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再びの災い
紀元前三百十六年、燕王は、相国の子之に王位を譲り、廃太子になった姫平は兵をあげ、子之と攻め殺しあうことになった。
内乱に乗じて、斉国、中山国が燕に侵攻し、土地を取り、財貨を奪い、王都の易、下都の武陽まで焼き払えた。
居庸塞以南の燕国は全部陥落、賊兵、飢えた民が道を塞いでいる。
燕国経由の南北貿易が絶ち、中原からの商人達は綱成から消えた。
狐毛が蓄えた金貨は、何も買えなくなった。
やむを得ず、狐毛と狐耳は賊になった。
最初は死んだ人から衣服や小物を盗み取る。
しかしこれだけでは腹を満たすことはできない。
そして狐毛と狐耳は、逸れた斉の兵士を狩り始めた。