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第1話「出会いは刃の先で」
霧に包まれた戦場で、レイは無言のまま剣を振るっていた。
鉄の匂いと湿った土の感触が、靴越しに伝わってくる。倒れた仲間から視線を逸らし、ただ前へ進む。立ち止まれば死ぬ、それだけが確かな現実だった。
そのとき、不意に鋭い斬撃が空気を裂く。
反射的に受け止めた刃の向こうにいたのは、同じくらいの年頃の少女だった。
細身の剣を構え、無駄のない動きで踏み込んでくる。
だが――違和感があった。
確実に急所を狙っているはずの刃が、ほんのわずかに逸れる。
気づいたとき、レイ自身も同じことをしていた。
斬れるはずなのに、斬らない。
なぜだ、と考える前に視線がぶつかる。
その瞳には、敵意だけではない迷いが宿っていた。
次の瞬間、煙幕が広がり、少女の姿は消える。
残ったのは、勝敗ではなく、胸に引っかかる説明のつかない感情だった。




