第一幕「第一歩!」
中3の冬、とりあえず高校受験が終わり、僕は何軒か先に住む幼馴染とパソコンを開いて、まだ合格発表の時刻ではないが、画面を無意味にスクロールしていた。
「そろそろじゃない?」
「そだね、うん、開いてみるか」
「おォ、番号あったあぁあ、そっちはど?」
「ほたる...」
伊緒は泣きそう顔をしてた。
「そ、そーゆときあるよ(?)!ね!、、まだ第二志望のとこも残ってんじゃん!そっち見てみよーよ!」
って言ってあげたら、伊緒は急にニヤけ出して、黙って両手できれいな正三角形を作り出した。
「もおォぉおぉ、、、、メチャ気遣ったじゃん(;w;) ...てか三角ってなんだよ、○か✘しかないだろ」
「ふっ、ふっ、ふっぅー、だまされたなぁ?(・3・)」
「いんや、洒落になんないから、そゆのやめェヤ」
「まあ、ええやん、2人とも第一志望通ったんやからー、、落ち着いて(?)!、ほら!ねっ!」
「どの口がいうてるんよ(??)、、」
(むぅ...)
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春になった。 僕は石神高校、伊緒は曐咲高校に入学した。どちらもこの地域じゃ名門校だ。
入学式の前、伊緒と自分は途中まで一緒に行った。
「じゃねー」
「お互い頑張ろー」
「ういー」
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式が終わって部活や同好会の展示がホールでやってたので見ていくことにした。
(なにあれ、光ってる)
見に行くと、それは色のついた石ころだった。
(ピカッ❕)
「なっ⁈」
「おどろいた?キレイでしょ!」
「え、あ、はい! すごいですね。 色が変わっちゃった、ブラックライトですかこれ⁇」
「そそ、よく知ってるね! この石何か知ってる?」
「えー、、なんだろ⁇ なんですかこれ?」
「これはね、えと、フローライトっての。和名は蛍石ってやつ!」
「はえー、そなんですねー。自分のナマエといっしょだぁ」
「えー、そうなの? 君ホタルってゆーのか! いい名前してるね!」
とかはなしてるうちにその人はハンマーを出してきた。
「ちょ、えっ、何してるんですか⁈」
「まぁ、いいから見ててよ!」
「は、はい...」
(カンッ!)
「なんか、、、なにこれ?八面体⁇」
「すごいでしょ!、 良かった~きれいに割れて!前やったとき失敗したんだよねぇ」
フローライトはきれいに正八面体に割れていた。
「こんなかんじで、結晶 や岩石とかの割れ方が、ある特定の方向へ割れやすい性質のことをね劈開っていうの! 面白いでしょ! 」
「はい、興味深いですね」
「これ実はマルシェで3000¥したんだよねぇ.....(小声)」
「oh... まじですかァ」
「そうなのだョ、、 、まぁ、他にも色々あるから良かったら見てってよ!」
「あ、はい、、 ありがとうございます。」
「じゃ、これからの高校生活楽しんでね~、 入部待ってるよ~」
(へー。科学部かぁ。 あの人は名札に「地学班」って書いてるな。 トロフィーとかいっぱいあるしすごいなぁ... )
これが私の科学徒への道の第一歩だった。