながら、レイはわずかに眉をひそめる。
――異常なし。
書いた瞬間、それが嘘だと自覚する。
本当は、あの夜にリナと会っていた。
敵と接触したなど、報告すべき内容だ。
それでも、手は止まらなかった。
書き直そうとすればできる。
だが、その一行を消すことができない。
守りたいものが、できてしまったからだ。
報告書を閉じたとき、胸の奥に小さな痛みが残る。
同時に、奇妙な確信もあった。
きっとリナも、同じように嘘をついている。
そう思うことで、自分の選択を正当化していた。
その嘘が、どこへ繋がるのかも知らずに。




