第五話 ここでは犯人をXとおく。
「どうしたんだい春。僕を呼び出して。君まで僕に告白するのかい。」
「違うよ神谷さん。僕が聞きたいのはタイムリープのことだよ。」
「うん。まぁそうだと思ったけど‥」
「どうして神谷さんは知っていたの。」
「僕には前にも言った通り兄がいてね。兄はオカルト研究会のメモを残してたんだ。僕も初めて見た時は流石に目を疑ったよ。でもあの時、君に初めて会った時タイムリープしたんだ。兄が嘘をつくと思わなかったし意外と信じられたよ。」
「だからまるで僕を待ってたかのような口ぶりだったんだ。でもそれじゃ、神谷さんの上靴が教室の前にあったのはどうしてなの?」
「それは偶然さ。1回目に君と出会って興味を持って1度タイムリープの検証に使ったんだ。」
「なるほどね。でも、このことを隼人達に隠すのはどうして?」
「君も気づいていただろう。理科室のガス栓。あれは明らかに人為的なものだった。もしかすると身近に犯人がいるかもしれない。」
「いや、隼人と美優は不可能だろ。それに喜門寺先生もやったってメリットがない。」
「いや、実は不可能じゃないんだ。あの日私が言ったことを覚えているかい?」
「‥未来日記」
「そう第7不思議だよ。」
「未来日記についてどのくらい知ってるの。」
「なんでも確定した未来のことを書いている日記らしい。だから僕たちの行動が書いてあってはめられたのかもしれない。」
「誰がなんのために‥」
「まぁそいつ、犯人Xと呼ぶけど、その犯人Xが僕たちをはめるつもりだったなら、いつかまた僕らの邪魔をしてくるだろう。」
「確かにそうだな。」
「大丈夫かい春。僕らはタイムリープできるとはいえ危険なことに首を突っ込むことになるかもしれないよ。それでも手伝ってくれるかい。」
「うん。もちろんだよ神谷さん。僕も8不思議のことが気になっているんだ。日常じゃ考えもしないようなことばっかで、だから改めてよろしくね。」
「うん。こちらこそ改めてよろしく頼むよ春。」
部室を出る,1時間目が始まるまであと20分程度だろう。教室まで歩く。
一体何故。なんのために。誰が。
犯人Xは何者なのだろう。彼?は何を企んでいるのか。考えてもわからないことだらけだ。
何よりも僕は親友を疑わなくてはいけないのか。
僕には彼らを疑うなんてことはしたくないが、それかもしかしたら神谷さんこそ‥、
まぁ考えるだけじゃあ答えは出てこないだろう。
いつかきっとまた犯人Xは現れるはずだ。
ガチャッ
クラスのドアを開ける。
「よぉ安どこにいってたんだ。もしかして神谷さんと会ってたのか。テメェ」
「うん。でも活動について話し合っただけだよ。一応彼女が部長で僕が副部長だしね。」
「か、彼女だと。おい安テメェコラァ」
怒った隼人が腕で首を絞めてくる。
「痛い、痛いそーゆーことじゃないってギブッ!」
「ちょっと朝っぱらから何してんのよ、馬鹿隼人。友春を離しなさい。」
「うっせぇよテメェはすっこんでろよチビ。」
「は?信じられないんだけど、バカ」
朝っぱらからこの2人は元気である。
全く付き合わされる僕の身にもなって欲しいものだ。やはりこの二人は犯人Xではないだろう。
「あーそう。友春ちょっといい?」
「どうしたの美優?」
「なんでも今8不思議のことである噂が立っててね。
1組のもみじさんって知ってる?」
「わからない」
「その子が8不思議を見たとかいう噂が立ってるんだけど。」
「どの不思議なの?」
「春が見た未来日記らしい。」
「7か。」
「そう、だから未来日記を見た春なら本当なのかわかるかもって思ってね。」
まじかよ。全然知らない日記のことなどどう答えればいいのだろうか、
「てゆーか今更だけど友春って口調変わった?
なんか神谷さんみたいな感じなんだけど。」
「えっそう?」
「そう。そんな綺麗な感じじゃなかったでしょ言葉使い。」
「そうかなぁ。」
ここのところ色々あって彼女といることが多かったしそうかもしれない。あれ?僕ってどんな口調だっけ?もっとラフな感じだったか。
「まぁいいでしょ。その紅葉さんのとこ行こう。」
「もー友春まであのバカみたいに適当にならないでよね。」
「おいテメェ俺のことまたバカって言ったよな。」
他の男子と話していた隼人が振り返って叫ぶ。
「早く行きましょ。バカがうつるわ」
「うん。そうだね。」
そう言って早足で教室を出る。
「おい安テメェ。」
ドアの外からそんな怒鳴り声が聞こえる。
いや聞こえたような気がした。きっと気のせいだろう。1組か。また向かい側の校舎だ。
美優と二人話しながら階段を降りる。
「本当3階に渡り廊下ないの不便よね。」
「そうだな。なんかでもそれも8不思議の一つなんだろ?3階の渡り廊下がどうのみたいな。神谷さんに聞いたけど。」
「そうなの。友春いつの間に神谷さんと仲良くなったの。」
「いや、朝に活動の話ついでに聞いただけだよ。」
階段を下り渡り廊下に差し掛かった時僕は気がついた。踊り場に上靴がなかったのである。
「どーしたの友春。」
「いや、なんでもない。行こう。」
1組へと向かう。
1組についた。
「ごめん、もみじさんいるかな?」
美優が知り合いの女子に尋ねる。
「んー今はいないかも。
「ちょっと香織今はじゃなくて休み時間はずっとでしょ。」
他の女子が笑いながらいう。
「どーゆーこと?」
「美優さんだよね?知らないのあの嘘つきのこと。」
「嘘つき?」
「そう、あいつ友達いないからさ、8不思議の嘘で私たちの気引こうとしたんだよ。まじでウケるよね
。」
「あの噂嘘なの?」
思わず聞く。
「本当にあるわけないでしょ美優も変な彼氏選んだねー」
「か、彼氏じゃないし」
「美優行こう。」
美優の手を引き歩き出す。
「ごめんね美優。友達に馬鹿にされたのは俺のせいだ。ごめん。」
「いやいいよ」
そんなやりとりをした時だった。
肩をたたかれる。
「やぁお二人さん今日も元気そうだね。」
「神谷さん。」
「もしかしてもみじちゃんのことできたの?それとも僕に会いに?」
「もみじさんのことだね。」
「…冗談に付き合ってくれないと僕が痛いやつみたいじゃないか…、まぁもみじちゃんのところに行こう。」
神谷さんと歩き出す。
「ここだよ。」
神谷さんが案内したのは馴染み深い
僕らの部室だった。
ガチャ
ドアを開ける、
「神谷さん。遅いよ‥」
目が合う。
「え‥」
そういうや否やその女子、は神谷の後ろに隠れた。
「初めまして‥」
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