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狼煙  作者: ニンニクアワビ
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屍食い

 黄昏の中、急流は血に染まる。

 一人の少年が川に立ち、川に漂ってる死体を掴め、激流の流れに沿って川の斜め下方向に少しずつ動いている。

 彼の向かう先にすでに一人の死体があり、ただしすでに裸になった。

 二人目の死体を辛うじて川辺に引きずり上げ、少年はもう大きく息をしている。

 しかし少年には休む時間がなく、速やかに()()に入った。

 「赤、緑、黒は一(こく)......」

 目の前の屍、衣と裳も、夕日の下で薄青く映っていて、兜と鎧も、青い威糸で革甲片(鎧の札)繋がれている。

 「青いは二石!」

 鎧と衣裳を脱いだら、褌からすぐ糞尿臭が湧いてきた。衣裳を川辺の石に掛かって、水の流れで洗っていく。

 「穴なし、傷なし」

 この兵は、恐らく川を慌てて渡ろうとした際、川底の石に頭をぶつかって死んだから、鎧に斬撃痕や穴も見当たらない。

 このような上品を什老(十軒の長)に渡せば、三石の粟米と引き換えられる。

 これで半年の食糧をもらえると思いつつ、少年は何か思いついた。

 「あの男からもっともらえる」

 昨日、什老が少年の家に来る前、見知らぬ男と話ししたところを少年が見た。その男の後をしばらくつけていたが、結局男が森の奥に消えた。

 少年は里の戦の経験者から聞いた、戦場を掃除した時、死んだ兵士の甲冑と兵器を召し上がるのは戦勝側の兵士たち、彼のような役夫は小物や衣類しかもらえない。

 いくら高く値段がつくかは知らないが、軍が独り占めするものは絶対三石の粟米より値する。

 そうと決めたら、少年が二つの鎧を丁寧に布で包み、山の高所へ行く。

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