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第2話「名前も知らないまま」
再び戦場で出会った瞬間、レイは確信した。
――あの少女だ。
言葉を交わす間もなく、剣がぶつかる。
火花が散り、衝撃が腕に響く。技量は拮抗している。それでも違和感は消えない。
決定打が来ないのだ。
来るはずの一撃が、わずかに逸れる。
「なぜ外す」
思わず漏れた声に、少女の瞳が揺れた。
「あなたこそ」
短い返答に、言葉が詰まる。
自分も同じことをしていると、気づいてしまったからだ。
戦場の喧騒が遠くなるような感覚。
互いに踏み込めば終わる距離なのに、剣は届かない。
やがて横からの攻撃により距離が引き裂かれる。
振り返ることはできない。
それでも、あの視線だけは消えなかった。




