第七話 8不思議 その4②
投稿順番間違えました。戻しましたが、すみません。
「だから、聞いておくれよ。本当に僕じゃないんだってば。話し合おう?なぁ春?僕らの仲じゃないか。」
「神谷さん。いまさら何を話し合おうっていうんだい。君が白だと占った隼人は人狼だったじゃないか。君しかいないんだよ。」
「だから違うんだって、きっと見間違ったんだ。
そうだって。なぁ美優?」
「‥ごめん神谷さん。神谷さん以外に思い浮かばないわ。バカが人狼になったのが運の尽きだったわね。」
「うるせぇ!神谷さんじゃないっての!」
「死人は黙りなさい。全く‥貴方本当にバカね‥」
「チッ‥」
「なぁ春、話し合えばわかるだろ?そうだ!春が僕に投票しないなら、あとでいいことしてあげるよ。
春も男の子だもんね。」
「えっ‥いいこと?」
「安田さんっ!惑わされちゃダメです!神谷さん以外にあり得ません。」
「確かにそうよ友春。もみじちゃんが本当の占い師よ!」
「もみじちゃん、もし君が僕に投票しないなら、君の読みたがってた東野の新作貸してあげるよ」
「なっずるいです‥!」
「それじゃ投票するとしようか‥みんな美優に入れるんだよ‥」
投票箱から紙をとる。
「神谷‥、美優も無駄な足掻きをするね。」
残りの紙も神谷さんが開く。
「えっ‥」
開いた紙には全部神谷の文字が書いていた。
「まぁ流石にね‥」
「流石にです‥」
思いがけぬ結果だったのだろうか神谷は驚いていた。
「春の薄情ものめ!もういいもん!春の秘密バラすからね!」
「なっ神谷さん!」
「春ってば私と二人きりの時、他の女子とは違って話し方辿々しかなってるし、僕の体とか結構見てるし、めちゃくちゃ意識してるの知ってるから!」
「ちょ、神谷さん!」
「そうなの安、お前最低だな‥」
初対面で好きなカップを聞いてきたお前にだけは絶対に言われたくない。
「意外と神谷さんって子供っぽいよね。」
美優がそう言って笑う。
「まぁするからには全力でする。が僕のポリシーだからね。」
どこか自信気に神谷さんが答える。
そんな景色に初めて会った時では考えられないだろうと思うと少し感慨深くなる。
もしも彼女が今のようにありのままで生活していたなら、どうなるんだろうか。きっとクラスの男子はいままで以上にら彼女に、釘付けになるんだろうか。少し想像したくもない。
そんなことを思うと、僕は神谷さんを自分のものと考えているような気持ち悪い自分に嫌気が刺す。
恋人でもなんでもないのに。ちょっと優しくされたからって勘違いはきもいぞ僕。
「もうすぐ6時だね。校内を見回りに行こう。」
廊下に出る。幽霊廊下は夜だといっそう暗い。
キーンコーンカーンコーン
「6時になりました。生徒は速やかに下校してください。」
下校時間のチャイムが流れる。
「どーする神谷さん。チャイムなったけど。」
「先生に見つかるまで見回ってから帰ろう。見つかったときに帰っていますっていえばいいよ。」
「そうだね。」
暗くて長い幽霊廊下を5人で歩く。
突き当たりにさしかかる。
「じゃあ渡り廊下を進んでぐるっとしてから2階に行こう。」
手を頭の後ろで呑気に組みながら美優がそういう。
「だね。そうしよう。」
その話に乗り、僕と、もみじさんと美優は一足先に渡り廊下に足を出す。
「待って、春!」神谷さんがそう呼びかけた時にはもう遅かった。
あたりが黒くなる。感覚としては上靴タイムリープの時のようだ。
あたりが元の校舎に戻った時にはもう手遅れだった。
「えっ何が起きたの?」
そう言って尻餅をついていたのは美優だった。
「ここは‥」
もみじさんもいる。
どうやら僕らは迷い込んではいけないところに来てしまったらしい。
「ちょっとまずいかもな‥」
「どーゆーこと?」
「8不思議だよ‥、」
「8不思議‥」
二人は困惑する。
そううちの学校の3階に渡り廊下はないのだ。後ろを振り返る。窓の外には黒のインクを煮詰めたような暗闇が広がっていた。
「元の学校に戻らないと‥、探そう、」
読んでいただきありがとうございます。
よかったら感想等、あと、玉ねぎを切る時に目が染みなくなる方法等教えていただなると幸いです